現代の虚無僧一路の日記

現代の世を虚無僧で生きる一路の日記。歴史、社会、時事問題を考える

刑事一代 平塚八兵衛 2

2009-06-21 19:42:24 | テレビ・映画・芸能人
6/21(日)テレ朝開局50周年記念番組『刑事一代』第2部を観る。
「今失われつつあるTVドラマの醍醐味をぜひ味わっていただき
たい」とプロデューサーがコメントしているが、その言葉に
違わず、久々にテレビに釘付けになった。

第2夜は「吉展ちゃん誘拐事件」。容疑者小原保のアリバイを崩し、
自白に追い込むまでの駆け引きが見事。「事実は小説よりも面白い」。
サスペンスドラマや刑事物が氾濫して見飽きてきた昨今、実際の
事件を忠実に再現したものが、こんなにも面白いとは。

殺人事件だけでも124件も手がけたという鬼の平塚八兵衛のプロ魂も、
今では失われつつあるか。その八兵衛も「3億円事件」では、時代の
流れに取り残される悲哀を感じる。

「刑事には100点かO点しかない」という平塚八兵衛。『帝銀事件』
だけはマイナス汚点だ。死刑判決の平沢貞道は1987年95歳まで
生きた。平塚八兵衛は、平沢より8年前の1979年66歳で歿している。
平塚と平沢。対照的な二人の生死、いずくんぞ幸なるか。

刑事一代 平塚八兵衛

2009-06-21 18:49:30 | テレビ・映画・芸能人
6/20(土)TV朝日『刑事一代 平塚八兵衛の昭和事件史』を見た。
帝銀事件、吉展ちゃんなど凶悪事件を手がけた「鬼刑事」を
渡辺謙が好演していた。「しかし、しかし」である。

「帝銀事件」は冤罪である。
鬼刑事平塚八兵衛は、犯人の遺留品「厚生省技官」の名刺から
平沢貞道を犯人として逮捕した。しかしである。平沢は毒物の
知識も無い、それを入手する手段も持っていなかった。毒物の
入手先が解明されないままに犯人とされたのである。

使用された毒物は、旧陸軍の731部隊関係者しか知らないもの
であった。731部隊は、中国で遅効性の青酸化合物を開発し、
支那人に対して人体実験を行っていた。帝銀事件の犯人は、
まず自分で飲んでみせ、2回に分けて飲ませるなど、その毒の
致死量について熟知していた人物である。
ということから、731部隊関係者に捜査が向いていた矢先、
突如GHQによって差し止められたのである。そこで、別に犯人を
仕立てる必要があった。平塚八兵衛は拷問で「虚言癖」のある
お人よしの平沢貞道を“おとした”。

犯人として死刑判決を受け、執行されないまま1987年に95歳で
獄死した平沢貞道については、養子と支援者によって、今なお
名誉回復の請願運動が続けられている。

私は昭和23(1948)年2月4日生まれ。帝銀事件はその1週間ほど
前の1月26日に起きた。だから、私の「誕生日新聞」は、1面
「帝銀事件」のことばかりである。それで、帝銀事件には少なからず
関心があった。昨年も小倉の松本清張記念館に行き、これに関した
記録映像を見てきた。この事件が冤罪であることは明白と、誰の
目にも思えるのだが、それに水を浴びせるような「刑事一代、
平塚八兵衛」の放映は、なんの意図有ってのことか。

足利事件で冤罪が問題になっている折、タイミングが悪すぎである。