安倍自民党に選挙で1票を投じた国民は安倍晋三の核兵器保有欲求と万が一の保有実現を支持したことになる

2016-08-07 10:08:36 | Weblog

 稲田朋美が8月3日の防衛相就任後・初閣議後の記者会見で核保有について、「将来的にどういった状況になるかということもあると思うが、現時点において核保有を検討すべきではないと思っている」等と述べたことに対する安倍晋三の広島市平和記念式典出席後の記者会見での発言を「NHK NEWS WEB」から見てみる。

 安倍晋三「我が国が核兵器を保有することはありえず、保有を検討することもありえない。稲田大臣の発言はこのような政府の方針と矛盾するものではない。

 唯一の戦争被爆国として、我が国は非核三原則を国是として堅持している。核兵器のない世界に向け、強い決意で努力を積み重ねていく。それこそが今を生きる私たちの責任だ」

 稲田朋美は8月5日の防衛省の午前中の「記者会見」でも同じ趣旨のことを記者に問われて答弁しているが、将来的な保有に含みを持たせている。  

 記者「核の保有について伺いたいのですが、先日、官邸で行われた就任会見で、現時点で核保有を検討すべきではないというふうに仰いました。現段階で、将来的にどういった状況になるかということもあろうかと思いますがというような前提条件というものを付けております。

 つまり、現時点では核保有を検討すべきではないというお考えだと思いますが、将来的にどういった状況になるかというのはどういうことを指すのでしょうか。それさえあれば、核保有を検討することになるのでしょうか」

 稲田朋美「そういうことではありません。私としては、現時点で、核保有と言うことは考えるべきでもないし、考えてないということを申し上げたということです」

 記者「将来的にどういった状況になるかというのはどういうことを指して仰ったのでしょうか

 稲田朋美「それは、憲法上、どういった兵器、必要最小限度がどのような兵器であるかということに限定がないということのみでございます。現時点で、核保有をすることは、あり得ないし、検討する必要もないと思っております」

 記者「そうすると、現時点でということは、将来的には検討する時期が来るというお考えでしょうか」

 稲田朋美「未来のことについて、申し上げる立場にはありません」

 記者「非核三原則について改めて認識を」

 稲田朋美「非核三原則は、国是として堅持をしているところです」(以上)

 「現時点で、核保有をすることは、あり得ないし、検討する必要もない」と一方では言っていながら、その一方で「憲法上、どういった兵器、必要最小限度がどのような兵器であるかということに限定がない」と断りを入れている。

 要するに日本国憲法は必要最小限度の兵器の保有を認めているが、必要最小限度を限定していない――核も入っているとしている。

 これは日本国憲法は別に核保有を禁止しているわけではないですよ、と言っているに等しい。

 安倍晋三にしても「我が国が核兵器を保有することはありえず、保有を検討することもありえない」とか、「我が国は非核三原則を国是として堅持している」とか言っているが、2006年11月6日新党大地鈴木宗男提出の、「『憲法の政府解釈では必要最小限の軍備の中には核も入る』との言説は、政府の見解と合致するか」の質問主意書に対して、「政府としては、非核三原則を政策上の方針として堅持している。また、原子力基本法(昭和30年法律第186号)において、原子力の研究、開発及び利用は平和の目的に限り行う旨が規定されている。

 さらに、我が国は、核兵器の不拡散に関する条約(昭和51年条約第6号)上の非核兵器国として、核兵器等の受領、製造等を行わない義務を負っている。その上で、純法理的な問題として申し上げれば、我が国が自衛のための必要最小限度の実力を保持することは憲法第9条によっても禁止されているわけではなく、たとえ核兵器であっても、仮にそのような限度にとどまるものがあるとすれば、それを保有することは必ずしも憲法の禁止するところではないと従来から解してきている」との政府答弁書を閣議決定しているし、2016年3月18日参議院予算委員会での横畠裕介内閣法制局長官の「憲法上、あらゆる種類の核兵器の使用がおよそ禁止されているというふうには考えていない」との発言を踏まえた2016年年3月23日衆議院議員鈴木貴子提出の質問主意書に対して、「我が国は、いわゆる非核三原則により、憲法上は保有することを禁ぜられていないものを含めて政策上の方針として一切の核兵器を保有しないという原則を堅持している」としながらも、「従来から、政府は、憲法第9条と核兵器との関係についての純法理的な問題として、我が国には固有の自衛権があり、自衛のための必要最小限度の実力を保持することは、憲法第9条第2項によっても禁止されているわけではなく、したがって、核兵器であっても、仮にそのような限度にとどまるものがあるとすれば、それを保有することは、必ずしも憲法の禁止するところではないが、他方、右の限度を超える核兵器の保有は、憲法上許されないものであり、このことは核兵器の使用についても妥当すると解しているところであり、平成二十八年三月十八日の参議院予算委員会における横畠内閣法制局長官の答弁もこの趣旨を述べたものである」とする政府答弁書を4月1日に閣議決定している。(文飾は当方)

