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本当に美味しい中国料理が食べたい(中西純一)という本はとてもオススメ!

2019年12月18日 01時00分00秒 | 
 
 「
本当に美味しい中国料理が食べたい
中西 純一
NTT出版

 「本当に美味しい中国料理が食べたい」という本(2005年5月10日発行)は、正宗中国菜であるシノヴェリ「正統中国料理」について分かりやすく説明したもので、シノヴェリとは、中国料理において伝統的に伝わる調理技法や料理理論を守った上で、その土地の人々の嗜好を意識しながら、季節によって変わる新鮮な食材を取り入れた正統中国料理を供するお店とのことです♪
 
 つまり、シノヴェリは、ラーメンや餃子、レバニラ炒めなどの定食を出す中華食堂や、麺や餃子、小籠包、麻婆豆腐などの専門店などとも一線を画すお店となります。
 
 本書ではそのシノヴェリの特徴やお店の探し方、注文の仕方、予約の仕方、そして具体的な都内のお店も紹介されていて、ぜひ美味しい中国料理を今後頂きたいと思いましたね♪
 
具体的に紹介されているお店は以下となります♪

但し現在は以下の通り移転や閉店となっていますのでご注意ください。
 
 
 特に、シノヴェリは、おまかせを頼めば、何度通っても基本的に同じ料理は出されず、仕込みをしっかりした美味しい料理を提供するとは素晴らしいです♪

しかもテーブル毎に自分好みの味付けをお願いすることもできます♪
 
「本当に美味しい中国料理が食べたい」という本は、美味しい中国料理の真実に迫っていてとてもオススメです!
 
以下はこの本のポイント等です♪
 
・ここでは日本の伝統的中華料理店とはちょっと違う視点から、中華街にある中華料理店の問題点を指摘したいと思う。中華街にある中華料理店で食事をすると、決まってこういう類の料理が出てくる。
 ①30cm程の大皿なのに、中央部だけに盛りつけられ
 ②片栗粉を溶いて、とろみがついたアンかけにした料理
 ③日本の醤油味、もしくは塩味に少々のコショウを入れただけの味付け
 ④野菜は白菜、キャベツ、ネギ。新鮮な野菜ではないが缶詰タケノコ、缶詰マッシュルームは実にいろいろな料理に入っていて
 ⑤値段は1皿2500円以上
という代物。コース料理に目を移して見ても、エビチリ、麻婆豆腐、青椒肉絲、フカヒレスープにとどめは杏仁豆腐と、店を変えてもコース料理の中身はどの店も似たり寄ったり。材料に何を使うかまで問わなくても、出てくる料理の味付けにバリエーションがあれば文句も言えない。が、しかしである。中華街のレストランで出される特徴的な料理とは、日本人がこれぞ中華料理と考えている典型的な料理を並べているだけなのだ。正直、中華街に行って、中華世界の雰囲気をのぞき見ることはできても、正真正銘の本場の中国料理とは出会えないのである。
 
・シノヴェリは、客に出す料理は、大勢の客と一緒に作ったりはしない。ほとんどの場合テーブルごとに、物によっては個々に調理するから、調理前に客側が味付けに好みを言えば、調節することが可能なのだ。シノヴェリは、自分好みに味付けをしてくれ、食材の組み合わせまで変えてもらえる、なんとも贅沢な料理なのだ。これにはどんなメリットがあるか?たとえば、病気による食事制限で肉や卵が食べられない高齢者と、特定の食品にアレルギーを持っている子供がいても、みんなで一緒に食事ができるということだ。
 
・「東海海鮮酒家」。香港で1983年に高級広東料理のレストランとして設立後、ヌーベル・シノワ<新派中国菜>の旗手として数々の創作料理を手頃な値段で提供して香港では知らない人はいない有名レストランであり、現在はグループ全体で香港内に10店舗を持つ。
 
・「東海海鮮酒家」は1983年の開店後、次々に支店を増やし、現在は10店舗を持つ高級創作広東料理レストランのグループ企業になったことに対して「鏞記(ヨンキー)」は、1942年に創業し、利益を上げながらも決して支店は出さず、1964年に香港の中環に小さなビルを購入してから、同じ場所で隣り合わせたビルを購入して、店舗の床面積は広げたものの、一店舗だけで営業していることである。
 
