ポール・エリュアールはフランスの詩人です。
この本は何十年も前の本です。 (廃刊になってます。)
若い頃、一時期、この詩人に傾倒していました。
去年の暮れぐらいから、少しづづ、
読み返していました。
原文で読めないので、致し方ありませんが、
私は彼の詩(翻訳物です)のなかに、
透明感(クリアーさみたいなもの)を感じていました。
それが好きでした。
今回改めて読んでみましたが、
感想としては全体的に、
長い詩が多かったということと、
正直、翻訳ものの詩の難しさも感じました。
人生を語るという内容の詩よりも、
感覚的に書かれた詩が多く、
その解釈は読者の感性に
委ねたような詩が多かったです。
これは詩画集の表紙です。
タイトルは同じですが、
エリュアールの詩に、
画家の絵が添えられているものです。
機会があれば、中身を
見てみたいです。
モダンな表紙です。
本の紹介だけになりそうですが、
それでも少しだけ
日本の詩に見当たらないような感性の
詩の一部を紹介してみます。
アンドレ・ブルトンと競作の詩集
「処女懐胎」で、シュール・リアリズムを体験した、
ポール・エリュアールですが、
シュール・リアリズムに一生涯こだわったブルトンとは違い、
そこから離れた
彼の詩に私は好意を持っています。
わたしは夜ごと あなたをとじこめる
じめじめした暗い家の
ちっぽけな焔 このうえもないひと
あなたは このわたしを連れもどすのだ
わたしの肉体のかたちをした わたしの空間に
ひらかれた本Ⅱ/夢みる理由/わたしの時間XIIより)
この作家は女性への愛を表現するときに
いい感性を出している気がします。
きょう 恵みによってひきとられたやさしい肉体は
夜になるまえに みずからのローブをうしなう
そして光りは 肉体のなかで 永遠なものとなる
(ひらかれた本Ⅰ/界/Ⅴより)
悲劇の最初にして最後の幕
そして わたしの狂気とひきかえに あなたの愛をください
わたしの流された血とひきかえに あなたのこころをください
今宵 わたしどもは お客さまなしでも演じます
(ひらかれた本Ⅰ/永遠の詩十一篇より)
(すべて高村智氏訳)
ポール・エリュアールの詩集からのこの抜粋は
ほんの小さな一角です。決して彼の全体は見れませんが---。
原文で読んで頂くのが、最高によいのでしょうが--。