僕の家内は招き猫が好き

個人的なエッセイ?

カンパ

2018年10月31日 | 日記
今日で、10月も終わりです。
夏の終わりから、あっという間に秋から冬へ・・・。

味気なく過ぎていく毎日に、ため息をつく、今日この頃。

ナオキチが、
「高校時代の友だちのところに行くからカンパしてくれ」と言っています。

友だちの住んでいるところは、遠いところ。
旅費だって馬鹿になりません。

なぜ、僕がカンパしなくてはいけないの。
バイトぐらいしろよ。

「だって、助けてくれるって言ったじゃないか」
ナオキチが言い張ります。

そういえば、そんなことを言ったような・・・。

その時は、その時。
とにかく今は、お金がないの。

しょんぼりする、ナオキチ。
母ちゃんも、非難の目を僕に向けてきます。

わかったよ。
いくらなの?

空っぽのお財布を眺めながら、ため息ひとつ。
親って、本当につらいなぁ。

ps

父ちゃん。
私も〇〇試験があるから、受験料出してね。(ゴンキチ談)

いい加減にしてくれ。



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「エール」

2018年10月30日 | 日記
九州へ、月忌回向のお手伝いに行きました。

その中に、女性一人で
お子さん二人を育てられたお宅がありました。

ご主人は、子供さんが二歳の時に他界されました。
それ以来、奥様一人で頑張ってこられたそうです。

「今度、娘がベトナムに日本語を教えに行くの」
お経が終わり、お茶をいただいているとき、奥様が話しだされました。

子供の時は、反抗的だったお嬢さん。
親子喧嘩が絶えなかったそうです。

「高校もさぼってばかりで、ろくに通わなかったの」
しみじみとお話をされる、奥様。

将来どうなることかと、心配していたそうです。

その後、転換期がやってきました。
一念発起して、「大検」に合格。

努力の甲斐あり、福岡で日本語教師として、
留学生に日本語を教えていました。

そして、この度ベトナムで、
現地の日本語教師を指導することになりました。

昔、父親が私に行ったことがありました。

将来、のし上がっていくのは、
勉強熱心な者か、親に反抗的な者。

もちろん、一概には言えません。
でも、私の周りでも、台頭している者は、そのどちらかです。

「俺は、中途半端だったから、ダメだった」
しみじみと口を開く、父。

父ちゃん、心配しないでいいよ。
僕も一緒だ。

努力だけでは、道は開けない。
確かに、その通りです。

でも、才能がすべてだとも思わない。

大動脈解離から、よみがえった、義理の息子。
親不孝だったお嬢さんは、ベトナムへ。

頑張ってください。
私は心の中で、エールを送りました。


 
 

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「ピアス」

2018年10月29日 | 日記
お風呂を沸かしました。

「母ちゃん、先に入ってよ」
僕は、テレビの前でいびきをかいている家内に言いました。

毛布にくるまって、気持ちよさそう。
テレビからは、誰も見ていないお笑い番組が流れています。

電気代節約のために、テレビの電源を切ればいいのに、
「さみしいから」と、言うことを聞きません。

「母ちゃん、お風呂」
しぶしぶ、重い腰を上げる家内。

僕は、その間に座敷に掃除機をかけて、
お布団を敷きました。

しばらくすると、「あがったよ~」という、
家内の声が聞こえてきました。

今日は、寒い。
お風呂が冷めないうちに、僕もお風呂へ入りました。

浴室に入り、身体に湯船のお湯をかけていると、
足がチクリとしました。

「痛い」
釘が、押しピンか、小石・・・?

なぜ、こんなところに?
そう思いながら、お湯を身体にかけました。

身体を洗い、湯船につかっていると、
脱衣所で、ゴソゴソと物音がします。

母ちゃん・・・?
何をしているのだろう。

浴槽から上がり、身体をタオルで拭いていると、
まだゴソゴソという音か聞こえてきました。

「母ちゃん、何をしているの?」
私は脱衣所に向かって声をかけました。

「ピアスを落とした」
家内の小さな声が聞こえてきました。

「ピアスって・・・どこで落としたの?」

「お風呂」
蚊の鳴くような、小さな声で答えます。

「どうして外さなかったの?」
女の人って、ピアスをしたままお風呂に入るの?

