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豊橋創造大学大学院健康科学研究科生体機能学のつぶやき

心筋幹細胞を培養して心筋梗塞を治療

2010-07-02 06:03:33 | 研究
組織幹細胞と言えば、一昔前は造血幹細胞という血液細胞を作る細胞を指していましたが。しかし、今はほとんどの細胞が、自身の組織?を修復するために幹細胞を持っていることが明らかになっています。骨格筋では筋衛星細胞(サテライトセル)と呼ばれ、盛んに研究が行われています。この幹細胞があるおかげで、骨格筋は肉離れや断裂などの損傷が起きても修復されます。ヒトではその修復力は弱いですが、マウスなどのげっ歯類では非常に強い修復 能力を持っています。心臓にも幹細胞があることが報告されていました。しかし、皆さんよくご存じのように心筋梗塞で心筋細胞が壊死した場合、その部分は修復されることはありません。したがって、心筋には幹細胞はないものと当初考えられていました。しかし、幹細胞はあるのです。私は実際に確認したわけではありませんが、間違いなくあります。そして、その細胞を体外へ取りだすことで、細胞培養技術により大幅に増殖されることが可能なのです。こうして、増殖した幹細胞を心筋梗塞に壊死した心筋に移植することで、失われた心筋機能が回復したということが報道されました(YOMIURI ONLINE)。いつかはできる、行われると思っていましたが、ようやくといったところでしょうか。心筋梗塞後の心筋機能回復にはこれまで筋衛星細胞の移植なども行われていました。筋衛星細胞の移植でも新機能回復が見られるようですが、心筋の一部が骨格筋細胞に置き換わってしまうために、不整脈が起こることが問題視されていました。しかし、今回の場合、移植しているのは心筋幹細胞なのでその心配はないはずです。さらに、自分自身の細胞ですので倫理的・免疫的にも問題はないはずです。また。iPS細胞もこうした移植細胞としての利用方法も考えられているはずですが、iPS細胞と違って遺伝子操作が行われないために、癌化の危険性も少ないはずです。今後、こうした取り組みが進むのではないでしょうか。
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