7日(07.8)午後の自民党代議士会
中谷元・元防衛庁長官(谷垣派)「総理は責任を痛感していると言うが、自民党の政策を有権者に理解してもらえる態勢をつくるため、この際、いったん身を引くことで抜本的にやり直すべきだ」「抜本的な議論がないと、荒波は乗り切れない」(07.8.8./日刊スポーツ≪安倍首相ぼう然、面前で「やめろ」発言≫)
小坂憲次前文科相(津島派)「この選挙は、安倍と小沢のピッチャー同士の投手戦。観客(有権者)は、ホームランを打たれた投手の交代を求めている。自ら続投を求めるのではなく、監督に意見を聞くべきだ」(同日刊スポーツ)
石破茂元防衛庁長官(津島派)「首相は反省すべきは反省すると言ったが、何を反省しどう改めるか、はっきりさせるべき」(サンケイスポーツ≪安倍首相に辞めろコール、自民党代議士会は大荒れ模様≫)
村上誠一郎氏(高村派)「人心一新というのは、トップが変わらないかぎり人心一新にはならない」(j-castニュース)
福島テレビの≪自民党代議士会で首相退陣求める声≫(date:8/7 16:25)
<中谷元・元防衛庁長官「私は、一度総理は身を引いてですね、これからどう進んでいくのか、そういう議論を全党的にしなければ、とてもこれからの自民党の運営は極めて難しいと」
小坂憲次・元文科相「ホームランを打たれてしまった投手(党首)に対してはですね、やはり交代を求めた、これは政権の交代を求めたんではなくて、ピッチャーの交代を求めたんだと思います」>
今回の大敗で参院選最大派閥だった津島派が35議席から22議席へと13議席減らし、安倍出身派閥の町村派が28議席から7議席減らしたものの21議席と津島派と肩を並べる結果となったことへの小坂憲次・石破茂、その他の津島派の面々のこのような踏んだり蹴ったりを招いた張本人安倍晋三への恨みつらみはひとしおなのだろう。数は力の数を奪われてしまったのだから。
≪“反安倍派”結集へ≫(07.8.9/スポーツ報知)
<崖(がけ)っぷちの安倍晋三首相(52)に対し、ついに“チーム・反安倍”が結集した。自民党の小坂憲次前文部科学相、園田博之元官房副長官ら、安倍首相に距離を置く議員6人が8日、都内で会合。表向きは倒閣ではなく、安倍政権の政策転換を求める勉強会だが、続投に批判的な議員らを集めていく狙いがありそうだ。
会合には小坂、園田両氏に加え、渡海紀三朗、三原朝彦、山本公一、後藤田正純氏が出席し、今後は野田毅元自治相が参加予定。園田氏は「本来の自民党を取り戻すための会」と説明した。当選回数にかかわらず、広く参加を呼びかけていく方針で、今月中に再度、会合を開く。7日の代議士会では、小坂氏から面前で退陣を求められ、ぼう然とした安倍首相が、さらに窮地に立たされた形だ。
一方で党本部では、大敗した参院選を振り返る、地域ごとの国会議員の会合が開かれた。「全部おわびと弁解から始めないといけない選挙なんて、勝てるわけがないと思った」「テレビなどで総理のご発言を聞いていると、我々の実感と違う。危機感が官邸に伝わっていない」など、厳しい意見が続出した。
会合で発言した猪口邦子前少子化担当相は「地方紙が大事ということを言いました。民主党の小沢党首は、目の前に20人、30人しかいなくても、行けばその地方の新聞の1面トップに出る。そこから学んだ方がいい」と話していた。>
昨9日に開かれた各派閥の会合後の主だった議員の様子を同夜のNHKニュースウオッチ9が伝えている。
額賀元防衛庁長官(津島派会長代理)「安倍総理ですね、責任感じて、人心一新、そしてまた人事を考えると、あるいはまた政策の見直しをすると言ってますから、そういうことをまず示していただかなければ進まないと思います」
「まず示し」たくとも、安倍総理、口先だけの人間だから、示すことができないでいるのだということに早く気づくべき額賀元防衛長官ではないだろうか。
