●「バラージの青い石」昭和41年8月28日放映 磁力怪獣アントラー登場
制作第6話 放映第7話 脚本:南川竜・金城哲夫 監督:野長瀬三摩地
脚本の南川竜さんというのは野長瀬監督のペンネームで、第4話「大爆発五秒前」に続いて脚本と演出を担当されています。どのような分担で金城氏とともに脚本を仕上げたのかが興味深いです。
開巻していきなり、隕石の落下シーン。この端折り方にリズムとインパクトがあります。
科特隊パリ本部から派遣された「ジム隊員」役はエドガー・ケイザーさん。他ではお見かけしない方です。
科特隊員はやっぱり本部では青ブレザー姿。今回は早変わりのシーンはありません。
「磁力光線」の特撮は、あまり良いとはいえません‥‥。スクリーン・プロセスでの特撮も、何が何だかわかりません‥‥。ただし、効果音は見事に「磁力」を感じさせる傑作でしょう。私は今でも磁石を見ると、この「モワーン」とした音を連想します。
現代の航空機や自動車はコンピューターで制御されているので、磁気は大敵ですネェ。
しかし、「磁力」の「光線」って何?
「無線が故障じゃ、オレたちも『行方不明』の仲間入りだな‥‥。」というキャップのセリフが、何だかカッコいい!
そして、一緒にバラージの町に行きたいというイデに無線機の修理を任せる時には、指揮官としてのキャップの度量も感じられます。「磁力光線」から逃れる時の「光の壁に突っ込め」という指示も含めて、このビートル機内でのキャップは大活躍です(^o^) もちろん、「青い石」を投げつけてアントラーをやっつけたのもキャップです! この「バラージの青い石」は「人間標本5・6」と並んで、キャップがメインのエピソードといえるでしょう。
キャップたち一行が隕石を発見した場所のロケ地は、多摩ニュータウンの建設現場だそうです。現在のどの辺りになるのでしょう。その後アントラーと遭遇すると、珍しくスパイダーショットを撃つキャップの姿が見られます。
「バラージの町」のロケは東宝映画『奇厳城の冒険』のオープン・セットを借用したもの、というのはファンの間では有名ですネ。これも円谷英二というブランドがあったからこそ実現できたものでしょう。ただし、映画の撮影が始まる前の、早朝の撮影だったそうですが。
『奇厳城の冒険』という映画(監督:谷口千吉 制作:田中友幸 脚本:馬渕薫 音楽:伊福部昭 主演:三船敏郎)には、黒部進さん、桜井浩子さん、平田昭彦さんをはじめ、天本英世さん、若林映子さん、田崎潤さん、有島一郎さん、浜美枝さんなど、特撮ファンにはお馴染みの方々が出演されています。
「チャータム」役は弓恵子さん。弓さんは宮口二郎さん(ゾル大佐)の奥さんだったのですネ。いやぁ~、お美しい(*^o^*)
言葉が通じないバラージの人たちの中で、「エスパー能力によって日本語を話す」という設定は見事です。「宇宙人とは直接言葉を交わさない」など、『ウルトラマン』の劇中では徹底的に「言語へのこだわり」を見せてくれます。
隕石とアントラーの関係が劇中では不明瞭ですが、
「落下した隕石を科特隊のトルコやインドの支部が調査しに行って行方不明となったので、アントラーの存在が公けになった」
という骨子のストーリーなのでしょう。そして、バラージの町が発見され‥‥。あれ? それにしては、タイミングよくアントラーがバラージの町を襲います^^;
もう1つ、「ノアの神」とウルトラマンとの関係も謎です。アラシが勝手に「ウルトラマンの『先祖』が5千年前にも地球上に現れ」などと言っていますが、ハヤタも頷いているし‥‥^^; 最終話での「私はもう2万年も生きた」と矛盾してしまいます。まぁ、この時点では最終話のセリフは考慮されていないわけですが(^^ゞ
アントラーに果敢に向かっていき、建物の破片に当たって倒れてしまう「老婆」役の牧よし子さんは、『ウルトラQ』の「カネゴンの繭」に祈祷師役で出演されています。
ウルトラマンが磁力光線で引き寄せられるということは、ウルトラマンの体って金属? 銀色だから違和感がありませんネ。ん~、これも謎です(^o^) 「吸い寄せられるだけ吸い寄せられて、しゃがんでかわす」というのは、キャップが示唆した磁力光線から逃れる方法の応用でしょうか。ウルトラマンはハヤタの記憶を共有しているのでしょうか。
ウルトラマンはアントラーの頭部の大顎(ハサミ)を掴んで闘います。ウルトラマンは終始大顎をかわしながら闘わなければならないので、この大顎が強力であることが伝わります。そしてカラータイマーが点滅し、説明ナレーション。スペシウム光線を放ってアントラーを倒した!と思ったら、アントラーにはスペシウム光線は効かない!! 初めてこのエピソードを見た時には、この展開には焦りましたぁ~。