「だって、いつも外さないもの」
家内の、弱々しい声が返事をします。

そういえば、さっき足にチクリとしたものがありました。

「母ちゃん、ピアスお風呂にあったよ」

浴室の飛び込んでくる、家内。
辺りを這いずり回ります。

どこにもありません。
排水溝は・・・・?

ありません。

「何度もお湯か体にかけたからな~」

「ばか! なんで拾わなかったの。
 どうして、私に声をかけなかったの」

僕に食って掛かる、母ちゃん。
そんな殺生な。

だって、ピアスを落としたって知らなかったもの。
・・・って、どうして僕が叱られなくてはいけないの?

肩を落として、浴室から出ていく家内。

「ピアス、高かったの?」

「・・・」

「もしかして、プレゼント?」

「・・・」

昨日は、車のキー。
今日は、ピアス。

二度あることは、三度ある。
(二度目だけど・・・)

「母ちゃん・・・」
何度声をかけても、返事はありません。

頭からすっぽりと毛布にくるまり、無言です。
テレビから流れる、芸人さんの嬌声。

むなしい。
今夜は、やけに胸にしみる。

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水戸黄門

2018年10月28日 | 日記
仕事から帰ってきた家内が、息を吐きました。
「疲れた~」

食卓テーブルの上に、うつぶせになり動きません。
好きなテレビも、そっちのけ。

「どうしたの?」
空腹を我慢しながら、私は尋ねました。

時間は、午後9時になろうとしていました。

「今日、デイ・サービスでお祭りがあったの。
 出し物の劇で、私『水戸黄門』に扮したのよ」

身長の高い家内は、いつも男役です。

「だから今日は、『ちゃんちゃんこ』を着て仕事に行ったの?」
その単語を、何気なく口にしました。

「ばか! これは『ベスト』。失礼ね」。
一気に不機嫌になる、家内。

だって、ちゃんちゃんこも、ベストも似たようなもの。
どうやって区別をつければいいのさ?

返事はありません。
明後日の方角を見続ける、家内。

「ご飯は、どうするの?」

「うるさい!」

プンプン角の生えた家内の横で、
空腹に耐え続ける、僕一人。

人生 楽ありゃ 苦もあるさ

僕の人生、苦ばかり。
ご飯はまだ・・・?



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一日

2018年10月27日 | 日記
毎年、1月・2月に行う「星祭り」。
日程調整のために、福岡の先輩に電話をしました。

早く決めておかないと、希望の日にちが取れません。

それでも今年は、先輩が同じ日にダブルで頼まれてしまい、
年下の僕は涙を呑む羽目に・・・。

僕の方が、早くお願いしていたのにね。

こんな時にも、年上・年下があるもんな・・・。
お互い、もういい年なのにね。

「もしもし・・・」
耳に届く先輩の声が、にぎやかな音に包まれる。

「今、お寺の仕事で東京にきているんだ」

この先輩、身内の中では結構有名人。
全国を飛び回っています。

晴れやかな声音に、充実ぶりがうかがわれます。

「〇〇日ですけど、いいですか?」
手早くお互いの希望日を確認して、電話を切りました。

このやり取りが、年末年始の始まり。
こうして、今年も暮れていく。

ps

午前6時。
出勤しようとしていた家内が、騒ぎ出しました。

「車のキーがない」

食卓テーブル、玄関、ごみ袋、トイレ。
冷蔵庫の中まで探し回っても、ありません。

いつも、いつも。
キーがない。

何度言ったらわかるんだ。
決めた場所に置きなさい。

予備のキーを手にして、家を出ていく家内。

お布団を押し入れにしまっていると、
枕もとに、光るものが・・・。

いつも、いつも・・・。
これなんだから。

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