後藤田正純(津島派)「安倍さんも、その信任されたと、お思いだからこそ、今回続けたがっていらっしゃるわけですから、じゃあ、その自信があるんであれば、もう1回、じゃあ、総裁選して見ましょう。自民党の人間がですね、イエスと言うかノーと言うか、正々堂々と総裁選を開くべきだと――」
後藤田正純、自分の中では安倍晋三を既に総理・総裁と認めていないらしく、肩書きではなく、「安倍さん」とさん付けで呼んでいる。素晴らしい兆候ではないか。
中谷・元防衛長官「とにかく今しなきゃいけないことは、先の参議院選挙の総括であって、これを行うには一度総理が身を引いてですね、えー、どういうことをするかということから考えないと再出発できないと――」
山崎拓・元副総裁「(閣僚は)総入れ替えすべきだと思いますよ。今回の事態を招いたのは今の内閣の責任ですから。本人がやめない以上、あとの人を全員交代させるべきだと思いますよ」
総入れ替えさせておいて、自分だけ残った、自分だけ残ったと囃し立てるのも一つの手か。
古賀元幹事長「厳しい環境の中で総裁・総理は続投をご決意いただきました。一つの茨の道を選ばれたわけでありますが、結果に対する責任と反省を目に見える形で私共に示していただかなければならないと思います」
古賀先生、古賀大明神、最初の郵政民営化法案採決では本会議を欠席して棄権の形を取り、反対票を投ずるよりも自分への風当たりを弱める工夫をして、お陰で党除名処分を免れ、郵政解散選挙では党公認を得るために郵政民営化賛成にまわり、昨年の総裁選では安倍支持を打ち出して主流派にくっつく形勢を見るに敏な事勿れな態度に終始していながら、安倍形勢悪しと見たのか、なかなかの強気である。
高村元外相「この敗北で腰を抜かすことなく、必要な改革はこれからも進めていく。郵政選挙の圧勝で傲慢になった部分があったとすれば、それは反省して改革の陰の部分にしかるべき手を打っていく――」
なーに「腰を抜かす」どころか、安倍晋三、顔色は冴えないが、「職を辞すべきとの声があることは承知している。大変厳しい道だが、私の判断が間違っていなかったと思っていただけるよう全力を尽くしたい」としぶといまでの自信を漲らせている。この自信はどこから来ているのか。法案を何本通したと、数の力を自分の力と勘違いしてそれを成果とする〝判断の間違い〟をベースとしていることは間違いない。
麻生「今回の選挙の結果、色々と意見が出るということは、これ出ない方がおかしいんです。閣内にいる一員ということでもありますんで、私としてこういう状況をきちんと踏まえて、総理・総裁がきちんと決断を自分なりに踏まえられたら、それに従って我々はそれを支えていかなければならない」
安倍の次を狙っているのだから、それはそうだろう。但し自民党内の反安倍勢力が大きな力となった場合、麻生の安倍支持は反安倍の流れに飲み込まれる可能性も出てくる。坊主憎けりゃ、袈裟まで憎しの袈裟になる可能性である。
安倍首相「党内で色々な意見、厳しい意見が出るのは当然だと思います。ま、こうした意見を受け止めながら、しっかりと党を纏めていくべくリーダーシップを発揮させていただきたいと思います」
そうだよ、「私の内閣」なのだから、私の自民党なのだから、しっかりと纏めていかなければ。「私の内閣、私の内閣」と機会あるごとに他の誰のものでもない〝自分の内閣〟だということを宣伝し続けてきた。宣伝してきた手前、そう簡単には手放すことなんかできるものではない。中身はボロボロの内閣だったが、それがボロボロだったとピンとくるほどには賢い頭ではないし。
まあどっちにしても、こういったワクワクするような愉しい自民党内紛場面は安倍首相が続投したからこそ賞味可能となった第1幕、第2幕といったところだろう。続投にも意味があるわけである。次の幕が待ち遠しい。