ウルトラマンは大顎をねじって折ってしまいますが、NGが出せない、緊張するシーンだったでしょう。
バラージはこの後どうなってしまったのでしょう‥‥。やはりチャータムの言った通り、旅人はこの町を蜃気楼だと思い、訪れる人も無く滅んでしまったのでしょうか‥‥。
アントラーに破壊された、キャップたちが乗ってきたビートルは「S111」。そしてフジ隊員が迎えに乗って来た機体も「S111」。当時はそこまでは気付かれないと思っていたのでしょうネ^^;
●アントラー
『ウルトラマン』では2体目の新規造型怪獣です。
複数の昆虫を融合させるデザイン・コンセプトにより、クワガタの大顎とカブトムシの小さな角を持った、昆虫好きには堪らないデザインです。
着ぐるみは前側で開くようになっている珍しいものでした。そのため、『ウルトラマン前夜祭』では前後を取り違えて着けていました^^;
名前は「アリジゴク」の英語「ant lion」から。
鳴き声は「ラドン」のものが流用されていますが、不思議と昆虫型の怪獣に相応しいものだと思います。
大顎を動かす時の「ギリギリギリギリ‥‥」という音は「歯ぎしり」の音だそうです。
制作第6話 放映第7話 脚本:南川竜・金城哲夫 監督:野長瀬三摩地
脚本の南川竜さんというのは野長瀬監督のペンネームで、第4話「大爆発五秒前」に続いて脚本と演出を担当されています。どのような分担で金城氏とともに脚本を仕上げたのかが興味深いです。
開巻していきなり、隕石の落下シーン。この端折り方にリズムとインパクトがあります。
科特隊パリ本部から派遣された「ジム隊員」役はエドガー・ケイザーさん。他ではお見かけしない方です。
科特隊員はやっぱり本部では青ブレザー姿。今回は早変わりのシーンはありません。
「磁力光線」の特撮は、あまり良いとはいえません‥‥。スクリーン・プロセスでの特撮も、何が何だかわかりません‥‥。ただし、効果音は見事に「磁力」を感じさせる傑作でしょう。私は今でも磁石を見ると、この「モワーン」とした音を連想します。
現代の航空機や自動車はコンピューターで制御されているので、磁気は大敵ですネェ。
しかし、「磁力」の「光線」って何?
「無線が故障じゃ、オレたちも『行方不明』の仲間入りだな‥‥。」というキャップのセリフが、何だかカッコいい!
そして、一緒にバラージの町に行きたいというイデに無線機の修理を任せる時には、指揮官としてのキャップの度量も感じられます。「磁力光線」から逃れる時の「光の壁に突っ込め」という指示も含めて、このビートル機内でのキャップは大活躍です(^o^) もちろん、「青い石」を投げつけてアントラーをやっつけたのもキャップです! この「バラージの青い石」は「人間標本5・6」と並んで、キャップがメインのエピソードといえるでしょう。
キャップたち一行が隕石を発見した場所のロケ地は、多摩ニュータウンの建設現場だそうです。現在のどの辺りになるのでしょう。その後アントラーと遭遇すると、珍しくスパイダーショットを撃つキャップの姿が見られます。
「バラージの町」のロケは東宝映画『奇厳城の冒険』のオープン・セットを借用したもの、というのはファンの間では有名ですネ。これも円谷英二というブランドがあったからこそ実現できたものでしょう。ただし、映画の撮影が始まる前の、早朝の撮影だったそうですが。
『奇厳城の冒険』という映画(監督:谷口千吉 制作:田中友幸 脚本:馬渕薫 音楽:伊福部昭 主演:三船敏郎)には、黒部進さん、桜井浩子さん、平田昭彦さんをはじめ、天本英世さん、若林映子さん、田崎潤さん、有島一郎さん、浜美枝さんなど、特撮ファンにはお馴染みの方々が出演されています。
「チャータム」役は弓恵子さん。弓さんは宮口二郎さん(ゾル大佐)の奥さんだったのですネ。いやぁ~、お美しい(*^o^*)
言葉が通じないバラージの人たちの中で、「エスパー能力によって日本語を話す」という設定は見事です。「宇宙人とは直接言葉を交わさない」など、『ウルトラマン』の劇中では徹底的に「言語へのこだわり」を見せてくれます。
隕石とアントラーの関係が劇中では不明瞭ですが、
「落下した隕石を科特隊のトルコやインドの支部が調査しに行って行方不明となったので、アントラーの存在が公けになった」
という骨子のストーリーなのでしょう。そして、バラージの町が発見され‥‥。あれ? それにしては、タイミングよくアントラーがバラージの町を襲います^^;