・お客は味が重要。社員は福利厚生が重要。そしてオーナーにとっては利益が重要。と笑いながら言った。そしてすぐ真面目な顔に戻って、その3つの要素のバランスが最も重要だと言い添えた。
 
・客側の立場で最低限知っておいたほうが良い知識として、中国料理には地域性がある点。地域性とは料理系譜(中国語では「菜系」と表現する)であり、これが中国各地にあることを簡単に把握しておくだけで、レストランの得意料理に出会え、それぞれの店ごとに存在する美味しい料理を探り当てられる。そして地域性とは別の料理系譜もあり、これもシノヴェリ・レストランを利用するなら知識として少し勉強しておこう。このちょっとした知識を覚えることは、シノヴェリ・レストランかそうでないかを見分ける時にあとあと役に立ってくる。
 
・黄河流域中・下流域の料理系統(山西料理・北京料理・山東料理)
黄河流域は主食が小麦であり、小麦を使った麺や餅(ビン)・餃子を好んで食べ、冬は寒さが厳しくなるので野菜の種類は少なくなり、白菜類が中心となる。使う調味料は塩が主で、素朴な味付けをする。
 
・長江上・中流域の料理系統(四川料理・雲南料理・湖南料理)
長江上流から中流域は山岳地帯に囲まれているため、山菜やきのこ類を使った料理が豊富であるが、海からは遠くなるため海産物は乾燥しているものを使うことが多い。唐辛子や山椒をふんだんに使った辛く、しびれる味付けの料理を好んで食べる。
 
・長江下流域の料理系統(蘇州料理・揚州料理・杭州料理・上海料理)
長江下流域は古来より水に恵まれ、大きな湖があって、海にも近いところから、様々な淡水・海水の魚介類を使った料理がある。米にも恵まれていたので、醤油や酢、紹興酒といった調味料も盛んに作られ、それらの調味料を配合した味付けが好まれている。
 
・珠江下流域の料理系統(広東料理・潮州料理・客家料理)
温暖で湿潤な気候の珠江下流域は、新鮮な野菜や海産物が一年を通して入手できることから、食材の新鮮さを生かした蒸し料理が多く、鶏肉や豚肉の焼き物に優れている。砂糖を使った甘みのある味付けを好む傾向にある。
 
・美味しい中国料理を食べたいなら、事前の予約は欠かせない。本当に美味しい中国料理を食べたいなら数日前には予約を入れるのは、ルールというよりも、厳格な定めとまで言い切れる。突然店を訪れて、中国料理の真髄を味わおうというのは、不届き千万、ほとんど不可能に近い。
 
・シノヴェリ・レストランで必要な予約とは、すなわち料理を事前に注文することだ。店側のやり方もあるだろうが、おおよその人数と予算を伝え、それから食べたい料理をオーダーする。これが美味しい中国料理を食べる最初のステップ。通常のメニューなら、3日以上前に電話で予約すれば良いだろう。下ごしらえをするための準備期間という意味合いと、数日前に予約すると、お客の都合に合わせた様々な対応を店側がしやすくなるという事情からである。
 
・予約の時に料理をどう注文すればよいのか。シノヴェリを味わえる最も直接的な方法とは、お任せコース料理を予約することだ。「お任せコース料理」は、決まり切ったコース料理しか調理できないような普通の中国料理店には存在しない。これはシノヴェリを出せる店でしか作れない、コースとして出す料理の構成を店側に一任したフルコースのこと。お任せコース料理を注文すると、その日の旬な野菜や魚介類を使った料理がテーブルに登場し、代々伝わる店の定番料理も盛り込まれ、料理人の得意とする調理方法で作られたオリジナルの料理も食べられる最もコストパフォーマンスの高い料理である。お任せコース料理の料理構成は季節によって変わる。夏には夏の野菜を使い、秋には秋らしいきのこを使い、冬にはこってりと冷めにくい料理が出てくる。また、同じ店で同じ日に食べたとしても、客の顔ぶれによっても変わる。初めての客には定番料理を出すし、先週も店を訪れたなじみ客には、先週とは別のオリジナル料理が並ぶだろう。お任せコース料理を作れるというのは、それだけ店の定番料理を多く持ち、料理人の調理技術や経験もないとできない、シノヴェリ・レストランでのみ実現可能なフルコースなのだ。
 
