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期せずして実相寺監督特集(笑)となってしまいました。
●「死神の子守唄」昭和43年10月13日放映
制作第5話 放映第5話 脚本:佐々木守 監督:実相寺昭雄
佐々木氏はパイロット脚本「死神と話した男たち」(「恐怖の電話」の初稿)を書いたほどで、『怪奇大作戦』ではむしろ王道路線を担当されていました。そして実相寺監督は、このエピソードではあまり凝ったアングルや特殊効果は使われていません。不思議とオーソドックスなエピソードになっています。
一般での評価は高いですが、私はあまり好きなエピソードではありません(^^ゞ
このエピソードでは、エキストラ音楽の「♪10人の娘が旅に出た」の歌の存在が重要です。
♪滝にうたれて1人目が死んだ
♪橋から落ちて2人目が死んだ
♪崖から転げて3人目が死んだ
♪熊に食われて4人目が死んだ
♪蜂に刺されて5人目が死んだ
(以下不明)
この歌の通りに殺人--実は実験をしているだけなのですが--が行われていくことが、私は子どもの頃から引っ掛かっています。歌詞と殺人(実は実験^^;)の順番が符合するので犯人の手がかりとなる、というモチーフでしたが、高木京子の兄・吉野にしてみれば、歌の通りに殺人を進めていく理由は全くありません‥‥。終盤で高木京子が「歌の順番の通りに殺していく心が憎い」というセリフを言いますが、実の兄が自分の命を救おうとしてやっていることに「憎い」という言葉も違和感があります。「胎内被曝」という深いテーマを扱っていることに感心しますが、この歌と殺人の順番の関連性に納得がいかず、どうしても引っ掛かってしまいます‥‥。
また、「『スペクトルG線』をつくり出すためには原水爆以上の高温が必要だが、逆に冷却することでつくり出すことに成功した」という擬似科学的設定が、「『スペクトルG線』を浴びると凍りついてしまう」という失敗につながることに疑問を感じます。「スペクトルG線」と「超低温」の関係性がゴチャゴチャ‥‥。凍らずに死ぬのだと、この番組のカラーに合わないための措置なのでしょうか。
冒頭、連続して女性の殺人シーンがありますが、女性たちの必死の悲鳴に緊迫感があって素晴らしい演技です。そして、最初の噴水前の被害者(かなり美人!)、そして中盤の3人目の被害者(こちらも美人!)では光学合成で凍りつく瞬間を見せてくれています。そのあまりに見事な合成ぶりについ見過ごしてしまいますが、映像ソフトをお持ちの方はぜひコマ送りでご確認してみてください。一瞬光ったあと、凍りついた死体への変化がとても自然です。しかし、凍りついた死体の表現がビニールを被せただけ‥‥^^; 当時の表現の限界でしょうか‥‥。
被害に遭う4人の女性は、桜井純子さん、飯野節子さん、高野フキ子さん、木村マチ子さんです。このうち、桜井純子さんは検索してみたら『あつい壁』という映画の主演をされ、高橋恵子さん主演の『おさな妻』にも出演されていたようです。最初か3人目の被害者が桜井さんではないかなぁ‥‥。
スケさんの「絶対零度」の説明がちょっと変‥‥。「それよりも低い」って‥‥。おそらく佐々木守氏が「絶対零度に0.000001度まで近づけることに成功した」を「絶対零度よりもさらに0.000001度下げることに成功した」と勘違いしたのではないでしょうか。だからといって、このエピソードの科学的なおもしろさが損なわれるわけではありませんが。
ストーリーとしては、第1の殺人現場にいた女性を怪しみ、尾行した末に「死神の子守唄」の歌詞と殺人の関連性に着目したスケさん、被害者の血液の異常からスペクトルG線が事件に関係していると睨む牧、そしてその2人が東大病院放射線科医長の麻生博士の下で偶然に合流するという展開で、事件の核心に近付いていきます。
最初はスケさんの、歌と殺人の関連性を否定していた牧ですが、サー坊の芸能雑誌での記憶から高木京子の本名が「吉野」だと知ってから、高木京子が事件に関与していることを認めました。一方のスケさんは、既に歌と事件の関連を高木京子の口から聞いています。いよいよ大詰めです。ワクワクしてきました。
しかし、なぜかいつの間にか牧とノムは吉野が殺人を犯す現場にいて、さらに吉野の逮捕に向かう町田とノムは、スケさんと高木京子がいっしょにいるところを通りがかります‥‥。突然の展開に驚いてしまいますが、私はあまり気にならずに見ていました。
