中川昭一の正体見たり、麻生共々の無責任性

2008-10-04 09:36:06 | Weblog

 新党日本の代表田中康夫が10月2日の参議院での代表質問で月刊誌に発表した『日本経済復活のための13の政策』について財務大臣の中川昭一に質問している。

 田中康夫<その本文中に示された見出しは、「国民を犠牲にする改革は本末転倒」、「減税や財政支出も躊躇するな」と始まり、「高齢者への対策」、「母子家庭への対策」、「フリーターへの対策」、「正規雇用者への対策」と続きます。まさしく片腹痛し。私は今一度、目次ページを眺め直しました。もしや、「財源無視宣言」と副題を冠してはいまいか、と。
 同様の懸念を抱いたマスメディアの表現者もいたらしく、これらの政策提言を実行するには総額21兆円余りの財政出動を要する、との試算を報じています。いやはや、目糞鼻糞は一体、どちらでありましょう? 改めて財源を明示して頂きます。中川昭一さん、明確な答弁を頂戴致したく存じます。>

 中川昭一財務大臣の答弁<私が本年7月に発表いたしました、あー、提言に就きましてのお尋ねでございます。具体的にご紹介いただきありがとうございます。

 さて、財政を含め、本提言につきましては財務大臣就任(と「前」を強調)のものでございますから、財務大臣の立場から、お答えすることは差し控えさせていただきます。

 但し、(と再び声を高め)日本を元気にしたい、との思いは些かも変わりはなく、財政再建に努力するとともに、日本経済の持続的な、安定した繁栄を図ることを、基本路線として踏み外さず、日本にとって必要な施策(せさく)についてはしっかりと対応してまいりたいと思います。>(答弁終了)――

 『日本経済復活のための13の政策』とは小説や詩の類ではなく、中川本人も「本提言は」と言っているように政策実現のための提言であろう。「日本経済復活」はかく方法を取るべしと高らかに宣言したのである。

 中川昭一が言う「日本経済復活」の条件はただ一つ。提言どおりの「13の政策」を忠実に実行する手腕である。勿論、提言は財源なくして実行はできない。提言は財源と一体となった構想の形を取って初めて提言の形を取ることができる。

 当然、「財務大臣就任前」に発表した提言だから、就任後に財源を示すことはできないとか「差し控える」といったことはできないはずだ。大体が 財務大臣就任は提言実現の絶好の機会となる。喜び勇んで財源はどうの、実現性はどうのと立て板に水の如くに喋るものだと思うが、「財務大臣の立場から、お答えすることは差し控えさせていただきます」とはどういうことなのだろうか。

 提言はそれを発表した段階で、いつでも財源を示す用意がなければならない。くどく言うが、政策提言は財源の裏づけがあって初めて満足な提言足り得るからだ。

 民主党の小沢代表とて、自民党から民主との経済政策は財源の裏づけがないと非難されつつ、<「予算の総組み替え」や特別会計と独立行政法人の原則廃止、「埋蔵金」の活用などを提示。それにより、21年度に8兆4000億円、22、23年度は各14兆円、24年度は総予算の1割にあたる20兆5000億円の「新財源」>(「msn産経」)を示している。

 また提言の発表が「7月」ということだから、麻生首相が9月末に中川昭一を財務大臣に任命するに当たって、経済政策にそういった考えを持った政治家ということで『日本経済復活のための13の政策』提言を任命条件の主たる一つの要素としたはずである。

 提言とは無関係に任命しました、あるいは月刊誌に中川昭一が「提言」を発表したことなど知らなかったでは済まないだろう。突っ込んだ言い方をするなら、『日本経済復活のための13の政策』提言に「日本経済復活」の期待をかけてもいたはずである。

 かけてはいませんが、財務大臣に任命したでは特に現在の経済的に重大危機を迎えている時期に於いては矛盾する。『日本経済復活のための13の政策』提言に日本経済復活のカギを見い出し、それが任命の大きなキッカケとなったとすることで任命に於ける整合性を獲ち得る。

 そのとき既に任命責任者の当然の義務として、例え「提言」そのものに財源が明記していなくても、そこに財源の裏づけを見ていなければならない。

 まさしく麻生首相が「任命した段階では適任だった」はずである。適任とする理由に『日本経済復活のための13の政策』提言が無視できない存在感で含まれていたということである。

 その適任性を証明するためにも、中川昭一はなおのこと財源を示さなければならない。証明して自らの経済政策の才能と提言に関わる責任を証拠立てなければならない。

 だが、「財政を含め、本提言につきましては財務大臣就任前のものでございますから、財務大臣の立場から、お答えすることは差し控えさせていただきます」と財源を示さなかったばかりか、示さないまま、任せてもらいたいといった力強い言葉で「但し日本を元気にしたい、との思いは些かも変わりはなく、財政再建に努力するとともに、日本経済の持続的な、安定した繁栄を図ることを、基本路線として踏み外さず、日本にとって必要な施策(せさく)についてはしっかりと対応してまいりたいと思います」と確約した。

 『日本経済復活のための13の政策』提言の財源を示さないままの「日本経済の持続的な、安定した繁栄」の確約とは無責任極まりない二律背反というだけではなく、財務大臣という経済問題担当の重要な立場に反して言葉で言っているだけの「日本経済の持続的な、安定した繁栄」と堕す二重の無責任を犯すことになる。

 どうせ麻生内閣は選挙管理内閣だ。総選挙を行えば民主党に政権が移る。例え短い間でもお仲間の中川昭一に財務大臣という重要閣僚を経験させてやろうということで任命したということなら、提言とか財源とかと関係なしに整合性を最初から抱えた任命とはなる。

 但し、麻生首相共々の無責任は依然として残る。

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