古い電車のドアのそば
二人は黙って立っていた
話す言葉をさがしながら
すきま風にふるえて
「池上線」 西島三重子
学生時代。
僕のいる学生寮は、
池上本門寺のお会式のお手伝いをしていた。
十月十二日。
万灯行列がやってくる。
境内を埋め尽くす人たち。
警備の警察官。
騒然とした境内を僕たちは走り回る。
参拝に来られた人たちの案内。
入り乱れる人たちの整理。
五反田駅から池上線へ。
ひとり電車のドアに肩をよせる。
窓の外を流れる景色を眺めていた。
夕暮れの街並みが、やけに切なく映った。
泣いてはダメだと 胸にきかせて
白いハンカチを 握りしめたの
遠く故郷を思う。
福岡の街並み。
ふいにこみあげるものがあった。
帰りたい。
僕はいつまでも夕暮れの街並みを眺めていた。
◆ 参考文献 「池上線」西島三重子 Uta^Net
二人は黙って立っていた
話す言葉をさがしながら
すきま風にふるえて
「池上線」 西島三重子
学生時代。
僕のいる学生寮は、
池上本門寺のお会式のお手伝いをしていた。
十月十二日。
万灯行列がやってくる。
境内を埋め尽くす人たち。
警備の警察官。
騒然とした境内を僕たちは走り回る。
参拝に来られた人たちの案内。
入り乱れる人たちの整理。
五反田駅から池上線へ。
ひとり電車のドアに肩をよせる。
窓の外を流れる景色を眺めていた。
夕暮れの街並みが、やけに切なく映った。
泣いてはダメだと 胸にきかせて
白いハンカチを 握りしめたの
遠く故郷を思う。
福岡の街並み。
ふいにこみあげるものがあった。
帰りたい。
僕はいつまでも夕暮れの街並みを眺めていた。
◆ 参考文献 「池上線」西島三重子 Uta^Net