ブログ「教育の広場」(第2マキペディア)

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教育の広場、第288号、浜松市長発言の検討

2007年06月25日 | 政治関係
教育の広場、第288号、浜松市長発言の検討

 情報紙「びぶれ」の2007年06月14日発行号に市長のインタビュー
記事が載っています。

 まずそれを全文引用します。

        記(記事)

 1、最も重要なのは人づくり

質問・マニフェストには「こども第一主義」「くらし満足度向上計
画」など魅力的な内容がいっぱいでした。すっご~く楽しみなんで
すが、これってホントに実現できるの?

市長・予算が伴わないことはすぐにでもできますよね。例えば、市
長退職金廃止案や市長公舎廃止案は6月の議会で早速出します。

 しかし、予算を伴ったり仕組みを大きく変えたりすることは、今
日言って明日できるようなものではありません。

 例えば「30人学級」の件も、いきなり全部の学校で義務教育が終
わるまで行うなんてことは不可能なわけです。まずモデル校を作っ
て実践して、そこでどういう効果が上がるかを検証していこうと。

 一方で浜松には補助教員を付ける「少人数指導」というものがあ
るんですね。30人以下の学級編成にしなくても同じ効果があるのか
どうか。並行してやってみて、比較検証していきたいと思います。

 マニフェストは多岐にわたるので、各部署と取り組みながら「来
年実現できること」「再来年、あるいはもう少し長いスパンで取り
組むべきこと」など、一つひとつやっていきたいと思います。


質問・子育てや子供の教育に力を入れようとしているのはなぜ?

市長・僕はやっばり子供が元気で健全に育つ環境を作っていかなく
ちゃいけないと思う。それは家庭であり、学校であり、地域であり、
社会であり。結局最後は人ですから。

 人づくりっていうのは僕は最も重要だと思うんですね。初議会の
あいさつの中で上杉鷹山公の話(※)を出しましたけれども、これ
はもう理想ですよ。

(※)うえすぎようざん。
 江戸時代中期の大名。徹底した行財政改革と産業振興により米澤
藩を立て直した。自身は教育に力を入れ人づくりを行った。「為せ
ば成る為さねば成らぬ、何事も成らぬは人の為さぬなりけり」とい
う青葉で有名。


2、山村型の政令市

質問・人づくりも大事なんですが、まちづくりはどうなんでしょ
う?特に中心街の活性化関連は?

市長・浜松の商店街は分散型。ご覧のとおり、郊外に大規模施設が
これだけたくさんあるところは珍しい、これは浜松の個性なんです。
浜松の場合、静岡と違って中心市街地を通って仕事に行ったり生活
をしたりする必要がない人が多い。

 じやあ、浜松のまち中をどうしたらいいかというと、大き過ぎる
中心市街地はいらないわけですよ。誰もそれを望んでいるわけじゃ
ない。

 だからもう1度中心市街地というもののありかたを考えていきた
い。それが「ゼロベースに戻す」という意味なんです。市民も参加
し、ものづくりのまちなんだから作り手の代表も参加してどうする
かを一緒に考えていかなければ。いろいろな意見が出てくると思い
ますよ。

 行政だけではだめなんです。


質問・でも、駅前は「市の顔」ですよね。ほかの政令指定都市を訪
れると「お~つ」って思うんですが、浜松の場合は~。

市長・だからタメなんです(きっぱり)。そういう考えだからタメ
なんです。

 浜松はどういう政令市なんですか?横浜や名古屋のように自然に
人口が膨らんで都市機能が拡充した「大都市型」の政令市ではない
んです。

 浜松は「人工的」な政令市。山村を取り込んで政令市になったん
です。「山村型政令指定都市」と言ったほうがいいのかもしれない。
面積の68%が山なんですよ。こんな政令指定都市はないです。そこ
のところを間違えちゃいけない。

 同じ政令指定都市という名前でも都市のあり方がほかとは全く違
うんですよ。だから浜松の中心部はどうあるべきか。大都市みたい
に大き過ぎる中心地は不要。コンパクトな中にどれだけ都市のにぎ
わいというものを演出していくか、という発想でいかないと。

 この前、ある大きな会社の社員の人に半分冗談で言ったんですよ。
「駅前に本社を持ってくれば必然的に人が集まって商業が活気付き
ますよ」って。そうしたら「勘弁してくれ。なんで俺たちの生活を
不便にしなくちゃいけないんだ」って。郊外型の生活に十分満足し
てるんですよ。

 じやあ、例えば浜松の中心市街地の駐車場を全部タダにしたら行
くのかって?僕は魅力がないと行かないと思う。多くの通勤者が通
る静岡と違って、浜松はわざわざ中心に行かなきゃいけない。その
ためには相当な魅力がないと。

 だから本当にどうあるべきかよ-く考えなきゃいけないんです。
発想を変えていかないと。


3、経済が元気にならないと

質問・いろんなことが改善されて新しい動きがあるのはウレシイけ
ど、それって税金が上がるってこと~?

