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《6月1日(日) 畑浩治総合政策会議議長『日曜討論』(NHK)出演の案内》
※畑総合政策会議議長の出演は9:15~10:15
内容
○日本経済と雇用の現状について
○今後の雇用政策について
○今後の「成長戦略」にどのような雇用政策が必要か等
5月(2014年)5月26日~28日の3日間、スウェーデンのストックホルムで開催された日朝政府間協議で北朝鮮が拉致の再調査に応じた。《北朝鮮への制裁措置一部解除 へ》(NHK NEWS WEB /2014年5月29日 18時52分)
北朝鮮の再調査承諾を受けて、菅官房長官が日朝政府間協議に於ける双方の合意内容を5月29日午後記者会見して発表した。
菅官房長官「終戦前後に現在の北朝鮮領内で亡くなった日本人の遺骨、墓地、残留日本人、日本人配偶者、拉致被害者、拉致された可能性が排除できないいわゆる特定失踪者、すべての日本人に関する包括的かつ全面的な調査を行うことを約束した。
日本側としても北朝鮮側が包括的調査のために『特別調査委員会』を立ち上げ、調査を開始する時点で人的往来の規制措置、送金報告、および携帯輸出届け出の金額に関して、北朝鮮に対して講じている特別な規制措置および人道目的の北朝鮮籍の船舶の日本への入港禁止措置を解除することとした。これらの措置は今後関係省庁間の調整や手続きを経て北朝鮮の調査開始の動きを見定め実施していくことになる。
今回の協議において先方代表であるソン・イルホ大使からは、北朝鮮側は『特別調査委員会』を立ち上げ、調査を開始する時点までに特別調査委員会の具体的な組織、構成、その責任者などについて日本側に対して通報するという明確な発言があった。速やかにということになっているが、具体的には3週間前後だと報告を受けている。
今後北朝鮮による包括的かつ全面的な調査が迅速に行われ、拉致被害者の帰国を含め拉致問題を含むすべての日本人に関する問題の早期解決に向け、具体的な結果が得られることを期待している。
特別委員会が実際に立ち上がり具体的に調査が進捗(しんちょく)する過程をしっかり見極める必要があるが、今回の政府間協議で日本人に関する包括的かつ全面的な調査を実施することについて、文書の形で北朝鮮の明確な意志を確認すること ができたことは日朝間の諸懸案の解決に向けた重要な一歩だ」――
要するに北朝鮮は3週間前後の間に『特別調査委員会』を立ち上げて、委員会の具体的な組織、構成、その責任者等を日本側に報告し、その組織を以って「すべての日本人に関する包括的かつ全面的な調査」を行うことを約束、日本側は調査開始時点で一部制裁解除を交換条件とした。
菅官房長官は「文書の形で北朝鮮の明確な意志を確認することができたことは日朝間の諸懸案の解決に向けた重要な一歩だ」と言っているが、全ては意思の問題であって、文書のあるなしではない。国家間の取り決めであり、文書の形でも記された日ソ中立条約はソ連側の一存でいとも簡単に破棄されることとなった。破棄がソ連にとって一大国益となると分かっていたからであり、事実その通りになった。
当然、菅官房長官が言っている「文書の形で北朝鮮の明確な意志を確認することができたことは日朝間の諸懸案の解決に向けた重要な一歩だ」にしても、文書に信頼の根拠を置くことはできない。全ては実行の内容にかかっている。
かねがね日本政府が拉致解決のために北朝鮮側に真相究明や実行犯の引き渡しを求める間は、それが障害となって、解決に向かわないだろうとブログに書いてきた。実行犯の親玉は金正日だからだ。
当然、真正なる真相究明などあり得ないことになる。
実行犯の引き渡しにしても、ニセ者を仕立てて日本に引き渡したとしても、いつ何時上からの命令で実行犯に仕立てられたと自白しない保証はない。自白したら最後、北朝鮮政府を通して実行犯の引き渡しを求めている関係から、北朝鮮政府がニセの実行犯を仕立てたことになる。かつてのように拉致と権力中枢との関係を切り離して、特殊機関の一部の者による妄動主義、英雄主義にその責任をなすりつけることはできなくなる。