・店側に作る料理を任せるということは、店なり料理人が責任を持って美味しい料理を作りますという客との約束であり、お任せコース料理を食べて料理が不味いなどという店は、最悪の店だと店側が認めているような行為である。事前に予約さえしていれば、値段が安い食材でも、下ごしらえや手間をいくつもかけて、突然訪れたお客には出せない料理が準備できるのだ。店側としても、シノヴェリでしか出せない、メニューには書かない(書けない)様々な調理方法を駆使した料理を、お客に味わってもらいたいと考えているが、数日前にお任せコース料理を予約してもらわないと準備が間に合わないのだ。
 
・お任せコース料理では、料理の中身は店に任せるが、言うまでもなく、値段まで店に任せてはいけない。客の懐具合も季節によって変わるから、値段は自分で決めなくてはいけない。ただ、店によって一人当たりの予算は大きく違い、東京だとリーズナブルなシノヴェリ・レストランで一人当たり4千円、最高級店では1万円から注文できるようになっている。最低人数を2名や4名などと設定しているところもあるので、最低人数の確認は必要である。同じ店でも数千円から2万円まで幅を持たせている場合も多く、初めて訪れた店ではどの値段を注文するのが最適か大いに迷うだろう。お任せコース料理を注文する際に値段を決める基準としては、その店が設定している最低限のコース料理の値段より1.2~1.4倍程度高い値段で食べることを私はお薦めする。つまり2名以上で予約できるコース料理の最低価格が5千円とメニューに書いてあれば、6千円か7千円でコースを設定する。やはりギリギリまで値段を下げたコースでは、どうしても安っぽい食材を多用せざるを得なくなる。店の定番料理を食べるとか、料理人本来の味を確かめたいなら、最低価格ではコースの中に入ってこない場合もあるからだ。ただし1人2万円以上するコースは、別の意味でお薦めしない。もちろんアワビやスッポンといった値段の張る海産物を食べたいという明確な目的があれば、それくらいの値段を支払うことは最低条件になるだろう。
 
・シノヴェリ・レストランを初めて訪れると、店側も客の嗜好が読めないため、お任せコース料理であってもどうしてもメニューに盛り込んである定番料理や無難な料理を選びがちである。そこでメニューにない料理を食べてみたいなら、シノヴェリ・レストランを短い期間に数回訪ね、お任せコース料理を注文すればよい。もちろん店側には同じ客が何回も来ていると憶えてもらうことも大切だ。小さな店なら予約した時の名前で憶えてくれるだろう。大きな店だと同じ名前の客が来ていることもあるので〇月〇日に食べに行ったことのある■■ですと言えば、同じ料理を繰り返し出さないようにする。また客の側から本場の本格料理が食べてみたいという希望を店側にキッチリと伝えることを忘れずに。こういう場合は、予約はできるだけ前に、そう、一週間位前には電話しておいた方がベター。
 
・メニューにない料理以外にも、客の立場ではおのずといろいろな要望が出てくる。昔食べたあの料理をもう一度食べてみたい。中国に行った時に味わったあの料理を注文したい、茄子を使った料理はぜひ食べたい・・・。大丈夫、シノヴェリ・レストランは客の要望を最大限生かしてくれる。店で客に見せるメニューは、あくまでも調理できる料理のごく一部にしか過ぎない。シノヴェリ・レストランではメニューに裏も表もない。日本人が知っている料理ならどの店も、上手い下手はあるが調理はできる。またこれら客の要望を聞きながら、コース料理として仕立ててくれるのが、シノヴェリ・レストランのお任せコース料理の利点でもある。
 