市長・そこが大事なとこ。まずは徹底して行革をやります。行革と
は税金の使い方、お金の使い方を変えることなんですよ。

 そしてもう一つ大事なのがお金を稼ぐこと。その一つが企業誘致
です。浜松は放っておいてもいろいろな優良な企業が育って財政的
に恵まれてきた地域です。今の状態にあぐらをかいていたらこれか
らが大変、空洞化と言われるように企業がどんどん外へ出て行って
しまいます。

 今は都市間競争でどこもみんな優良企業や研究所がほしいんです。
雇用も促進されますし。そこで今まで培ってきたものづくりの土台
を大切にしながら新しい企業をどんどん引っ張ってきましょうよ、
ってことで企業誘致、立地対策の推進本部を作りプロジェクトを立
ち上げました。

 やはり経済が元気でないと、子育てをやろうとしたって福祉をや
ろうとしたってできませんからね。まず稼ぐことからやらないと。
そんなところから財源を確保していきたいと思っています。


4、浜松は豊かなまち

市長・浜松の売り出し方はいろいろ。いろんなものがあり過ぎるぐ
らいある本当に豊かなまち、だから売り出し方は一つじゃなくてい
い。

 例えば企業誘致にしても今までのように補助金を出さずに、「浜
松の住みやすさ」を前面に押し出してPRする方法もあると思うんで
す。気候が温暖で住みやすい。浜名湖もあるし山もあるしゴルフ場
もある。基本的な都市機能は完備しているし、東京や大阪も日帰り
できる。

 「こんな素晴らしいまちはないぞ、と。ここに進出しないでどこ
に行く?」ってね。


   びーの感想

 今まで「浜松は政令指定都市らしくないな~」と思っていたけど、
鈴木市長のひと言で日が覚めました。新しい発想、新しい市政~。
なんだか浜松も変わリそうでワクワク♪(引用終わり)


     市長発言について(その1)

 第1回としては、浜松市がどういう政令市かを取り上げます。

 市議会の質疑を聞いて鈴木恵市議がブログにこう書いています。

 「新市長にとって、初めての代表質問があり、答弁に立った。ど
の会派も「マニュフェストをどう実現化していくのか」「その手法、
財源、スケジュールはどうしていくか」に質問が集中した。

 私の理解の範囲では、「ひとつの浜松」も「クラスター型政令市」
もめざすところは同じだという意味の答弁だった。「ひとつの浜松」
としての一体感の醸成と地域の個性を活かす都市内分権を推進して
いくのだと。

 「あれ?そういう意味だったんですか?」(引用終わり)

 私も、言葉としては、市長の説明に賛成です。しかし、これでは
内容がありません。なぜでしょうか。

 合併後1年8カ月の北脇前市長の「クラスター型」の方法と結果
についての分析がなく、従ってそれに対する鈴木市長の具体的な対
案がないからです。

 そのために、「だから本当にどうあるべきかよ-く考えなきゃい
けないんです」などといつまでも総論にとどまっているのです。

 私はかつて選挙運動中に「北脇市長はなぜ変わったかのか」とい
う文章を発表して、政策を出す能力がなかったからだ、と結論し、
鈴木康友さんが市長になっても第2の北脇になる危険性がある、と
指摘しました。

 第2次行革審がこの点を補ってくれることを願っています。


     市長発言について(その2)

 「びぶれ」での市長発言の中に次の1節があります。

──しかし、予算を伴ったり仕組みを大きく変えたりすることは、
今日言って明日できるようなものではありません。

 例えば「30人学級」の件も、いきなり全部の学校で義務教育が終
わるまで行うなんてことは不可能なわけです。まずモデル校を作っ
て実践して、そこでどういう効果が上がるかを検証していこうと。

