昨年が『ウルトラセブン』放映40周年ということは、今年は『怪奇大作戦』放映40周年ということですネ。
●「恐怖の電話」昭和43年10月6日放映
制作第4話 放映第4話 脚本:佐々木守 監督:実相寺昭雄
実相寺監督は、『ウルトラマン』では担当している全てのエピソードで佐々木守氏と組んでいましたが、『ウルトラセブン』では欠番となっている第12話だけのタッグでした。この『怪奇大作戦』では、両氏は実相寺監督担当の4エピソードのうち3話で組んでいます。
「恐怖の電話」は初期プロットで、TBSの橋本洋二プロデューサーから依頼されたパイロット版だったそうです。そのため、牧が非情な性格に描かれています。
『ウルトラQ』『ウルトラマン』でレギュラー、そしてこれも第12話だけの幻のゲストとなっている『ウルトラセブン』への出演もされている、桜井浩子さんがゲスト出演されています。気だるく暗い滝口令子役では、それまでの役には無い桜井さんの魅力を発揮されています。
開巻直後、激しく鳴っている電話のアップ。サブタイトルを先に知っているので、このシーンだけで怖いです!
令子が先に電話に出て父親と替わり、父親が二言三言会話をした直後、妙な音が響いて突然燃え上がります。家の中で激しく燃える父親のシーンは、日常の中の超常現象としてあまりにも印象に残ります。お陰で私はしばらく電話に出るのが怖くなりました‥‥。
現場の捜査のシーンは長回しですが、カメラが動き画面に変化があって、ワンカットとは思えません。緊張感に溢れる名シーンです。
タバコ屋の店先での第2の発火事件では、一瞬、焼死体のアップカットがあります。こんなものを見せるなんて‥‥。これが日曜日の午後7時に放映されていたとは‥‥。
病院で令子に厳しく尋問するスケさんに、さおりは「まるで牧さんみたい。」とたしなめます。このエピソードでは、牧の性格はそのように設定されているようです。
タバコ屋の店先での牧とスケさん、牧とノムの会話は殺伐として、あまり良い人間関係とは思えません。こんな職場はイヤだなぁ‥‥。このままの路線だと、この番組の魅力は無かったでしょう。
音響実験室で、電話口から聞こえてきた「音」について令子に尋問する牧。あまりにエキセントリックで非情な牧に違和感があります。
電話線を辿っていく牧のシーンでは、必ず子どもの野次馬たちがついて回ります。当時の子どもたちって、好奇心旺盛だったのでしょう。
事件の背景を探るスケさん、手口の科学的解明をする牧‥‥。絶妙なコンビネーションなんですが、事件の背景を捜査するのは警察の仕事では? この辺が民間団体としてのSRIの設定の難しいところで、事件捜査にまで首を突っ込んでしまうのは、本来はおかしいんですよネ。ましてや、犯人逮捕の場面に居合わせるというのも‥‥。
それでも手口が解明され、「大和電機」の岡島が犯人だと絞り込まれてからの畳み掛けるような展開についつい引き込まれ、そんな設定上の不都合なんて気にならずに見入ってしまいます。というより、子どもの頃はSRIが警察の内部組織だと思っていました(^^ゞ
小笠原返還、戦後23年など、時代のキーワードが散りばめられています。私が3歳だったこの頃も戦後を引きずっていたというのが、ちょっと驚きです。私の記憶では町はすっかり元気でした。
電話局の自動交換機の映像がこんなにサスペンスフルに描かれるとは! 犯人が岡島に絞られたのなら、警察は岡島を張り込めば良かったのですが、これは言ってはいけませんネ^^; 小川殺しを実行する前に岡島が逮捕されてしまっては、交換機の緊張感は味わえなかったわけですから‥‥。
岡島と警察のカーチェイスシーンは、準備に手間取って夜中になってしまったそうです。しかし、お陰で夜明けのカッコいいカットが撮影されました。
エンディングの電話とタバコの火のギャグがイイですネ。
●「恐怖の電話」昭和43年10月6日放映
制作第4話 放映第4話 脚本:佐々木守 監督:実相寺昭雄
実相寺監督は、『ウルトラマン』では担当している全てのエピソードで佐々木守氏と組んでいましたが、『ウルトラセブン』では欠番となっている第12話だけのタッグでした。この『怪奇大作戦』では、両氏は実相寺監督担当の4エピソードのうち3話で組んでいます。
「恐怖の電話」は初期プロットで、TBSの橋本洋二プロデューサーから依頼されたパイロット版だったそうです。そのため、牧が非情な性格に描かれています。
『ウルトラQ』『ウルトラマン』でレギュラー、そしてこれも第12話だけの幻のゲストとなっている『ウルトラセブン』への出演もされている、桜井浩子さんがゲスト出演されています。気だるく暗い滝口令子役では、それまでの役には無い桜井さんの魅力を発揮されています。
開巻直後、激しく鳴っている電話のアップ。サブタイトルを先に知っているので、このシーンだけで怖いです!
