都知事小池百合子大差当選、安倍晋三と同じ勝てばこっちのもの 鳥越俊太郎のダンディズムは政治に必要なし

2016-08-01 11:10:26 | Weblog

 2016年7月31日投開票東京都知事選は小池百合子が291万2628票、得票率44.5%の大差で当選、自・公・こころ推薦の増田寛也が179万3453票、得票率27.4%で次点、民進・共産・社民・生活推薦統一候補のジャーナリスト鳥越俊太郎が134万6103票、得票率20.6%の結果となった。

 小池百合子と次点増田寛也の得票差が111万9175票。小池百合子と3位鳥越俊太郎の差が156万6525票。

 小池百合子と増田寛也の与党分裂選挙でありながら、鳥越俊太郎は小池百合子に156万6525票も及ばなかった。

 勿論、選挙戦途中の週刊誌女性報道問題が影響もしているだろうが、報道される前の序盤情勢で小池百合子と競り合っていたこと自体が分裂選挙に対する野党統一候補という形勢の利を得ていながら、都民の目に映る候補者としての人間的魅力が小池百合子を抜きん出る程ではなかった、程々の勝負であっことから、折角の形勢の利を生かし切れなかったということではないのか。

 小池百合子は待機児童の問題にしても保育園の問題にしても、都議会改革の問題にしても庶民目線を演じて、庶民目線で喋っていた。それが兎も角も受け入れられたということなのだろう。

 対して鳥越はいくら口で庶民目線を演じようと、高価なスーツや高価な靴、ネクタイ、どこから見ても整髪にカネをかけていると見える髪型等々、余りにもきっちりとした隙のないスタイルを心がけている、全体的雰囲気としてのダンディズムが邪魔をして、そこにジャーナリストとして大物であることの証明を置いているのだろうが、演じているどおりには庶民性は伝わらず、心からの親近感を持たれなかった一因となったのではないのか。

 ネットで得た情報だが、鳥越俊太郎は高価な外車を趣味としているという。ダンディズムを表現する重要な道具立ての一つとしているのだろうが、同時に高級外車に大物のジャーナリストであることの自身の権威性を体現させているはずだ。

 カネとモノの力を借りて、そこに自身の権威性を一体化させる、気取りそのものでしかないダンディズムは政治には要らない。野党統一候補だからそれなりに持ったものの、そうでなければ、見せかけの庶民目線だけでは週刊誌女性問題報道がなかったとしても、中盤・終盤と庶民目線のメッキが剥がれていって、たいした票を集めることはできなかったはずだ。

 野党共闘の夢が破れて、民進党内に共闘のあり方を見直す声が上がっているそうだが、候補者の選択を過ったに過ぎないだろう。

 小池百合子は6月29日に自身の考えのみで出馬表明し、7月6日、国会内で記者会見して自民党の推薦は受けずに立候補する考えを伝えた。

 「しがらみの無い都民の目線で戦える」

 物は言い様である。

 小池百合子は東京都連に推薦願を提出し、多分、強引に推薦を認めさせようとしたのだろう、推薦が得られなくても立候補する考えを示し上で7月5日に都連の会長の石原伸晃と会談、改めて推薦を要請している。

 いわば自分から進んで「しがらみ」を求めている。
 
 但し都連の方は既に増田寛也を意中の人としていたために、このことは自民党本部とも連携していたはずだ、通常国会が6月1日閉会し、事実上の参院選挙に突入していたことの手続き上からも、「都連としての正式な決定は参議院選挙のあとになる」と決定の先延ばしを装って小池百合子の要請をかわすことになったのだろう。

 だが、小池百合子の方は石原伸晃のこの先延ばしを事実上の拒絶と受け取った。

 その結果の翌7月6日の立候補表明であって、「しがらみの無い」は自民党に袖にされた結果、あるいは玄関先から放り出された結果、ツテを失った“しがらみの無さ”であって、決して偉そうに言うことができる“しがらみの無さ”ではない。

 小池百合子の6月29日の出馬表明が自身が所属する自民党都連、特に都議会自民党の猛反発を受けた理由は、「事前に相談を受けなかった」からだとマスコミは伝えていたが、要するに俺達の縄張りで俺たちの断りもなく好きなことはさせない、俺達のルールに従って貰うという縄張り意識からの拒絶反応であろう。

 小池百合子はその拒絶反応に一旦は妥協して自ら「しがらみ」を求めて推薦要請を出したが、それも拒絶されて、いわば縄張り意識に跳ねのけられて、物は言いようで、「しがらみの無い都民の目線で戦える」と、“しがらみの無さ”を訴えると同時に女性ながら不利な戦いを強いられる孤立無援の立候補者を演じてみせた。

 小池百合子はこのときの立候補記者会見で次の公約を掲げている。

 1.都議会の冒頭解散
 2.利権追及チーム
 3.舛添問題の第三者委員会設置(THE PAGE

 1の「都議会の冒頭解散」だが、その要件は次のようになっている。 

 ①有権者による直接請求(リコール)――(約2カ月以内に160万人余りの有権者による有効署名収集)
 ②知事不信任成立後の解散
 ③都議会自身による自主解散
 ④都議会議員全員の辞職または失職(BLOGOS) 

 小池百合子が選挙戦の余熱が熱い内に声をかければ、160万人の署名も集まるかもしれない。
 
 「利権追及」とは一部の古参議員が権力を握って利権を恣にしている状況に都議会が陥って都政が透明性を欠いていることから、その利権を追及するチームをつくるというものである。

 3番目の「舛添問題の第三者委員会設置」にしても、その問題の追及の過程で都議会の利権問題や都知事と都議の不明朗な取引き等々が炙り出されないとも限らない問題を孕んでいる。

 要するに小池百合子は都議会に対して対決姿勢も露わに都議会改革の挑戦状を突きつけ、その姿勢を選挙中、一貫して維持した。

 この対決姿勢に対する集票力は相当なものがあったはずだ。

 ところが当選後のインタビューではこの対決姿勢を一転して協調姿勢に転換させている。

 今朝のNHK朝のニュース。

 小池百合子「既に課題は山積しているわけでありまして、そういう意味ではそこは(私自身も都議も)お互いに民意で以って選ばれている同志、そこはですね、しっかりと交差点、接点をですね、見い出しながら、都民の目線、都民のためになる気持ちでお互いに進めていかなければならない。

 その意味では都議会の方(ほう)とも連携しながら進めさせて頂ければ、ご協力を真摯にお願いをする、そういう段階だと思っています」――

 都議の多くが都議会改革の挑戦状を突きつけた敵であるはずが、「同志」に早変わりしている。

 敵であることから志を同じくする者へと豹変させた。

 「ご協力を真摯にお願いをする」――

 利権を貪っている都議は「都民のため」と言いながら、陰では利権漁りに執着する。小池百合子が「都民の目線」とは言っているものの、都民から見えない陰では取引きもすれば、妥協もする。ときには眼をつぶることもあるとの宣言であろう。

 なぜなら、都議会の改革はボス化している都議の面々を常に敵と位置づけることによって可能となるからだ。協調精神から真の改革は生まれない。

 ここには安倍晋三と同じ勝てばこっちのものという考えが潜んでいる。

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