 一方で浜松には補助教員を付ける「少人数指導」というものがあ
るんですね。30人以下の学級編成にしなくても同じ効果があるのか
どうか。並行してやってみて、比較検証していきたいと思います。
 (引用終わり)

 こういう発言を聞くと、市長はこの件でどれだけの調査をしてい
るのだろうか、という疑問を禁じえません。

 まず、教育行政は教育委員会の仕事だと思いますが、教育委員会
とどれだけ話し合ったのでしょうか。

 そうすれば、担任が出来るが今はやっていない教師(たとえば教
頭など)も結構たくさんいることが分かるだろうと思います。

 第2に、浜松市の学級規模がどうなっているのか、教育委員会か
らその数字を聞いたのでしょうか。

 私が聞いたところでは、以下のとおりです。

     浜松市立学校の学級規模

 平成19年05月01日現在、普通学級の数。

 学級規模    小学校   中学校

全学級数    1479     592

複式学級数   29(2,0%)   0
30人以下    446(30%)   39(7%)
31~33人    393(27%)  119(20%)
34~36人    353(24%)  233(39%)
37人以上    258(17%)  201(34%)

 6月19日 浜松市教育委員会 教育総務課

 第3に、モデル校で「検証」するとか、少人数学級と「比較検証」
するとか、もっともらしい事を言っていますが、すでに他所で行わ
れている事例を研究して、自分はこの線で行くという方針を持って
いないのでしょうか。

 一体その「検証」をいつまでにやって、いつ市の方針を決めるの
でしょうか。日程は出せないのでしょうか。

 そもそも、学級規模の問題は本当に浜松市の教育にとって一番重
要な問題でしょうか。そういう事を言うのは重要な問題を上から3
つくらい挙げてからにしても遅くないと思います。

 こういうところを見ても、市長はどれだけ市の現状を調査研究し
ているのだろうか、と思います。

     市長発言について(その3)

 「びぶれ」での発言の最後に行革とは何かを考えたいと思います。

 市長はそこでこう言っています。「まずは徹底して行革をやりま
す。行革とは税金の使い方、お金の使い方を変えることなんですよ。」

 なにしろ「リストラ(再構築)」を「人員整理」の意味にねじま
げて平気でいる国民ですから、市長が「行革」を「税金の使い方を
変えること」と定義しても驚きませんが、やはり本当の意味を考え
ることも必要でしょう。

 行政改革とは、行政のあり方を改革することです。その中にはも
ちろん「税金の使い方を変えること」も含まれるでしょうが、それ
はむしろ「財政改革」で、行革としては行政を担っている職員(そ
のトップが市長です)の意識や態度を変えることの方が中心だと思
います。

 これも究極的には「税金の使い方を変えること」と結びつく場合
もあるでしょうが、直接結びつかないこともあると思います。たと
えば、職員の市民への応対の態度を変えるとか、幹部がブログで週
間活動報告をするようになるとかです。

 今、浜松市政で一番大切な事は北脇前市長の「市民への約束」に
代わる規律を定めて、発表し、実行することだと思います。現在の
市政は無規律市政になっています。

 鈴木市長は市民と対話をせず、市民の質問に答えない市政を実行
しています。このことで市民は意見を言う気力をなくし、とても困
っています。

 それと並んで重要な行革は、市の一体化の中心を作ることだと思
います。

 たしかに市には「音楽の都」を初めとしていくつかのスローガン
があるようですが、それで市全体がまとまっているとは言えない状
況です。

 これについては第1回でも触れましたが、市長の考えも具体化さ
れておらず総論にとどまっています。そして、皆で考えていきまし
ょうということにしています。

 これでは市長として不十分だと思います。自分の案を出すか、出
せないなら第2次行革審に諮問するべきでしょう。

 市民の間ではやはり「音楽の街」案を出す人もいますが、私のよ
うに「芝居の街」案を出している人もいます。

 いずれにせよ、マネジャーが重要です。これまでのように「消化
試合職員」がマネジャーをしているようでは成果は挙がらないでし
ょう。こういう人事の根本を変えることも行革の重要な仕事だと思
います。

 以上、市長の行革観はあまりにも視野が狭すぎると思います。


     お知らせ

 本日2007年06月25日、以下のブログを更新しました。

 「日本国の姿」に「(与党の国会運営)」をアップしました。

 http://blog.goo.ne.jp/kuni7659/

 「浜松市政ニュース」に「第31号、市長発言について(03)」
をアップしました。

http://shisei.hamazo.tv/e417195.html



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