令子が先に電話に出て父親と替わり、父親が二言三言会話をした直後、妙な音が響いて突然燃え上がります。家の中で激しく燃える父親のシーンは、日常の中の超常現象としてあまりにも印象に残ります。お陰で私はしばらく電話に出るのが怖くなりました‥‥。
現場の捜査のシーンは長回しですが、カメラが動き画面に変化があって、ワンカットとは思えません。緊張感に溢れる名シーンです。
タバコ屋の店先での第2の発火事件では、一瞬、焼死体のアップカットがあります。こんなものを見せるなんて‥‥。これが日曜日の午後7時に放映されていたとは‥‥。
病院で令子に厳しく尋問するスケさんに、さおりは「まるで牧さんみたい。」とたしなめます。このエピソードでは、牧の性格はそのように設定されているようです。
タバコ屋の店先での牧とスケさん、牧とノムの会話は殺伐として、あまり良い人間関係とは思えません。こんな職場はイヤだなぁ‥‥。このままの路線だと、この番組の魅力は無かったでしょう。
音響実験室で、電話口から聞こえてきた「音」について令子に尋問する牧。あまりにエキセントリックで非情な牧に違和感があります。
電話線を辿っていく牧のシーンでは、必ず子どもの野次馬たちがついて回ります。当時の子どもたちって、好奇心旺盛だったのでしょう。
事件の背景を探るスケさん、手口の科学的解明をする牧‥‥。絶妙なコンビネーションなんですが、事件の背景を捜査するのは警察の仕事では? この辺が民間団体としてのSRIの設定の難しいところで、事件捜査にまで首を突っ込んでしまうのは、本来はおかしいんですよネ。ましてや、犯人逮捕の場面に居合わせるというのも‥‥。
それでも手口が解明され、「大和電機」の岡島が犯人だと絞り込まれてからの畳み掛けるような展開についつい引き込まれ、そんな設定上の不都合なんて気にならずに見入ってしまいます。というより、子どもの頃はSRIが警察の内部組織だと思っていました(^^ゞ
小笠原返還、戦後23年など、時代のキーワードが散りばめられています。私が3歳だったこの頃も戦後を引きずっていたというのが、ちょっと驚きです。私の記憶では町はすっかり元気でした。
電話局の自動交換機の映像がこんなにサスペンスフルに描かれるとは! 犯人が岡島に絞られたのなら、警察は岡島を張り込めば良かったのですが、これは言ってはいけませんネ^^; 小川殺しを実行する前に岡島が逮捕されてしまっては、交換機の緊張感は味わえなかったわけですから‥‥。
岡島と警察のカーチェイスシーンは、準備に手間取って夜中になってしまったそうです。しかし、お陰で夜明けのカッコいいカットが撮影されました。
エンディングの電話とタバコの火のギャグがイイですネ。
サブタイトル明けの長回しにしても例外ではなく、あのカットの緊張感はそのノーカット性以上に、カット頭から中盤まで「牧の背打ち」のまま進むカメラワークにあるような気がします。視聴者はカメラを遮る牧の後に立ち、いらだちのまま作品に参加するジレンマを余儀なくされる訳です。緊張感とストレス感を両立させる上でも秀逸なカメラワークと言えます。
また電話局の自動交換機のアップ、カタカタという音の演出については、これ以前に「ダイヤルMを回せ!」(1954年アメリカ)でアルフレッド・ヒッチコック監督が先鞭をつけ、このエピソード同様のサスペンスを獲得しています。あまり語られないことですが、きっと実相寺監督も「ダイヤルM」を見ていたんでしょうね。氏らしいマニアックぶりに思わず頬がほころんでしまいます(笑)。
そしてこの「恐怖の電話」の冒頭ですが、なるほど、画面のほとんどを覆う牧の背中に、ちょっとしたイライラ感が募ります。長回しによってその場に立ち会っているかのような臨場感があるのに、牧の背中によって疎外感も感じます。ふーむ、そういう画(え)づくりというのもあるのですネェ。面白い着眼点です。
不勉強で、『ダイヤルM』は未見です。なるほど、交換機のシーンにはそういう先駆もあったのですネ。小川時計店の交換機が動き出した時は、「あぁ、かかってきちゃった~ どうしよう~!」という緊張感で、子どもの頃はドキドキして見ていられませんでした(苦笑)。
エンディングに大写しになったあの電話機は当時家にあって、テレビと全く同じあのベルが鳴ると怖くて逃げた思い出があります。作中の犯人、岡島が電話に出た町田警部に「…あんた誰?ほんとうに誰!?」のシーンはマジに怖かった。ロングな黒髪の桜井浩子さんは江戸川百合子やフジ隊員と全く違った雰囲気でコレも怖さを増した。
怪奇大作戦のエピソードの中では忘れられない一つですね。
追記
三年ほど前、CS放送で再放送していたので子供達に見せたところ、やはり怖がってました。そのあと、「あの変な電話ってどうやってかけるの?」…今時の子供だと痛感です。
本記事にも書いてありますが、私はしばらく電話に出るのが恐くなりました。「電話を使った殺人」って、子どもにとって最も身近な題材だったと思います。
今の子どもたちはダイヤル式電話のかけ方を知らないでしょうネ(苦笑)。
令子の父役に『バロム・1』の白鳥啓太郎役の中原成男(しげお)さん、保険外交員・水野役に守田比呂也さんです。
中原さんは『ウルトラセブン』第45話「円盤が来た」では、そば屋の客として出演されております。
これからも色々
これからも色々、出演者の俳優さんを挙げてよろしいでしょうか?
中原さんは第42話「ノンマルトの使者」でも出演されているようですネ。第45話ではミッキー安川さんの印象が強くて、見落としていました。
中原さんは『セブン』の第12話「遊星より愛をこめて」に、出演されております(役名は桜井浩子さん演じる山辺早苗の弟・シンイチの通う学校の保険医だそうです)。