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吸血地獄(怪奇大作戦第6話)

2008-10-19 23:05:33 | 特撮:怪奇大作戦
 寒くなってくると、この番組の記憶が蘇ってきます。私がきちんとこの番組を見たのは、小学5年生くらいの冬、夕方の再放送でした。


●「吸血地獄」昭和43年10月20日放映
 制作第6話 放映第6話 脚本:金城哲夫 監督:円谷一

 第2話以来の円谷一監督の参加です。氏は演出の第一線を退き、円谷英二氏が亡くなってからの『帰ってきたウルトラマン』からは、社長として円谷プロの経営に携わっていきます。
 『怪奇大作戦』での金城氏の脚本は、このエピソードをもって最後となります。氏は『マイティジャック』の方に関わっていたので、『怪奇大作戦』は上原正三氏に任せたような形になります。どうも初期企画の段階から、TBSの橋本プロデューサーとの意見の折り合いがつかず、この企画では持ち味が発揮できないでいたようです。この「吸血地獄」も、他のエピソードとは微妙にカラーが違う作品となりました。

 別府警察の刑事役で、『ウルトラセブン』の地球防衛軍・マナベ参謀を演じられていた宮川洋一さんがゲスト出演されています。宮川さんは『ウルトラマン』第13話「オイルSOS」にも刑事役で出演されていました。
 ニーナの恋人・山本修作役で、『ウルトラマンA』に梶隊員として第3クールまでレギュラー出演されていた中山克己さんがゲスト主役です。

 「薬物」と、「ニーナの死」、「吸血鬼としての復活」の結び付きが今ひとつ不明瞭です。しかし、ニーナは元々吸血鬼としての血筋であり、一度死んで吸血鬼として蘇る、というのが骨子でしょうか。その死のきっかけが交通事故だという程度の流れなのでしょう。そして、血を求めて彷徨うニーナと、薬物依存の山本が対比して描かれているのでしょう。
それにしても、養父が殺された事件に養母はショックを受けていますが、ニーナが死後復活したことについては驚かないのか‥‥。Bパートで所長が養母から聞いた話をノムが電話で聞くまでは、この点が無視されているのが不可解です‥‥。
 '60年代の退廃的な若者の雰囲気を漂わせているものの、「科学を使って犯罪を犯す醜い心理」というこれまでの番組の流れから完全に浮いてしまっている「吸血鬼の復活」というモチーフは、当時の妖怪ブームに乗った「円谷流怪談」という趣です。

 吸血鬼からニーナへの変身シーンの合成映像は印象的です。
 町田警部登場から所長・牧到着まではワンカットの長回しだったのですネ。今回見直してみて初めて気付きました。
演出的には、ニーナの復活シーンや、ノムが襲われるシーンでのニーナのこれでもかというほどのアップで恐怖を煽ろうということなのでしょうが、『ウルトラマン』第12話「ミイラの叫び」での怖さほどのキレが感じられません‥‥。吸血鬼の造形物の貧弱さ故か‥‥。

 SRI一行が乗ってきた飛行機には「EXPO '70」のロゴが! 時代を感じさせます。
また、今回は「白雲山荘」がタイアップでロケに使われていますが、やはり円谷一監督による第8話「光る通り魔」では阿蘇の「白雲山荘」が登場します。私はこの阿蘇の「白雲山荘」には、高校の修学旅行で泊まったことがあります。‥‥が、その当時はこの番組の全貌は知らず、特段の感慨もありませんでしたし、修学旅行での記憶はほとんどありません‥‥(^^ゞ(ちょっとした事情があって、最終日の阿蘇の記憶がぶっ飛んでいます‥‥^^;)

 あまり好きなエピソードではないので、あっさりめで(^^ゞ

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8 コメント

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厳しく言えば (こーじ)
2008-10-20 18:29:01
 厳しく言えば、このEPは怪奇大作戦から浮いてますね。
 いわゆる唐突間が拭えないのです。
 ファンタジー系作家の金城哲夫が怪奇大作戦の世界に入れなかったのか?と思ってしまいます。
 つまり怪奇大作戦というのは、どうしようもない人間の業を炙り出しているのに対し夢と希望のファンタジー系が持ち味だった金城哲夫の
作風としては相容れないものがあったのではないでしょうか。
 実際にウルトラQからファンタジー系の脚本を書いていた山田正弘も怪奇大作戦には参加してませんし。
 帰ってきたウルトラマンでも金城作品は消化不良気味でしたからね。
 ですからこのEPは怪奇大作戦中、もっとも微妙な作品でもあります。
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紅い接吻 (オタクイーン)
2008-10-20 20:46:32
個人的にはこのお話、けっこう好きなんですよ(笑)。
なにしろリアルタイムで見たものですから、あのニーナ変身後の顔がすっかりトラウマに(怖)
吸血鬼の造形物の貧弱さは、昔のお化け屋敷によくあった、朽ち果てた人形を思わせ、変身途中の荒いオーバーラップも同ポジも、かえって異空間の住人である事が強調されて、幼い子どもには恐怖以外の何物でもありませんでした(汗)