・重要なのは、予約の時に店とコースメニューの組み立てについてよく相談すること。自分が食べたい料理を明確に伝え、さらにその上でお任せコース料理として、成り立つように料理の構成を考え、値段を計算してもらうこと。自分の食べたい料理を盛り込んでもらった上で、お任せコース料理に仕立ててもらえれば、単品メニューを自分で選んだ時に犯しやすいミスや間違いがない。まず料理の流れがきれいに構成できる。水が上から下に流れるように、中国料理のコースは味付けや食材のバランスを考えて流れるようになっている。自分で注文すると、できた順番あるいは注文した順番に運ばれてくることが多いので、とんでもなく辛い料理を先に食べてしまい、後から出てきたあっさりした料理は舌がしびれて味が分からなくなるなんて失敗もままある。お任せコース料理にすれば、同じ料理を単品で注文して食べるよりも、必ず値段は抑えられている。客側にとって、シノヴェリ・レストランで食べるなら、お任せコース料理を予約するメリットは非常に大きい。
 
・食べたい料理を伝えてお任せコース料理を店側に構成してもらうと同時に、予約時に店側に伝えなければいけない重要な相談事項がある。それは味付けである。本場の中国料理店が日本に進出したからといって、本場とまったく同じ味にするかといえば、そんなことはない。国や地域、民族の違いによって、味付けの好みはおのずと違う。日本では日本人向きに味を微妙に変えるという。北京と上海でも味付けは変わるという。それだけシノヴェリは、立地する地域の人々の嗜好を考慮した上で、繊細な味付けを施しているのだ。本場の味付け通りで食べたいのか、日本人向きにアレンジした味付けが良いのか、辛い物は食べられるか、初めて訪ねる店なら詳しく伝えることをお薦めする。なぜ味付けを予約時に伝えるかといえば、準備段階で色々な調味料を使って下味を付けたりするので、事前に伝えておかないと、店に来てから伝えたのでは遅かったりするからである。
 
・予約時には人数だけでなく、どういう顔ぶれかを事前に知らせると、顔ぶれに合わせた食材や調理方法でコースを仕立ててくる。男性より女性が多いとか、80歳以上の高齢者が二人いるとか、子供が一人混じるとか、会社の接待であるのか等である。男女比や年齢層に合わせて、肉よりも野菜を多くしたり、食べやすい大きさにしたり、炒め物を少なくして蒸し物を多くするなどする。接待で食べに来たと知ったら、ホストの顔が立つように、前菜の料理を綺麗な鳳凰に並べたり、見栄えのする伊勢エビの頭や尻尾を皿に盛りつけたり、音のするお焦げ料理を出したりと、見た目や意外性で料理を楽しませたり豪華さを演出するコース料理にしてくれるだろう。ただ要求が高くなる、あるいは多くなるのであれば、食材の手配や準備とも関係してくるから、一週間以上前に予約するべきだろう。
 
・料理が並ぶ前にまず、飲み物を注文する必要がある。アルコールを飲めない方には、温かい中国茶があるだろう。アルコール類を選ぶ時、最初はビールでも良いと思う。前菜や最初の熱い料理が出てくるまではビールを飲んで乾いた喉を潤し、温かい料理が続き始めてから、別のアルコールを注文するくらいが良いタイミング。コース料理の味付け屋ボリュームが変わってくるくらいに、腹のふくれるビールから、強めの酒が料理に合うようになる。そしてアルコールで迷ったら給仕に聞けばいい。シノヴェリ・レストランの給仕なら、料理と相性の良いお酒くらいはそらんじられる。美味しい料理に、美味しいお酒。コース料理の流れを把握している店員なら、次に出る料理を想定したアルコールを勧めてくれるだろう。
 
・コース料理を予約しておくと、まず前菜が4種類くらい盛りつけられて出てくる。この前菜こそ、店の実力つまり料理人の腕を推し量るひとつの目安になる。では前菜のどこに着目すればいいのか。甘い・辛い・酸っぱい・苦いといった味覚のバラエティがあるか、野菜・肉・魚といった食材のバランスがとれているか。コリコリした固い物、とろけるような柔らかい物、煮こごりのような寒天質のような物、しゃきしゃきした野菜など食感の違うものが並んでいるかなど、彩りの豊富さを含め判断材料にする。
 