もう1つ、「ノアの神」とウルトラマンとの関係も謎です。アラシが勝手に「ウルトラマンの『先祖』が5千年前にも地球上に現れ」などと言っていますが、ハヤタも頷いているし‥‥^^; 最終話での「私はもう2万年も生きた」と矛盾してしまいます。まぁ、この時点では最終話のセリフは考慮されていないわけですが(^^ゞ
アントラーに果敢に向かっていき、建物の破片に当たって倒れてしまう「老婆」役の牧よし子さんは、『ウルトラQ』の「カネゴンの繭」に祈祷師役で出演されています。
ウルトラマンが磁力光線で引き寄せられるということは、ウルトラマンの体って金属? 銀色だから違和感がありませんネ。ん~、これも謎です(^o^) 「吸い寄せられるだけ吸い寄せられて、しゃがんでかわす」というのは、キャップが示唆した磁力光線から逃れる方法の応用でしょうか。ウルトラマンはハヤタの記憶を共有しているのでしょうか。
ウルトラマンはアントラーの頭部の大顎(ハサミ)を掴んで闘います。ウルトラマンは終始大顎をかわしながら闘わなければならないので、この大顎が強力であることが伝わります。そしてカラータイマーが点滅し、説明ナレーション。スペシウム光線を放ってアントラーを倒した!と思ったら、アントラーにはスペシウム光線は効かない!! 初めてこのエピソードを見た時には、この展開には焦りましたぁ~。
ウルトラマンは大顎をねじって折ってしまいますが、NGが出せない、緊張するシーンだったでしょう。
バラージはこの後どうなってしまったのでしょう‥‥。やはりチャータムの言った通り、旅人はこの町を蜃気楼だと思い、訪れる人も無く滅んでしまったのでしょうか‥‥。
アントラーに破壊された、キャップたちが乗ってきたビートルは「S111」。そしてフジ隊員が迎えに乗って来た機体も「S111」。当時はそこまでは気付かれないと思っていたのでしょうネ^^;
●アントラー
『ウルトラマン』では2体目の新規造型怪獣です。
複数の昆虫を融合させるデザイン・コンセプトにより、クワガタの大顎とカブトムシの小さな角を持った、昆虫好きには堪らないデザインです。
着ぐるみは前側で開くようになっている珍しいものでした。そのため、『ウルトラマン前夜祭』では前後を取り違えて着けていました^^;
名前は「アリジゴク」の英語「ant lion」から。
鳴き声は「ラドン」のものが流用されていますが、不思議と昆虫型の怪獣に相応しいものだと思います。
大顎を動かす時の「ギリギリギリギリ‥‥」という音は「歯ぎしり」の音だそうです。
蜃気楼の町バラージ。ウルトラマンの「先祖」の存在、そしてあの「青い石」。
劇中のノアの神の像には、ウルトラマンが持つカラータイマーがありません。あれはやっぱり成田亨氏の希望でしょうか。成田氏はカラータイマーを嫌ってましたしね。でも劇中の世界観を優先させたい私としては(笑)、あれは「ノアの神のカラータイマー」だったんじゃないかと思いたいです。
カラータイマーって、ウルトラマンのエネルギータイマーという役割以上に、それ自体強力なエネルギー体なんじゃないかと(笑)。カラータイマーが青の時はエネルギーも100%で、格闘が長引くにつれてタイマーからエネルギーを得ているからエネルギー消費につれて赤に変わると。だからあの石はウルトラマンの100%エネルギー、青く輝いていたんですよ。ノアの神はバラージにカラータイマーを置いて、後の人々にお告げを残したんでしょう。なんて(笑)。
こんな邪推が許されるのもウルトラ世界の深さゆえ。
またおバカな事を、とお笑い下さい。
8行目「あれはノアの神のカラータイマー」とは、劇中、神の左手に置かれた「青い石」の事を指しています。「青い石はノアの神のカラータイマー」だったんじゃ、と言いたかったわけです。
いやー思い入ればかりが先に立っちゃってお恥ずかしい限り。こんなのばっかりでごめんなさい(汗)。
それって、公式設定にしてもおかしくないと思いますヨ。いやぁ~、すごいオリジナリティとイマジネーションです! さすがにクリエイターの方は視点が違いますネ。
異国情緒たっぷりで、聖書の世界も引用された脚本は、全39話の中でも印象的なエピソードですネ。
様々な設定・デザインが出尽くした感のある最近では、なかなか魅力的な怪獣が現れにくいのかもしれません。
>高野豆腐さん
МXの再放送は私もたまに見ています。DVDを持っているので、いつでも見られると思ってしまうのですが‥‥。昔の再放送を待ち焦がれていた頃とはずいぶんと変わってしまいました‥‥(汗)。
>ピコリンさん
メイクもエキゾチックで、弓さん、おきれいですよネ。ピコリンさんは女性なのでしょうか? 衣装にお詳しいようで、詳しい解説をありがとうございます。