長井さん銃撃問題は進展しているのか

2008-01-16 10:12:00 | Weblog

 ≪「長井さん銃撃死近距離から」 警視庁鑑定≫と題するごく短い記事が1月12日(08年)の『朝日』夕刊の紙面の隅っこにまるでそっと知らせる訃報記事のように掲載されている。(あまりじゃないか)

 <ミャンマー(ビルマ)で昨年9月、反政府デモを取材中のジャーナリスト長井健司さん(当時50歳)が銃撃され死亡した事件で、警視庁は11日、「1メートル以内の極めて至近距離からライフル銃に相当する小銃で射撃された」とする司法解剖の鑑定結果を発表した。
 組織犯罪対策2課が杏林大に鑑定を依頼し、結果が4日まとまった。それによると、中から出る高圧ガスの熱で皮下脂肪が溶けていた。死因は肝臓損傷による失血死だった。>――

 警視庁は長井さん銃撃死を日本人が海外で重大犯罪に遭った場合を想定した刑法の「国外犯規定」を適用し、殺人容疑で捜査に乗り出すことを決めている。その後の進展はどうなっているのだろうか。

 外務省の薮中外務審議官は遺留品、特にビデオカメラの問題について返還を強く求めていると新聞だかテレビだかが報じていたが、外務省を通じた対ミャンマー要求はその後どのような経過を辿っているのだろうか。

 高村外務大臣は事件直後、真相究明を求めることとビデオ返還を「返るまで求めていく」と国民に対して断言したが、断言したとおりに事は運んでいるのだろうか。運んでいるとしたら、どの程度まで進んでいるのだろう。

 昨年11月(07年)にシンガポールで開催された東アジア首脳会談を機会に福田首相はミャンマーのテイン・セイン首相と会談し、ミャンマーの民主化の進展と事件の真相究明、遺留品の返還などに関して誠実な対応を要求したということだが、その要求は機能しているのだろうか。言ったままで終わっていないのだろうか。

 その後の進展がどうなっているかを調査し、もし言ったままで終わっているとしたら、改めて強く要求すべきだろう。事後調査もせず、事後要求もしなければ、いわば言ったままで終わらせることにするなら、日本国民の手前民主化要求と事件の真相解明要求の演出をせざるを得なかったからしただけだったということになる。つまり猿芝居を演じた。

 猿芝居を演じるのは安倍前首相の方こそがふさわしく、福田首相はあまりふさわしくないと思うのだが、ブルータス、お前もか、と言ったところなのだろうか。

 高村外相も同じ東アジア首脳会談の機会を利用してミャンマー外相と会談し、射殺事件真相究明とビデオカメラの返還を求めている。その後どうなったか、問い質したのだろうか。 

 マスコミもただ単に警視庁が発表した鑑定結果をそのまま報道するのではなく、政府や警視庁(国外犯規定による捜査)が国民に対して行った約束がどの程度履行されている、その進展具合を福田首相、高村外相及び警視庁に問い合わせて国民に知らせるすべきではないだろうか。

 事件を風化させるさせないの大きなカギはマスコミが握っている。遥かに朝青龍問題よりも大事だと思うのだが、マスコミは朝青龍の一挙手一投足の方が面白いようだ。

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