遺伝情報の伝達役としての役割を担う一方、過剰に蓄積すると病気の原因にもなるRNAを、細胞内小器官の1つあでるリソソームに選択的に取り込んで分解する仕組みがあることが明らかになったそうです(医療介護CBニュース)。RNAの過剰な蓄積は、失明の原因にもなる加齢黄斑変性症(萎縮型)や、筋力が低下する筋強直性ジストロフィーを引き起こすと考えられているそうで、これらの病気の原因解明や治療法への応用も期待されるそうです。リソソームの中には、タンパク質や核酸(DNAやRNA)を分解する多様な酵素が含まれており、細胞内には不要な物質をこのリソソームに運んで分解する「オートファジー」(自食作用)と呼ばれる仕組みがあります。しかし、リソソームにRNAを選択的に運ぶことはこれまで知られておらず、今回この仕組みを「RNAutophagy」と名付けられたそうです。実験では、マウスの組織から単離したリソソームと精製したRNAを、生体内のエネルギー源となるATPを含む溶液の中で混ぜると、RNAがリソソームに取り込まれ分解されることを発見したそそうです。これに対し、ATPを含まない溶液では、これらを混ぜてもRNAは取り込まれず、この取り込みにはエネルギーが必要だということが分かったそうです。また、リソソーム表面の膜を貫通して存在する「LAMP2C」と呼ばれるタンパク質の、膜の外側の部分にRNAが直接結合することを発見し、さらにこのタンパク質を強制的に作らせた培養細胞の中では、RNAの分解量が増加し、こうした細胞から単離したリソソームで、RNAの取り込み量が増えることも分かったということです。また、LAMP2Cを作るための「LAMP2遺伝子」が欠損したマウスの脳から単離したリソソームでは、取り込む量が低下したとも。RNAutophagyではLAMP2CがRNAを受け取る役割を果たしているとなるそうです。興味深いですね。
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