実際の実行犯を引き渡したとしても、いつ破裂するか分からない爆弾を手渡すようなものだろう。長い拘束によって忠誠心が馬鹿らしくなって、「金正日将軍からの命令で行った」と真相究明となる自白を行わない保証はどこにもないし、自白しなかったとしても、万が一の自白の恐れを抱き続けることになるだろう。金正日は既にこの世に存在しないが、金正恩は自らが握っている権力の正統性は祖父子継承に置いているのであって、その正統性を傷つける如何なる障害も認める訳にはいかない。
いわば金日成も金正日も北朝鮮では正義の人であり、勿論、金正恩も正義の人でなければならず、正義の人であることを信じない北朝鮮国民は大勢いるだろうが、正義の人として振舞い、正義の人であることを信じ込ませ続けなければ、権力の正統性を失うことになる。正義は権力維持の最重要な要素となっている。
国内で現れた権力の不正義は拘束や銃殺で抹消可能かもしれないが、国外で現れた北朝鮮権力の不正義はたちまち世界を駆け回ることとなって、世界に対して裸の王様を曝すことになる。
だが、日本政府は次の3点を求め続けた。
(1)被害者の即時帰国
(2)真相究明
(3)実行犯の引き渡し
2013年5月14日から北朝鮮の ピョ ンヤンを訪問して指導部メンバーと会談、拉致問題を話し合った飯島勲内閣官房参与が5月18日の帰国後、都内のホテルで菅官房長官と会って、北朝鮮当局にこの3点を求めたことを報告している。
安倍晋三の同5月18日の視察先大分県別府市で行った対記者団発言がこのことを証明している。
安倍晋三「飯島氏からは菅官房長官が報告を受け、私は菅官房長官から報告を受けることになる。そ して必要があれば、飯島氏から直接、話を聞くことになっている。
北朝鮮による拉致問題は、絶対に安倍政権で解決しなければならない問題だ。すべての拉致被害者の帰国と真相の究明、 さらには実行犯の引き渡しが、安倍政権の基本方針だ」 (NHK NEWS WEB)――
(2)の「真相究明」にしても、金正日が拉致の首謀者である以上、真正な真相究明はあり得ないことは触れたが、引き渡しとなると簡単にはデッチ上げることができない実行犯とは違って、いくらでも創作可能となる。
要するにウソ偽りない真相究明を求めたとしてもないものねだりに過ぎない。北朝鮮側が“真相究明”を謳うことがあったとしても、日本政府を納得させるための真相究明といった類いでしかなく、その真相究明で安倍晋三は国民を納得させるというプロセスを踏むのが精々だろう。
安倍晋三は遅蒔きながら気づいたのか、首相官邸HPに載せてある日朝政府間協議に於ける双方の合意内容を発表する菅官房長官の記者会見記事には「真相究明」に関しても、「実行犯の引き渡し」に関しても、一言も触れていない。「帰国」についてのみ触れている。
菅官房長官「今後、北朝鮮側による包括的かつ全面的な調査が迅速に行 われ、拉致被害者の帰国を含め拉致問題を含む全ての日本人に関する問題の早期解決に向け、具体的な結果が得られることを期待をいたします」云々――
外務省公表の「日朝政府間協議合意事項」でも、「真相究明」と「実行犯の引き渡し」は何も触れていない。
マスコミにしても、政府発表にその言葉がないからだろう、記事で真相究明と実行犯の引き渡しに触れていない。どれも調査と、その実効性を問う内容のみである。
日朝政府間協議の場で日本政府側の要求として両者を入れていなかったことになる。要求事項に入れたものの、北朝鮮側から拒絶されたということは考えにくい。拒絶した場合、調査の信憑性が極めて疑われることになるからだ。
真相究明のない拉致調査とは矛盾そのものでしかない。真相究明が行われたなら、当然、実行犯は特定されることになる。だが、その両方を求めなかった。
拉致被害者の帰国のみを優先させたことになる。誰が何のために、どのようにしてやったかは問わず、拉致被害者だけを探し出して、帰国させる。
但し北朝鮮が真相を究明せず、あるいは実行犯を特定せず、その引き渡しがなくても、真相と実行犯は、後者の場合亡くなっていたとし ても、厳然として存在していたのだから、拉致被害者が北朝鮮で生活していく過程で北朝鮮の権力上層部に何らかの形で関係していた場合、例えば拉致被害者が女性で夫が北朝鮮権力を何らかの立場で構成する一員であった場合、あるいは拉致被害者が男性であったとして も、権力上層部に何らかの職務を通して関与していた場合、拉致が北朝鮮国家権力の上層部で行われていたという真相を知る立場にあったとして、あるいは真相を知る立場にあったのではないかと猜疑される拉致被害者は秘密を守るために帰国は許されないだろう。
