すきやばし次郎
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【今夜、日本一注目を浴びる店】
「すきやばし次郎」
安倍首相と、18年ぶりに
国賓として来日される
アメリカのオバマ大統領が、
今夜「すきやばし次郎」で
非公式会食を行うというニュースが
話題を呼んでいます。
その「すきやばし次郎」店主の
小野二郎さんは7年連続で
ミシュラン三ツ星レストランを
獲得しており、小野二郎さんは
世界最高齢の三ツ星シェフとして、
88歳の現在もつけ場に
立たれています。
丁度、今から4年前、
『致知』2010年5月号の
インタビューに小野さんがご登場され、
「生涯仕事」をモットーに、
鮨づくり一筋に歩んできた道のりを
お話いただきました。
世界の食通を唸らせる名匠の技は
いかに生まれ、培われてきたのか。
そこに、安倍首相が今夜の会食会場に
選ばれたヒントがあるかもしれません。
現役最高齢の三ツ星シェフ、
小野さんの仕事へのこだわりを
どうぞお読みください。
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(――しかし第一線で働き続けるのは、
大変なことですよね。)
(小野)
私の場合はまず、手が商売道具
ですから大事にしています。
こちらの手が柔らかいと、シャリの
硬さがちょうどいい具合になる。
お客様がご覧になった時も、
きれいな手のほうがいいでしょう。
だから年中、手袋を外したことはありません。
夏でも外へ出る時は必ず手袋をします。
またコーヒーは、飲むと2、3時間は
口の中に味が残りますから、
一切口にしません。
ニンニクや葱も、息をした時に臭いが
お客様のほうに移りますから、
葱は店が終わってから、
ニンニクは12月の29日以降しか
食べません。
(――いろいろと気をつけておられる
のですね。)
(小野)
でも本当に自分がこの商売を徹底して
やろうとしたら、そのくらいの気を
使わなかったら、おいしい物は
できないと思います。
食材にせよ、お絞りにせよ、
お茶にせよ、そういうこだわりを
やめてしまったら、何の値打ちもない
普通の鮨屋になってしまうんです。
だからよそに負けないような
いい材料をなるべく仕入れてきて、
最高の物に仕上げてお客様に
召し上がっていただく、
ということですよね。
いまはそれほど技術に没頭している
わけではありませんが、いままで
積み重ねてきたものをそのまま
さらに積み重ねて、どんどん
やっていこうと考えている。
だから、一生仕事だよ、一生勉強だよ、
と言うんです。
自分がそういうことを考えながら
やらないと、そこで技術がストップ
してしまいますから。
(――日々技術を向上させていくと。)
(小野)
こんなことを言うと、
皆さんに
「85(当時)にもなって進歩?」
なんて呆れられますが、
現役でやっている間は、
いつでも進歩を考えてやらなきゃ
ダメですよ。
俺は85だからこれで満足、
というんじゃなくして、
何か新しい、いいものがあったら
それに果敢にチャレンジしてみる。
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(――従業員の皆さんにも
そういうお話をされるのですか?)
(小野)
いや、そんなに込み入った話は
しないですよ。
ただ自分たちがやる気を
起こさなけりゃダメだ、
自分で勉強しなかったらダメだ、
とは言います。
要するに、親方とか先輩に教えて
もらおうと思って入ってくるのは
大きな間違いで、
自分が上の人のやり方を盗んで勉強し、
進歩していかなければいけない。
というのは、
教えてもらったことというのは
忘れるんですよね。
自分が盗んだものは忘れない。
会社なんかでも同じだろうと
思うんだけど、
ポッと教えてやったら忘れちゃいます。
自分が苦労して苦労して、
これを必ず自分のものにしようと思って、
やっと盗んだものは決して忘れない……
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「修業は一生の道」
小野二郎
(すきやばし次郎主人)
『致知』2010年5月号
特集「精進の中に楽あり」より
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