・中国語で前菜は<開胃>(食欲を刺激するという意味)のために出すものという考え方がある。空腹で縮こまった胃を開けて、料理を最後まで美味しく食べられるようにするために口にする物と考えられている。そのため、コリコリとした固さの物でアゴを刺激し、苦みや酸味のある味付けで舌を慣らし、軽く小腹を満たせる肉類をつまんで次に出てくる料理に繋げる重要な役割を担っている。前菜が不味かった場合、ほぼ99.9%、その店のコース料理は最悪だ!前菜が不味いというのは、下ごしらえができない料理人の集まりだから、料理もその場しのぎの物しか作れないということを意味している。某横浜の中〇街あたりの、一見すると本場のような中華食堂では、キュウリの酢漬け、クラゲ、ピータン、ゆでたピーナッツといった、安くて、早くて、ボリュームたっぷりの前菜しか出てこないことがある。日本の中華料理界の愚の骨頂である。
 
・前菜の次には温かい料理が出てくる。シノヴェリならたとえ大皿で出てきても給仕がちゃんと1人1人の皿に取り分けてくれる。テーブルに座った友人との会話が楽しいかもしれないが、熱い料理が出てきたなら、熱いうちに食べてしまおう。温かいうちに食べるようにしないと、冷めると固くなったり、旨味が逃げる食材は確かにある。実はそれよりも、お客の箸が動かないと、店側が次の料理を出せなくなるのだ。
 
・東京のシノヴェリ・レストランで6000円から8000円くらいのお任せコース料理を注文すると、おおよそ6~8品くらいの料理が供される。脈絡なく単純に料理が出てきている訳ではない。前菜が胃袋を開けた後、前菜の味付けを受けた熱い料理が出てくる。その次に出てくる料理も前の料理の味付けを受けて、出される。その後に出てくる料理も、直前の料理の味付けを殺さないようにしながらも、ちゃんと一つの料理としての味を感じてもらえるように仕立てている。次から次に運ばれる料理すべて、直前の料理の味を受けて、前の料理の味を越える味覚を感じるように考えて作られているのだ。つまり、最初はやや薄味で始まった料理は、だんだんと濃厚な味に移行しているのだ。
 
・単純に味だけの問題ではなく、口に対して優しくソフトな食材から始まり、調理方法も胃にもたれない軽い物から入っていく。料理の皿を重ねるごとに、徐々に舌と胃袋を満たしながら、最後の方にドッカーン(もしくはズッシリ)と胃袋にくるメインディッシュで味のピークがやってくる。その後、さっぱりとしたスープで口の中に残った調味料を綺麗に洗い流し、それまで食べた料理の味の濃淡、様々な調理方法、各種食材を口にしたことを最後のデザートですべて忘れさせる。デザートの後は、口福感に満たされた胃袋と、至福の時間を過ごしたお客のハートを温かい中国茶が包み込む。どこで唐揚げを出し、どこで蒸し物を出し、肉は何番目と決まりがあるわけではなく、スープを出すのも最後とは限らず、コース料理の流れに応じて出す食材や調理方法は料理人の経験とセンスに任されている。
 
・チャーハンは時間のない昼に、一人でレストランに行く時に食べればいい。コース料理を大勢で食べているのに、チャーハンが出てくると、私はもう相当がっかりする。最後に出てきた料理の残りダレ、それもショウガやニンニクが混じってちょっと濃いめの醤油味があれば、それを出汁のように白いご飯にかけて食べる楽しみがなくなってしまうではないか。一流のフランス料理だと、メインディッシュに残ったソースをパンで拭き取るでしょ?本当に美味しいシノヴェリだって同じこと、最後の方に出てきたその日のメインディッシュに残ったソースを、白いご飯にちょっとかけて食べる、ちぎったマントウにちょっと付けて食べるのが、これがまた美味しく、楽しみ。だから、最後の方に出る料理の皿をサッサと下げる店や給仕は、お客の最後の楽しみを分かっちゃいない。主食は白いご飯、マントウ、餃子。これが良い、シノヴェリなら絶対にお薦め。
 