真相を薄々でも知る立場にいたなら、実行犯を知り得ている可能性は排除できず、例えそれが想像力を膨らましてのことであったとしても、首謀者が金正日であったのではないかと真相に辿り着いている危険性を疑うことができる場合は、監視の 目が身近に届く状態にしておくために逆に権力層に囲い込む方向の力が常に働くことになる。
いわば拉致された後に北朝鮮でそれぞれが置かれた立場・状況に応じて帰国の条件が異なってくる。
逆に帰国させることができる条件とは北朝鮮で真相を全然知り得ることができない環境に生活していた場合で、帰国させたとしても、特に金正日や金正恩が自らに体現させている正義を些かも損なわないという意味で安全とされる被害者 限定されることになる。
安倍晋三は合意を受けて、5月29日夜、首相官邸で記者団に発言している。
安倍晋三「日朝協議の結果、北朝鮮側は拉致被害者および拉致の疑いが排除されない行方不明の方々を含め、すべての日本人の包括的、 全面調査を行うことを日本側に約束した。その約束に従って『特別調査委員会』が設置され、日本人拉致被害者の調査がスタートすることになる。
安倍政権にとって拉致問題の全面解決は最重要 課題の1つだ。すべての拉致被害者のご家族がご自身の手でお子さんたちを抱きしめる日がやってくるまで私たちの使命は終わらないという決意を持って取り組んできたが、全面解決に向けて第一歩となることを期待してい る」(NHK NEWS WEB)――
「すべての拉致被害者のご家族がご自身の手 でお子さんたちを抱きしめる日がやってくるまで私たちの使命は終わらない」 と全員帰国を謳う楽観的発言となっているが、「真相究明」と「実行犯の引き渡し」を求めたなら、帰国させることができる被害者も帰国できなくさせてしまい、両要求を棚上げしたなら、帰国の条件に応じて一定程度は帰国させることができるといったジレンマは何ら感じていないようだ。
拉致被害者の北朝鮮に於ける生活環境に応じて帰国の条件が異なるとする見方がさして見当外れではないことは次の記事が証明する。
《日本は再調査で拉致決着を= 国交正常化が最終目標-総連機関紙》(時事ドットコ ム/2014/05 /30-16:23)
機関紙「再調査の結果を確認し、拉致問題決着の道筋を日本国民に提示するのは日本の政権担当者の役割だ。
日本は今回、独自制裁措置を最終的に解除 する意思を表明したが、それは通過点に過ぎない。(北)朝鮮側の立場は一貫しており、交渉の目的は(日朝)平壌宣言の履行だ。
合意した措置は対決と不信という悪循環を断ち、両国間の信頼を醸成する第一歩になる。平壌宣言の精神に従い、合意事項が着実に実行されていけば、双方は次の段階に移れる」――
最初の「再調査の結果を確認し、拉致問題決着の道筋を日本国民に提示するのは日本の政権担当者の役割だ」としている文言を記事は、〈日本政府が再調査の結果を受け入れ、世論を納得させて問題の決着を図るべきだと訴えた。〉 ものだと解説している。
「再調査の結果」が満足のいくものかいかないものかは結果を見なければ分からない。満足がいかなければ、これで決着と、その道筋を国民に提示することはできない。
逆に満足のいく内容であったなら、北朝鮮側に要求されなくても、その内容を内容通りに国民に説明できる。
勿論、政府の思惑と異なって、かつての小泉訪朝後の政府説明に対してそうであったように国民が納得しない場合もあるが、誰に指図されなくても、結果と説明の手順に変わりはない。
いわば「確認」 という言葉を使っているものの、「再調査の結果」を問題とせずにその結果で国民を納得させて決着を図れと要求していることになる。これは全面解決はないとの言い替えであろう。程々の解決で決着を図れとの暗示であろう。
帰国の条件が異なるということを意味する。
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