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府知事選挙/大阪を元気にするには官僚体質の打破しかない

2008-01-12 07:23:44 | Weblog

 そして姑息な自民党・公明党の選挙戦

 大阪府知事選が1月10日に告示された。その大阪府だが、昨年暮れの12月30日というどん詰まりに情報公開せずに府債返済を借り換えの手法を使って総額3500億円ものカネを先送りして、その分を一般会計にまわして見かけ上赤字額を減らす「赤字隠し」を行い、財政再建団体に転落するのを防いでいたことが発覚してマスコミに報道されることとなった。

 隠した分借金が減らないことになり、府債残高(一般会計)は06年度末で約5兆円に上るという。いわば素人が自転車で綱渡りに挑戦するような財政的に危険な状況にあるらしい。当然のこと、誰が当選しても赤字減らしと財政再建団体の回避という難関が待ち構えることになる。

 元々大阪府は土地柄なのか大阪市も含めてムダ遣い・裏ガネ作りの放漫経営で日本全国に名を成していた。売れっ子になっていくらでもカネが入ってくる漫才師・お笑いタレントの類がいい気になって女と酒にカネを浪費するようなズサンな金銭感覚を役人たちも受け継いでいるようであった。

 大阪府が府ぐるみで30年以上の長きに亘って取引企業に出させた架空請求書に支払ったと見せかける架空取引形式でその企業の口座に取引代金をプールさせて私的な飲み食いに使っていたとして市民団体の指摘で露見したのは横山ノック知事時代の1996年の12月である。遡った1年半の間で裏ガネは1億2千万円以上に達していたということだが、日本の経済発展に相連れ添って裏ガネ金額は累進的に増加していったと計算しても、30年をかけたら、相当な数十億単位となるのではないだろうか。やりにもやったり大阪府といったところである。

 昭和で言うと東京オリンピックが終わった後の昭和40年代からで、日本が高度経済成長レースのスタートからほんの少し先を走り出していた頃のことである。そして昭和48年に第一次オイルショック、続いて昭和54年に第二次オイルショックのパンチを食らっていささかたじろぐことになるが、1986年末から「バブル景気」に突入、1991年の花開く春という季節に逆に経済の花は弾け散り、失われた10年へと足を踏み込むことになるのだが、世間がそのように浮き沈みしている間も大阪府は「30年以上の長きに亘って」公金の私的流用のバブルに浸っていたのである。

 04年12月には今度は大阪市が93年から市職員OBに共済年金以外に1人当たり最高で計400万円となるヤミ年金とヤミ退職金が受取れる任意団体をつくり、維持資金としてこちらは11年の長きに亘って市職員の掛け金以外に300億円以上もの市費が投入されていたことが露見している。

 大阪府の放漫経営と同質・同根の「県民・市民の税金?公金?そんなの関係ねえ、オッパピー」のお膝元大阪市の放漫経営なのだから、地方自治体に於ける上部組織の大阪府が関係ないとは決して言えない。上のなすところ、下これに倣う、である。いわばお互いに公金仕立てのうまい汁を吸い合っていた。

 また借金依存の公共事業、その上に毎年40~50億円の予算を投入している同和対策はエセの圧力、あるいは威嚇を受けて相当に不明朗な部分を抱えているということだが、これらも放漫経営が許しているムダ遣いに入れなければならないだろう。

 言って見れば、大阪府の赤字体質、借金隠しは大阪市共々職員の体質が中央官僚に劣らずに官僚体質化し、腐り切っていて、そのことが原因しているということではないか。

 対して府知事選立候補の主たる3人とも大阪の「元気回復」を自らの政策のキーワードに掲げ、府民に訴えている。腐りきった府職員・市職員を背中にして、その方向には目を向けずに府民に顔を向けて、予算はどうする、こうする、ムダ遣いはやめると懸命に約束している。

 いくら社長一人が頑張っても、社員が腐り切っていたなら、頭に描いた製品(=政策)は素晴らしいものであっても、頭に描いたとおりの製品はできないし、売れ行き(=政策実行)は製品の質に応じて希望どおりには運ばない。消費者(=府民)に恩恵をもたらす製品には出来上がってはいないからだ。いわば空回りすることになる。

 とすると、府民に顔を向けて政策を訴えるにしても、背後の腐り切った府職員をどうするか政策の俎上に上げ、その扱いを根本に据えるべきではないだろうか。例えば橋下自公隠れ候補が公立小学校の運動場の全面芝生化をマジメ顔で訴えているが、多分子供たちに伸びのびと走らせるために考えついたのだろうが、伸びのびと走る場を提供したとしても、日常不断に伸びのびと走る機会を提供しなければ、赤字ハコモノ施設と同様の運命を辿ることになるし、場を提供しなくても、伸びのびと走る機会さえ提供すれば、どのような場所でも環境に適応して伸びのびと走るようになるもので、発想が逆だと思うのが、ハコモノに当たる芝生化が実現したとしても役人たちが県議とグルになってその工事を利権の餌食に変えてしまったなら、予算不足となって5年でできるところが10年かかる、20年かかるということになりかねない。

 府庁が体内に抱えるガン細胞はにっちもさっちもいかない程に増殖し、全身転移していて治療には荒療治しかないと見なければならない。府職員を全員入れ替えて首のすげ替えを行うか、それが不可能なら、課長や部長といった上司の首のすげ替えを行うことで怠惰・怠慢な職務態度の者の身分保障・生活保障は請合わない前例を作り、それを楯にヤル気を出し、ヤル気を維持できる者を引き立てることを絶対条件とする人事を行うことを政策のトップに持ってくるべきだろう。それが実行できるか否かによって、他の政策の成否がかかってくる。

