源氏物語歌集-悠山人編

『源氏物語』中の短歌(和歌)のすべてを、
原作の順序にしたがって、紹介する。→日本初!

10賢木10 行くかたを

2007年08月21日 | 09葵~12須磨
源氏物語歌集 141
巻十 賢木 10 源氏

    行くかたを ながめもやらむ この秋は
    逢坂山を 霧なへだてそ


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□・・・、「あはれなるけを、少し添へ給へらましかば」とおぼす。
 霧いたうふりて、ただならぬ朝ぼらけに、うちながめて、ひとりごちおはす。
 (源氏)「行くかたを・・・□

10賢木09 鈴鹿川

2007年08月20日 | 09葵~12須磨
源氏物語歌集 140
巻十 賢木 09 御息所

    鈴鹿川 八十瀬のなみに ぬれぬれず
    伊勢までたれか 思ひおこせむ


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□・・・ぬれじや」 と、聞え給へれど、いと暗う、ものさわがしきほどなれば、
またの日、関のあなたよりぞ御返しある。 (御息所)「鈴鹿川・・・おこせむ」
 ことそぎて書き給へるしも、御手いとよしよししくなまめきたるに・・・□

10賢木08 ふりすてて

2007年08月19日 | 09葵~12須磨
源氏物語歌集 139
巻十 賢木 08 源氏

    ふりすてて 今日は行くとも 鈴鹿川
    八十瀬のなみに 袖はぬれじや


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□暗う出で給ひて、二条より洞院の大路を折れ給ふほど、
二条の院のまへなれば、大将の君いとあはれにおぼされて、
さか木にさして、 (源氏)「ふりすてて・・・□

10賢木07 そのかみを

2007年08月18日 | 09葵~12須磨

源氏物語歌集 138
巻十 賢木 07 御息所

    そのかみを 今日はかけじと しのぶれど
    心のうちに ものぞ悲しき


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□・・・、末の世に内を見給ふにも、もののみ尽きせず、あはれにおぼさる。
十六にて、故宮に参り給ひて、二十にて後れ奉り給ふ。三十にてぞ、
今日また九重を見給ひける。 (御息所)「そのかみを・・・□


10賢木06 国つ神

2007年08月17日 | 09葵~12須磨
源氏物語歌集 137
巻十 賢木 06 斎宮

    国つ神 空にことわる 中ならば
    なほざりごとを まづやたださむ


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□ことわれ 思う給ふるに、あかぬ心地し侍るかな」とあり。
いと騒がしきほどなれど、御返りあり。宮の御をば、
女別当して書かせ給へり。 (源氏)「国つ神・・・□

10賢木05 やしまもる

2007年08月16日 | 09葵~12須磨
源氏物語歌集 136
巻十 賢木 05 源氏

    やしまもる 国つみ神も 心あらば
    あかぬ別れの なかをことわれ


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□院の御心よせもあればなるべし。出で給ふほどに、大将殿より、
例のつきせぬ事ども聞え給へり。(源氏)「かけまくもかしこき御まへに」とて、
ゆふにつけて、「鳴る神だにこそ。 (源氏)やしまもる・・・□

10賢木04 おほかたの

2007年08月15日 | 09葵~12須磨
源氏物語歌集 135
巻十 賢木 04 御息所

    おほかたの 秋の別れも 悲しきに
    鳴くねな添へそ 野辺の松虫


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□・・・、松虫の鳴きからしたる声も、をり知り顔なるを、さして思ふことなきだに、
聞き過ぐし難げなるに、ましてわりなき御心まどひどもに、
なかなかこともゆかぬにや。 (御息所)「おほかたの・・・□

10賢木03 あかつきの

2007年08月14日 | 09葵~12須磨
源氏物語歌集 134
巻十 賢木 03 源氏

    あかつきの 別れはいつも 露けきを
    こは世に知らぬ 秋の空かな


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□思ほし残すことなき御なからひに、聞え交はし給ふことども、
まねびやらむかたなし。やうやう明けゆく空のけしき、
ことさらにつくり出でたらむやうなり。 (源氏)「あかつきの・・・□

10賢木02  をとめ子が

2007年08月13日 | 09葵~12須磨
源氏物語歌集 133
巻十 賢木 02 源氏

    をとめ子が あたりと思へば さか木葉の
    香をなつかしみ とめてこそ折れ


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Kad02-136

□・・・と聞え給へば、 (源氏)「をとめ・・・折れ」 大方のけはひわづらはしけれど、
御簾ばかりは引き着て、長押におしかかりて居給へり。 
心にまかせて見奉りつべく、人も慕ひざまにおぼしたりつるとし月は、・・・□

10賢木01 袖垣は

2007年08月12日 | 09葵~12須磨
源氏物語歌集 132
巻十 賢木 01 御息所

    袖垣は しるしの杉も なきものを
    いかにまがへて 折れるさか木ぞ


2007-0812-ysg132
Kad02-136

□・・・、さか木を、いささか折りて持給へりけるをさし入れて、
(源氏)「変はらぬ色をしるべにてこそ、斎垣も越え侍りにけれ。
さも心憂く」と聞え給へば、 (御息所)「袖垣は・・・□