●「壁抜け男」昭和43年9月15日放映
制作第2話 放映第1話 脚本:上原正三 監督:飯島敏宏
「人喰い蛾」がリテイクのために放映第2話となったので、繰上げで放映第1話となりました。急遽第1話となったにも関わらず、SRIの事件の関わり方、メンバーのキャラクターなどが紹介されるように演出されているのは飯島監督の手腕でしょう。
飯島監督が江戸川乱歩や見世物小屋の不気味な雰囲気にインスパイアされたという、アバンタイトルでのキングアラジンの奇妙な動きや影のある演出が、番組の狙う「怪奇性」をよく表現しています。
冒頭の、キングアラジンを単独で追いかける警官は鮎川浩さんが演じられています。鮎川さんは数々の映画に出演される名バイ・プレイヤーです。
サブタイトルにはテーマ曲が流れず、崩れた文字が「壁抜け男」というタイトルを形作る様子が、逆回転の映像で描かれています。
犯人であるキングアラジンこと一鉄斎春光(演:田口計さん)は、奇術師としての失敗から第一線から追われ、過去の栄光を取り戻すことに執着するのと同時に、失態を演じた自分を嘲笑した世間への復讐に燃えているという、屈折したバックグラウンドを持っています。
前半はキングアラジンとSRIの対決、一転して後半は春光の経歴の紹介と、彼を支える妻がじっくりと描かれています。
SRIに追い詰められた春光が湖底へと逃げるシーンでは、春光が気がふれたような感じも匂わせています。(実際に町田に「キ○ガイ」というセリフを言わせています。)また、春光の妻はそんな夫を静かに見守り支えてきたということが充分に伝わってきます。子どもには完全には理解できないであろうと思われるそれらの描写を、飯島監督は一切妥協せずに演出されています。
トリックの究明のために奇術師の許を訪れるノム。コミカルな奇術師として、『ウルトラセブン』第23話「明日を捜せ」で占い師を演じていた木田三千雄さんが出演しています。
ヴィジュアルとしては、キングアラジンが壁に消えていくシーンの描写が秀逸です。アバンでの仏像を盗んだ第1の犯行では、アラジンが背中を反らせて自分の足の間から顔を出す奇妙なポーズの不気味さ(そのポーズのまま回転して床を移動するシーンの不可思議さ!)と、心臓の鼓動のようなSEと笑い声、全体をはっきりと映さないために怪奇性を増幅させる照明設計などが、視聴者を惹きつけてやまないでしょう。
第2の宝石を盗んだ犯行では、ビルの間の袋小路に追い詰められたアラジンがコンクリートの地面に沈んでいく描写がよくできています。春光役の田口計さんは、このシーンの撮影のために3時間もプールに入れられていたそうです。
第3の犯行では創作舞踊(能?)の舞台が登場しますが、その能楽の動きなどにニセモノ臭さが感じられません。本物の能楽師を招いたのでしょうか。ずいぶんと手間をかけた撮影だったと思われます。
今回もスケさんは「原子人間」説という突飛な発想をしますが、それでは盗まれた仏像や宝石が壁に消える説明がつかず、今回はあっさりと却下されました。それに代わって、トリックがあるという線からの推理でスペクトル破壊光線が作られ、SRIは見事に春光の手口を解明してみせました。かなり非科学的ではありますが、こういった「(擬似)科学を用いた犯罪と、それに対抗する発明」という図式が、金城哲夫氏が当初の企画として考えていた『怪奇大作戦』だったのでしょう。(このエピソードの脚本は上原正三氏ですが)
ただし、春光のトリックとして登場する「透明マント(?)」は現実に開発されそうです。「空想科学」に現実の科学が追いついてきました(^o^)
今回は犯人が湖底で水圧によって事故死してしまいます。SRIは事件の謎を究明してはいますが、犯人逮捕や解決に向かって捜査するところまでは首を突っ込んでいません。これも当初のプロットで考えられていた「SRI像」なのでしょう。
所長と町やんの間での「コーヒー」ネタの笑いは、飯島監督の現場での演出でしょうか。脚本にもあったのでしょうかネ。冒頭でネタ振りをしておいて、エンディングに落ちを持ってくるこのセンスは大好きです(^o^)
制作第2話 放映第1話 脚本:上原正三 監督:飯島敏宏
「人喰い蛾」がリテイクのために放映第2話となったので、繰上げで放映第1話となりました。急遽第1話となったにも関わらず、SRIの事件の関わり方、メンバーのキャラクターなどが紹介されるように演出されているのは飯島監督の手腕でしょう。