 但し「必要最小限度」とは、最初から決めてある最小限度の必要性を指しているわけではなく、相手の兵力(兵員数・兵器数等の総合力)の規模に対抗するに当方が必要とする最小限度の規模という意味であって、相手の兵力の規模との比較でその時々で当方の兵力の規模を変化させていくケースバイケースの可変性を構造とした最小限度の必要性に他ならない。

 相手が長距離ミサイルを配備したら、それに対抗するために最小限度の必要上、こちらも長距離ミサイルを配備する。

 当然、上記政府答弁書が「核兵器であっても、仮にそのような限度(必要最小限度)にとどまるものがあるとすれば、それを保有することは、必ずしも憲法の禁止するところではないが、他方、右の限度を超える核兵器の保有は、憲法上許されない」と言っているものの、「必要最小限度」がその時々の必要性に応じてその規模を変えていくケースバイケースの可変性を構造としている以上、必要性を認めさせさえすれば、どのような大量破壊兵器を備えようとも常に必要最小限度内にとどまり、必要最小限度を越えることはないことになる。

 それが稲田朋美が8月5日の記者会見で言った「憲法上、どういった兵器、必要最小限度がどのような兵器であるかということに限定がないということのみでございます」に当たる。

 「必要最小限度」が相手の兵力の規模に応じて当方の兵力の規模をその時々で変えていくケースバイケースの可変性を構造とした最小限度の必要性を指すことは、7月10日の参院選神奈川選挙区で無所属現職で立候補、当選後自民党が追加公認し、その後参院自民党会派入りしたの中西健治が2015年6月9日に提出した質問主意書に対する2015年6月16日閣議決定の政府答弁書が明らかにしている。

 〈お尋ねの「我が国に対する武力攻撃が発生し、これを排除するために、個別的自衛権を行使する場合」の「必要最小限度」とは、武力の行使の態様が相手の武力攻撃の態様と均衡がとれたものでなければならないことを内容とする国際法上の用語でいう均衡性に対応するものであるが、これと必ずしも「同一の範囲・内容」となるものではない。

 新三要件に該当する場合の自衛の措置としての「武力の行使」については、その国際法上の根拠が集団的自衛権となる場合であれ、個別的自衛権となる場合であれ、お尋ねの「必要最小限度の実力行使」の「範囲・内容」は、武力攻撃の規模、態様等に応ずるものであり、一概に述べることは困難である。〉

 「必要最小限度の実力行使」とは相手の「武力攻撃の規模、態様等に応ずるもの」だと、ケースバイケースの可変性を構造とした最小限度の必要性であることを言っている。

 日本国憲法大9条第1項が「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」と規定し、第2項で「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」と規定しているにも関わらず、「国連憲章第51条自衛権」が、〈この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。〉とする規定を楯に主権国家である以上、個別的又は集団的自衛権は国際法上国家固有の自然権として認められているからと、その承認を国の最高法規たる憲法にまで押し広げて、集団的自衛権にしろ、核保有にしろ、「憲法の禁止するところではない」とする。

 当然、核保有を憲法が認めているとする立場に立っていることは集団的自衛権を憲法解釈変更で行使可能に成功させた例に倣うと、核保有の欲求を抱えていて、いつの日か機会を見つけてその保有を実現させることを前提とさせた「憲法の禁止するところではない」の解釈と見なければならない。

 この点に関して安倍晋三と稲田朋美が一蓮托生の関係にあることは以上挙げた両者の発言から容易に理解できる。

 安倍晋三はアベノミクスを武器に何度かの選挙に勝利を収め、議席を伸ばしてきた。例え国民が気づいていなくても、安倍自民党に選挙で1票を投じた国民は、あるいは今後共1票を投じ続ける国民は安倍晋三の核兵器保有欲求をも支持したことになり、あるいは支持し続けることになるだろう。

 その支持が安倍晋三の手による、あるいは安倍晋三は稲田朋美の子宮に核保有の種を既に植え付けているだろうから、安倍晋三が核保有を実現できなくても、後継者と見做している同じ右翼国家主義者である稲田朋美が首相となった場合、安倍晋三の核保有の欲求を引き継いで、彼女自身の手による万が一の核保有に繋がらない保証はないだろうから、保有実現をも支持したことになる。

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