 どうせ5兆円も借金を抱えていて財政再建団体転落寸前の状態なのだから、職員の削減は既定路線としなければならない。その機会を捉えて、大阪府のムダ遣い・借金づくりの放漫経営に指導的立場で多大に貢献してきた部長・課長クラスから始めて順次下位に向けて首を切っていく好機とすべきだろう。

 独裁に走るのはまずいが、生活を失いたいか、失いたくないか、失いたくなければ、一生懸命に働けといった性格の強権が今こそ必要でないだろうか。街頭演説のどの候補の言葉も歯がゆく見えて仕方がない。

 予断になるが、橋下徹自公隠れタレント候補はWikipediaによると、かつて<『サンデージャポン』で日本人団体による中国広東省珠海市での集団買春問題に関して、「日本人による買春は中国へのODAみたいなもの」と発言し批判を受け、生放送で降板を宣言した(正確には降板させられた)。その後、2006年中期から時々ゲスト出演しており、その時には「青空有罪・無罪」の有罪という扱いで出演する(無罪は八代英輝)。先に『たかじんのそこまで言って委員会』で全く同様の発言をしたがこの時は問題に問われなかった。>となっているが、売春をそれが20歳以上の男女の1対1の取引であるなら否定はしないが、ODAに於ける国家予算の流れを売春に於けるカネの流れと同等・同質になぞらえる発想はさすが売れっ子のタレント弁護士だけあって見事という他ない。この発言は同等・同質扱いの言い草であるゆえに、「日本の中国へのODAは日本人による中国人女性に対する買春みたいなもの」と言い換え可能となる。ODAを買春程度と貶めているのである。

 また豊かになった中国人が大量に日本に旅行に来て「買春」したら、「中国人による買春は日本に対する中国特需の一部だ」とでも表現しなければならなくなって、ありがたく受け止めなければならなくなる。確か週刊誌に成金中国人が日本人AV女優を上海だかに呼び寄せてカネに飽かせて甘い生活を漁っていると窺わせる内容の見出しを掲げていたが、橋下徹の主張に添うなら、日本のODAが一部貢献した中国人の成功物語と褒め称えなければならなくなる。

 こういった独りよがりの発想人間を知事にと1票を投じる有権者の政治認識はやはり独りよがりが吸い寄せあう予定調和の結果なのだろうか。横山ノック辺りを知事に圧倒的多数で当選させた前科のある府民である。性懲りもなく橋下徹に1票を投じる府民が後に続いたとしても不思議はないと見なければならない。

 同じWikipediaに橋下徹は体罰容認の発言をしていると出ていたが、小学校校庭全面芝生化発言は自らの体罰容認主張を薄め、中和させて曖昧模糊とするキレイゴトの疑いもある。

 「橋下氏は知名度が高く、無党派層への支持を広げるには政党色を前面に出さない方がいい」との判断から自民党、公明党とも党本部としての推薦・支持を見送るとした記事が朝日新聞に載っていたが、政権交代か、政権交代阻止かの政党対決の様相を呈していて勝ち負けが有権者の意識に影響は与えないはずはない最近の政治状況と、毎日新聞の昨年12月の世論調査で次期衆院選は自民党と民主党のどちらに勝ってほしいかを尋ねたところ、民主46%、自民33%という結果が出ていること、さらに最初から無所属ではなく、自民党からの立候補要請を受けて決めた立場にあることを考え併せるなら、自公の代表を名乗り、名乗らせて政党色を前面に出すのが有権者の政治の行く末を見守る視線に応える正直な態度というものだろう。それがどう誤魔化しても誤魔化しきれるはずもないのに、「政党色を前面に出さない方がいい」と誤魔化すまやかしを平気でやらかせている。

 何とも姑息な自民党であり、公明党であることか。

 参考までに引用。

 ≪<衆院選>勝利期待は民主46%、自民33%≫(毎日新聞調査1月5日)

 毎日新聞が昨年12月に実施した全国世論調査(電話)で、次期衆院選は自民党と民主党のどちらに勝ってほしいかを尋ねたところ、民主46%、自民33%という結果だった。その他の政党13%、無回答9%。「民主躍進、自民惨敗」となった昨年7月の参院選直後より民主党のリードが大きくなった。年金記録漏れ問題や防衛省の不祥事などで自民党への逆風が強まっていることがうかがえた。
 この質問は今回で5回目で、いずれも民主党が自民党をリードしている。参院選直後の昨年8月調査は民主44%、自民37%で7ポイント差だった。9~10月の3回の調査では差が4~5ポイントに縮まったが、今回は13ポイントに開いた。
 同時に質問した支持政党が自民26%、民主27%と拮抗(きっこう)していることを考えると、民主支持層以外にも民主党への期待が強いことを示した
 衆院選への関心については、「非常に関心がある」39%、「ある程度関心がある」43%で、計82%が関心を持っている。「あまり関心がない」は11%で、「全く関心がない」は3%だった。
 衆院選の投票の際に最も重視するのは「政策」が51%で咲いた。「人柄」15%、「所属政党」11%、「経歴や実績」9%、「イメージ」3%などが続いた。当選した政治家に一番重視してほしいものは(1)「国全体の政策」62%(2)「地元への貢献」27%(3)「政府や政党幹部とのパイプ役」4%--の順で、有権者が政治家の政策立案能力に期待を寄せていることが浮かんだ。
 衆院選で小選挙区と比例代表でどちらを重視するかは、「小選挙区」の68%が「比例代表」の21%を大きく上回った。【石川貴教】

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