飯島監督が江戸川乱歩や見世物小屋の不気味な雰囲気にインスパイアされたという、アバンタイトルでのキングアラジンの奇妙な動きや影のある演出が、番組の狙う「怪奇性」をよく表現しています。
冒頭の、キングアラジンを単独で追いかける警官は鮎川浩さんが演じられています。鮎川さんは数々の映画に出演される名バイ・プレイヤーです。
サブタイトルにはテーマ曲が流れず、崩れた文字が「壁抜け男」というタイトルを形作る様子が、逆回転の映像で描かれています。
犯人であるキングアラジンこと一鉄斎春光(演:田口計さん)は、奇術師としての失敗から第一線から追われ、過去の栄光を取り戻すことに執着するのと同時に、失態を演じた自分を嘲笑した世間への復讐に燃えているという、屈折したバックグラウンドを持っています。
前半はキングアラジンとSRIの対決、一転して後半は春光の経歴の紹介と、彼を支える妻がじっくりと描かれています。
SRIに追い詰められた春光が湖底へと逃げるシーンでは、春光が気がふれたような感じも匂わせています。(実際に町田に「キ○ガイ」というセリフを言わせています。)また、春光の妻はそんな夫を静かに見守り支えてきたということが充分に伝わってきます。子どもには完全には理解できないであろうと思われるそれらの描写を、飯島監督は一切妥協せずに演出されています。
トリックの究明のために奇術師の許を訪れるノム。コミカルな奇術師として、『ウルトラセブン』第23話「明日を捜せ」で占い師を演じていた木田三千雄さんが出演しています。
ヴィジュアルとしては、キングアラジンが壁に消えていくシーンの描写が秀逸です。アバンでの仏像を盗んだ第1の犯行では、アラジンが背中を反らせて自分の足の間から顔を出す奇妙なポーズの不気味さ(そのポーズのまま回転して床を移動するシーンの不可思議さ!)と、心臓の鼓動のようなSEと笑い声、全体をはっきりと映さないために怪奇性を増幅させる照明設計などが、視聴者を惹きつけてやまないでしょう。
第2の宝石を盗んだ犯行では、ビルの間の袋小路に追い詰められたアラジンがコンクリートの地面に沈んでいく描写がよくできています。春光役の田口計さんは、このシーンの撮影のために3時間もプールに入れられていたそうです。
第3の犯行では創作舞踊(能?)の舞台が登場しますが、その能楽の動きなどにニセモノ臭さが感じられません。本物の能楽師を招いたのでしょうか。ずいぶんと手間をかけた撮影だったと思われます。
今回もスケさんは「原子人間」説という突飛な発想をしますが、それでは盗まれた仏像や宝石が壁に消える説明がつかず、今回はあっさりと却下されました。それに代わって、トリックがあるという線からの推理でスペクトル破壊光線が作られ、SRIは見事に春光の手口を解明してみせました。かなり非科学的ではありますが、こういった「(擬似)科学を用いた犯罪と、それに対抗する発明」という図式が、金城哲夫氏が当初の企画として考えていた『怪奇大作戦』だったのでしょう。(このエピソードの脚本は上原正三氏ですが)
ただし、春光のトリックとして登場する「透明マント(?)」は現実に開発されそうです。「空想科学」に現実の科学が追いついてきました(^o^)
今回は犯人が湖底で水圧によって事故死してしまいます。SRIは事件の謎を究明してはいますが、犯人逮捕や解決に向かって捜査するところまでは首を突っ込んでいません。これも当初のプロットで考えられていた「SRI像」なのでしょう。
所長と町やんの間での「コーヒー」ネタの笑いは、飯島監督の現場での演出でしょうか。脚本にもあったのでしょうかネ。冒頭でネタ振りをしておいて、エンディングに落ちを持ってくるこのセンスは大好きです(^o^)
連載されてたけど、当時の子供時代を思い出しても
とても違和感がありました。なんで、怪獣もヒーロー
もでないただの四谷怪談もどきの映画を子供に
勧めるのか?
回答は翌週に放映されてました。
問題は床に沈んでいくシーンをどう撮影したか?でした。
答え、覚えてますか?
株式会社サングラフっていうところが
TVマークシリーズとして出していたようです。
モノクローム30m。
価格は1500円との表示がありました。