・私は日本の中華料理店を一方的に非難するつもりは毛頭ない。しかし、日本の中華料理のワンパターン化にはホトホト呆れかえっている。その最も分かりやすいメニューが、デザートに出される杏仁豆腐。横浜の中華街でなくても、地方の老舗中国料理店、東京にあるシノヴェリ・レストランでも杏仁豆腐がメニューにない店は中国料理店ではないと言い切れるくらい、必ず絶対120%置いてある。この本を読んだ読書は、一刻も早くこの呪縛から解き放たれ、本当に美味しいシノヴェリの真髄は温かい(常温でもよい)デザートにあることを知って、杏仁豆腐以外の甘味をコース料理の最後に食べ親しんでもらいたい。具体的に挙げれば、お汁粉の類はどの地方料理にもあり、お餅の類も様々ある。ゴマ団子の方がどれだけ身体に優しくて、良いか。杏仁豆腐が流れを断ち切る最悪のデザートなのだから、マンゴープリンも同じこと。シノヴェリ・レストランなら杏仁豆腐以外のデザートが食べたいと言えば、たとえメニューに書いていなくても、コース料理の最後には美味しいお汁粉や饅頭を出してくれる。重ねて申し上げる!本格中国料理を食べる時は、杏仁豆腐とマンゴープリン以外のデザートを注文しましょう!!!
 
・最近ではインターネットという便利なものがあるので助かっている。特に飲食店を専門に紹介するサイトを見れば、必ず店のメニューを詳しく書いているから、わざわざ店に入らなくとも、それぞれのレストランの料理が分かる。この時点で、コース料理がない店は、中華食堂や一部メニューの専門店と区分けできる。次にコース料理はあるが、料理が固定されているように書かれている店や、コース料理の値段で1名1万円以上のお任せコースがない店は中華食堂の高級店なり、普通の中国料理店と判断する。まったく逆の意味で、コース料理で1名1万円以上の料金設定しかない店は、本格中国料理店のように思えても、私とは縁がなかったと考えいさぎよく諦める。さてここから目利きが必要になる。1名6~7000円位からお任せコース料理があって、2万円を越えるコース料理も用意できる店。それも「中華料理」とは書かずに、「中国」料理と主張している店。つまり日本に従来からある中華料理と我が店は違うのですよと、単語一つにこだわっている店。たとえば、「四大料理」の北京・上海・四川・広東ではなく、「山東料理」や「揚州料理」というようにきちんと料理の系譜を書いていれば、店なり店主・料理人の調理哲学が垣間見え、シノヴェリの匂いがホームページ上からプンプンと漂ってきている。こういうレストランなら一度電話をしてみる価値がある。
 
・直接店に電話をしてみて、コース料理の中身をこちらの希望に変えられて、味付けの要望も聞いてもらえる店なら、そのままコース料理を予約しても問題はないだろう。つまり本場の味付けや、デザートを杏仁豆腐から伝統的な甘味にするとかを聞き入れてくれる店なら、電話した時点でシノヴェリの可能性が高くなっている。初めて訪ねた中国料理レストランで確認すべきことは、お任せコース料理にしたはずがメニューにある料理の羅列ではないかどうか、季節の料理が含まれているかどうか。たとえこれらの条件を満たしても二度と行く必要のない店は、コース料理の流れが悪い店、料理自体が不味い店、お任せコース料理を食べてもお腹いっぱいにならない店。もしその店のお任せコース料理が私の指摘するような流れや季節感があれば、ほぼ合格。特に和風中華にありがちな料理が一切含まれず、見たことも聞いたこともない美味しい料理、一手間二手間かけて作ったことが分かる料理を出してきたら、かなりの確率で合格。100%の合格にならないのは、本格中国料理の良い店か、そうでないかを見分けるには2回以上通って初めて分かるから。二回目に行ったとき、1回目と同じ料理しか出なければ、その程度の店と判断しよう。もし1回目とはまったく違う料理が次々と出されたら、正真正銘の合格。いつ行っても違う料理が出るであろう。本場香港や北京の中国料理店へ食べに行く時も、店へのアプローチの仕方や判断材料は基本的に同じである。
 