見直してみるとこの作品、おっしゃる通り構成の不備や唐突感は否めませんが、ニーナのキャラクターに新しい点が見られるようにも思います。

劇中で吸血鬼呼ばわりされるニーナですが、その実、彼女の本質は「48時間ごとに吸血衝動が起こる特異体質」じゃないかと。
そんな吸血鬼、それまでには無かったですもんね。
事実彼女は、血を求める自分を忌み、禁断症状に恐怖しているように見受けられます。
それはある意味、薬物中毒にも似た症状で、そこが周作の薬物依存と二重写しにされる作劇構造だったのでしょう。

ニーナの為に犠牲者を物色する周作。そして周作の薬物を隠すニーナ。悲しい道行きですね。まさに「未来を失った、病める二人」だったわけです。

ですからラストの心中は、生ける地獄を巡った末、二人が選んだ理想の結末だったのでしょう。
一見、悲劇的な投身ですが、どんな形であれ、二人は添い遂げたのですから。
周作には、自分の腕に歯を立てるニーナがたまらなく愛おしく見えたのではないでしょうか。
それはまさに、二人の永遠を約束する「紅い接吻」だったのです。
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Unknown (自由人大佐)
2008-10-20 23:37:38
>こーじさん

 やっぱりビミョーなエピソードだとお感じになられましたか。
東宝の「変身人間シリーズ」をTVに置き換える発想からスタートしたとも聞きますし、完結したシリーズとして『怪奇大作戦』を眺めると、当初の狙いとは異なる番組へと発展していったようです。そこには橋本Pの考えが深く関わっていたようで‥‥。


>オタクイーンさん

 山本の薬物の禁断症状がもっとクローズアップされていると、2人の結末が「地獄」ではなく「安楽」に見え、このエピソードの深みが増したかもしれませんネ。
 オタクイーンさんに語っていただくと、何だか良いエピソードのように思えてきました。もっと深く見ないと! 30分では描かれきれない部分を補うのが、私はどうも苦手で‥‥(苦笑)。
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劇場版「涼宮ハルヒの消失」で (Unknown)
2010-11-28 21:19:34
三年前の七夕、キョンの腕に長門が噛み付くのを観て、
この話ラストでニーナが山本の腕に噛み付くシーンを思い出しました。
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Unknown (自由人大佐)
2010-11-28 23:04:52
 「涼宮ハルヒ」って知らないので、それがどのようなシーンなのか‥‥。わからなくてゴメンナサイ。
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腕に残る吸血痕のリアリティ (マコジ)
2012-10-13 22:14:49
どんでもない亀レスですみません・・・。

リアルタイムで見ていた怪奇大作戦で、45年間も鮮明に記憶されていたのが、恋人である男の腕にくっきりと残る吸血痕でした。
度重なる吸血のため皮膚が口の形にめくれてしまい、ラストの海のシーンでは、その吸血痕から赤い血液が海水へとゆらぎながら散っていく・・・。
たしかに変身後のニーナのメイクは今観るとアレですが、吸血痕のリアリティは本シリーズの特殊メイクとして最高傑作ではないでしょうか。

再DVD化でうろついていたらここを見つけてしまい、思わずコメントしてしまいました。
失礼をば。
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最高のトラウマ映像 (とろろ)
2014-03-09 03:54:38
4歳の頃に見た、一番トラウマになっている映像がこれです。「怪奇大作戦」のEPだということは分かっていたのですが、覚えているのは鏡からおもむろに視聴者を振り向いた女の顔が、その後何十年も忘れられないほど醜く恐ろしかったこと。そして、ラスト、死に横たわる女性の顔が美しく戻っていたことへの、なんともいえない切なさ。

この二つのシーンだけが、幼心にずっと残っていたのですが、動画サイトで、数十年ぶりに再会することができました。

今見ると、粗い部分も見えるドラマですが
記憶の中の映像は、人間という存在の、どうしようもない醜さ、恐ろしさを具現化したかのような、最高に素晴らしいものでした。

当時、あまりの恐ろしさに「あんな顔にならない?」
と何度も母に聞いていました。
母は「ママの言うことを聞いていたらならないよ」
と答え、ころっと騙されていたことも覚えています。
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周作役の (ジャック世代)
2017-04-24 15:23:36
中山克己さんも数年後に、「仮面ライダーV3」で自身が「吸血怪人(プロペラカブト)」の役を演るなんて想像し得たでしょうか?まあ特撮物の俳優さんならいつ回ってきてもおかしくない役柄でしょうけど。
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