福島原発事故メディア・ウォッチ

福島原発事故のメディアによる報道を検証します。

CTスキャンは「安全」の指標になるか?

2011-03-27 12:27:26 | テレビ
一回のCTスキャンで受ける放射線量をあなたはご存知ですか。答え:6.9ミリシーベルト(6,900マイクロシーベルト)。この問と答えに自動的に反応できた方がかなりいたはずだ。原発事故以来2週間、メディア、特にテレビの「解説」で、これは放射線被爆の規準としてさんざんくり返し使われてきた。そして、この6.9ミリという数値に対して、観察された放射線量がいかに少ないかが強調された。だから12日午後3時36分に1号機が爆発した時の放射線量が1,015マイクロシーベルトでなんて、軽いもの。だって、CTだったら、「一回で6,900、ドカーンと浴びてしまうわけですよね」(みのもんた氏)。

しかしほんとうにCTスキャンの放射線量は「安全」・「安心」のよりどころになるでしょうか。答えはもちろんNO!です。

1.CTスキャンは健康に悪影響がある。
CTの「ドカン」というほどの量の放射線は、全く安全ではありません。CTスキャンががんを引き起こすという研究の紹介がAFPに出ていました。特に何度もやれば、被爆量が多くなり、危険度が増します。CTは医療行為だから身体に悪影響があるわけがない、となんとなく思えてしまいますが、まさにそこをメディアは利用します。CTよりもずっと放射線量の低い胸部レントゲン(50マイクロシーベルト)でも、定期健診などで「妊婦や妊娠している可能性のある方」は受けないように、という注意がうながされるのは、みなさんもご存知でしょう。有益な医療行為でも、放射線は放射線、量・頻度に応じてそれなりの害をなすのは、原発事故や原水爆から出る放射線と同じです。

2.危険があってもどうしてCTをやるのか?それは、それをやって得られる医療上のメリットと、危険の度合いとをはかりにかけて評価し、病気に対抗するための検査を、リスクをおかしても選択するからです。健康な人にだれもCTをやれとは言わないでしょう。

3.原発事故の放射線被曝にはメリットがありません。CTとは全く違います。だから原発の放射線とCT放射線を比べるのは意味がありません。

4.原発による放射線被爆とCTによる放射線被爆の違いはまだあります。私たちの認識や行動基準にとって大切な違いです。CTによる被爆は、自分の責任で「選択」でき、放射線量やそれによるリスクを「知っている」ことができます。原発事故による被爆に、私たちの責任はありません。被爆量も正確には知りえないし、まして当局の情報隠蔽体質では、その不可知性の不安が高まります。同じような情報不足・情報操作は、原発の放射線被爆をなんとか少しでも軽減しようとする私たちのぎりぎりの「選択」も阻みかねません。

附記:事故後最初の2-3日の間は胸部レントゲン(50マイクロシーベルト)もよく引き合いに出されたが、これは数値が小さくて使い物にならなくなったのだろう。これ自体、放射線量が増えたという点と、メディアの操作という点で怖いことだ。











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