・2度以上行くと言っても、半年以上期間が離れていては、あまり意味がない。できれば2ヶ月以内に2度目の訪問はしておきたい。ほぼ同じ季節で、違うメニューが出てくるかどうかが判断の材料になる。もしここで似通った料理が出てきたとしても、がっかりする必要はない。日本は四季の国、年に2~3回しか行かないのなら、その店でも合格なのかもしれない。ただ私が薦めるのは2ヶ月に1回は食べに行く店、行ける店という基準を設けているため、ちょっとレベルが高くなっている。
 
・シノヴェリは、一軒馴染みのレストランを持っていれば、それで十分だと考えている。あちこちの店を食べに歩く必要はサラサラない。それよりもその一軒の店で、毎回違う料理を堪能し、季節や一緒に食べるメンバーによってコースの中身を変えてもらった方が、シノヴェリの真髄、料理人なり店主の調理哲学が見えてきて、実に心地よい。馴染みになるというのは、シノヴェリ・レストランの場合、かなり大きな意味を持つ。単純に顔を知っているという関係以上に、味の好み、食材の好みを理解してもらい、また客側も店の得意な料理、不得手な料理を理解することで、お客の好みに沿った味を店側が常に出せるようになってくる。
 
・初めての時は最低料金のお任せコース料理を注文して、2回目にはそれより一つ値段の高いコースを頼んでみるというのも楽しい。本当に良い店なら、コース料理の値段を上げると、上げただけのことはあるとハッキリ分かる食材を使っていたり、すごく手の込んだ料理が出てきたりする。3回目にはさらにもう1ランク高い値段にしてみると、またもや前回にはなかった感動的な味の料理が出てくるのは常識。次からコース料理の値段が下げられなくなるという頭の痛い問題になったりする。
 
・中国料理の場合、味とサービス、さらに内装は、一緒に評価してはいけないと私は考えている。別々に評価を下し、そこから先はお客自身の満足度で計るしかない。日本人オーナーの中国料理店なら内装に趣向を凝らして、机や椅子も渋い色遣いの木製を選び、給仕も日本人を雇うだろう。中国人オーナーの店だと、内装を極力シンプルで真っ赤か、パイプ椅子に麻雀卓が並んでいるような店にして、給仕は中国人留学生に固めてしまいがちである。確かに客は店の料理を食べに来たのであって、椅子や机を食べるわけではないので、内装にお金をかけなくても、給仕の日本語がたどたどしいからといって大声を張り上げて怒鳴ることもそうないだろうし、それが悪いわけではない。ただしその発想は日本人にはなかなか理解されにくい。サービスにしても同じような文化的な認識の違いがある。仰々しいサービスよりもフランクなサービスを好む中国系の人々は、普通のレストランでも高級ホテル張りの仰々しい応対をする日本人の給仕を見ると、冷たいと感じるようだ。彼らの価値観では、ちょっと馴れ馴れしいくらいの方が、いろいろわがままも通りそうで落ち着くようだ。
 
・中国料理は仕込みが9割。十分な仕込みと季節感を出せるのはコース料理である。昼のランチで、それもラーメンやチャーハン一品だけで、それらの要素を満たすことは難しい。昼のランチが美味しいから、夜の料理が美味しいとは言えない。逆もまたしかり。
 
・今回推奨しているシノヴェリ・レストランは、東京にある店に絞って取り上げている。ただ、家賃の高い都内繁華街でレストランを一軒開店させるのには、少なくない資金が必要だ。そのため、大きな店から独立する料理人は、都内では店を出さずに、東京でも山手線圏外に店を構えることが多い。また東京と比べると家賃の安い東京周辺の都市にも良い店ができやすい。これらは都内で食べるより安い値段で、同じような料理が食べられる。都内ならお任せコースだと6千円くらいからだが、都心を外れると4千円くらいから提供できるようになる。もし近所にこういう店を見つけられればあなたはラッキー。これでシノヴェリ・レストラン選びに苦労する必要はなくなる。これは地方都市にも当てはまる。
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