僕の家内は招き猫が好き

個人的なエッセイ?

最後の一日

2019年04月30日 | 日記
平成、最後の一日。

私は、雨の高速道路を走っていました。
目指すは、九州。

月忌回向です。

高速は、行楽の車で混雑をしています。
スピードも、普段とはちがいます。

事故だけは起こさないように。
思わず、緊張しました。

・・・と、言っても、運転するのは家内なんですけどね。

雨の高速を軽快に走る、車。

「母ちゃん、車間距離が近いよ。
 もっと離れて・・・」

団子状態の車の列が、まるで蛇のよう。
くねくねと曲がりくねって、はるかかなたまで続いていました。

『遅いと眠くなるのよ』
涼しい顔の、家内。

助手席のドアの上にある、「バー」をぎゅっと握りました。

「袖ヶ浦」ナンバーの、大型バイクが追い越していきました。
千葉からきたの?

日本全国、出稼ぎ状態。
津々浦々の、ナンバーの車が走り去っていきます。

その一台、一台の中には、家族の笑顔があって、
かけがえのない楽しい時間を過ごしています。

どうか事故だけは起こさないように。
子供の笑顔を、涙に変えないように。

走り去る車の後姿を眺めながら、
私の一日は始まりました。


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作家

2019年04月29日 | 日記
近所のお寺様へ、法要のお手伝いに行きました。
お寺は、お互い助け合って生きています。

生きているって、人間みたいだけれど、
言葉通り、お寺も生きています。

あいにくの雨・・・。

車一台が通れるほどの、
細い坂道を上がると、お寺があります。

家内の運転する車で、頂上まで上がりました。
駐車場は、なんと満車でした。

Uターンをする余裕もありません。
仕方がないので、バックで退場。

土砂降りの雨。
細い急な坂。

決死の思いで後戻りをしました。
脱輪すると、崖を真っ逆さまに落ちてしまいます。

生きた心地がしませんでした。

どうにか車を坂の下まで降ろして、
荷物をもって再度、お寺の坂を上がりました。

両手には、大きな荷物があります。
傘はさせません。

作務衣は、びしょぬれ。

「こんにちわ・・・」
玄関に到着したときは、ボロボロでした。

法要が終わり、若上人とアニメ談義。

「何か面白い、ライトノベルを知らない?」

『そうですね・・・
 僕の友だちが、ライトノベルの作家なんですけど、

 今度、その作品がアニメ化されるんですよ」

なんですと・・・。
君の友だち、ライト・ノベル作家なの。

それに、アニメ化されるの?

今度、ぜひサインをください。

帰りの車の中で、
「あっ、名前を聞いておくんだった」

でも、本名を聞いても、
作家さんて、ペンネームだもんね。

でも、すごいな。
物語を書ける人って、どんな頭の構造をしているのだろう。

僕なんか、このブログを書くだけで、
おなか一杯なのに。

小説か・・・。
いつか僕も書いてみたい。

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身延山

2019年04月28日 | 日記
ゴールデン・ウィーク、二日目。
ご近所のお寺様へ、鬼子母尊神祭のお手伝いに行きました。

仕事が休みだからか、普段よりお詣りが多く感じられます。
檀家さんに負けないように、ここは気合を入れないといけません。

ご住職は、身延山参拝に行っていらっしゃるとか。
今の季節の身延山・・・。

身延川のせせらぎ。
若葉の匂い。

うち和太鼓の音。

おごそかな朝勤の情景が、思い浮かびました。

身延山は、総本山というだけではなく、
心のよりどころっていうか、行くと心が休まります。

学生時代は参拝に行っていたのに、
今は、行く機会がありません。

心の洗濯。
母ちゃんと行ってみようかな。

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いくつなの?

2019年04月27日 | 日記
月忌回向にお伺いするとき、
前日に、大体の時間を連絡します。

車の中から連絡するときもあります。

ある日のことです。
いつものように電話連絡をしていると、家内がぽつり・・・。

「キモイんだよ」

一瞬、誰に向かって言っているのか、わかりませんでした。
窓の外の通行人のことを言っているのか・・・。

『失礼なことを言うもんじゃないよ』
私は、家内をたしなめました。

お坊さんの妻ともあろうものが、
人の悪口を口にするなんて、言語道断です。

「あなたのことよ。あなた・・・」
肩をそびやかし、斜に構えた家内の、冷ややかな視線。

どうして僕が、キモイんだ。
激怒するぞ!

「電話の声。どうして裏返るの?
 緊張して、舞い上がっているの?

 男性のくせに、はずかしい」

頭に、カッと血が上りました。
一番言われたくないことです。

赤っ恥をかいてしまった。
こんな思いを何度してきたのだろう。

電話をすると、緊張する。
声が裏返る。

「いい年なんだから、
 もっと低音で、渋い声を出してよ」

どんな風に、出せばいいのかわからない。

「そうね・・・。
 バーブ・佐竹さんみたいな声」

バーブ…?
誰、その人・・・?

君は一体、いくつなの?

ps

無礼者!
バーブ・佐竹さんに、謝んなさい!(家内談)

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僕は、友だちがいない

2019年04月26日 | 日記
九州へ、月忌回向のお手伝いに行きました。

最後にお伺いしたお宅で、
「わらび」をいただきました。

「お友だちと、熊本の黒川と、大分に行ったの。
 そこで摘んだ、わらび。

 あく抜きしているから、大丈夫よ」

すごくうれしい。
いつも気を使っていただいて、ありがとうございます。

『黒川温泉は、いかがでしたか?
 お客さんが多かったでしょう?』

お茶をいただきながら、私は尋ねました。

わらびを袋に入れながら、
「そうでもなかったわ」と、微笑む檀家さん。

『お友だちって、学生時代の方ですか?』

「いいえ、仕事をしていた時の、お友だち。
 私たちが東京に住んでいたころの、仕事仲間よ」

聞けば、東京勤務の時のお友だちと、
退職後も交流が続いているそうです。

退職しても、そんなお付き合いができるなんて、
すごく、いいですね。

「東京の友達の家に、泊まりに行くとね。
 お土産を持っていくのだけど。

 そういう気づかいはいらないって、友だちが言うの。
 あなたにしてあげた分は、他の誰かが私にしてくれるって・・・」

まるで、仏教の教えみたい。
一種の悟りの境地ですね。

「人にしてあげたら、『お礼を返して』っていう
 お友だちもいたけれど、みんな離れてしまったわ」

耳が痛い・・・。
まるで僕のことを言われているみたい。

だから、僕は友だちがいないのか。

「あなたにしてあげた分は、誰かが私にしてくれる・・・」

なにか大切なことを、教えられたような気がしました。

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