穏やかに吉野に話しかける牧。「『原爆をつくった』のも『白血病を治してやれない』のも、どちらも科学者」だという、吉野の悲痛な叫び。科学者である我が身を振り返りながら、妹の白血病を治してやるために道を踏み外していることも知っている吉野。草野大悟さんの熱演が光ります。
兄の逮捕のあと、自分に向けてスペクトルG線を発射し、柵の支柱に刺さってしまう高木京子。「♪蜂に刺されて」の歌の通りになってしまうのが怖いです~。
●「死神の子守唄」昭和43年10月13日放映
制作第5話 放映第5話 脚本:佐々木守 監督:実相寺昭雄
佐々木氏はパイロット脚本「死神と話した男たち」(「恐怖の電話」の初稿)を書いたほどで、『怪奇大作戦』ではむしろ王道路線を担当されていました。そして実相寺監督は、このエピソードではあまり凝ったアングルや特殊効果は使われていません。不思議とオーソドックスなエピソードになっています。
一般での評価は高いですが、私はあまり好きなエピソードではありません(^^ゞ
このエピソードでは、エキストラ音楽の「♪10人の娘が旅に出た」の歌の存在が重要です。
♪滝にうたれて1人目が死んだ
♪橋から落ちて2人目が死んだ
♪崖から転げて3人目が死んだ
♪熊に食われて4人目が死んだ
♪蜂に刺されて5人目が死んだ
(以下不明)
この歌の通りに殺人--実は実験をしているだけなのですが--が行われていくことが、私は子どもの頃から引っ掛かっています。歌詞と殺人(実は実験^^;)の順番が符合するので犯人の手がかりとなる、というモチーフでしたが、高木京子の兄・吉野にしてみれば、歌の通りに殺人を進めていく理由は全くありません‥‥。終盤で高木京子が「歌の順番の通りに殺していく心が憎い」というセリフを言いますが、実の兄が自分の命を救おうとしてやっていることに「憎い」という言葉も違和感があります。「胎内被曝」という深いテーマを扱っていることに感心しますが、この歌と殺人の順番の関連性に納得がいかず、どうしても引っ掛かってしまいます‥‥。
また、「『スペクトルG線』をつくり出すためには原水爆以上の高温が必要だが、逆に冷却することでつくり出すことに成功した」という擬似科学的設定が、「『スペクトルG線』を浴びると凍りついてしまう」という失敗につながることに疑問を感じます。「スペクトルG線」と「超低温」の関係性がゴチャゴチャ‥‥。凍らずに死ぬのだと、この番組のカラーに合わないための措置なのでしょうか。
冒頭、連続して女性の殺人シーンがありますが、女性たちの必死の悲鳴に緊迫感があって素晴らしい演技です。そして、最初の噴水前の被害者(かなり美人!)、そして中盤の3人目の被害者(こちらも美人!)では光学合成で凍りつく瞬間を見せてくれています。そのあまりに見事な合成ぶりについ見過ごしてしまいますが、映像ソフトをお持ちの方はぜひコマ送りでご確認してみてください。一瞬光ったあと、凍りついた死体への変化がとても自然です。しかし、凍りついた死体の表現がビニールを被せただけ‥‥^^; 当時の表現の限界でしょうか‥‥。
被害に遭う4人の女性は、桜井純子さん、飯野節子さん、高野フキ子さん、木村マチ子さんです。このうち、桜井純子さんは検索してみたら『あつい壁』という映画の主演をされ、高橋恵子さん主演の『おさな妻』にも出演されていたようです。最初か3人目の被害者が桜井さんではないかなぁ‥‥。
スケさんの「絶対零度」の説明がちょっと変‥‥。「それよりも低い」って‥‥。おそらく佐々木守氏が「絶対零度に0.000001度まで近づけることに成功した」を「絶対零度よりもさらに0.000001度下げることに成功した」と勘違いしたのではないでしょうか。だからといって、このエピソードの科学的なおもしろさが損なわれるわけではありませんが。
ストーリーとしては、第1の殺人現場にいた女性を怪しみ、尾行した末に「死神の子守唄」の歌詞と殺人の関連性に着目したスケさん、被害者の血液の異常からスペクトルG線が事件に関係していると睨む牧、そしてその2人が東大病院放射線科医長の麻生博士の下で偶然に合流するという展開で、事件の核心に近付いていきます。
最初はスケさんの、歌と殺人の関連性を否定していた牧ですが、サー坊の芸能雑誌での記憶から高木京子の本名が「吉野」だと知ってから、高木京子が事件に関与していることを認めました。一方のスケさんは、既に歌と事件の関連を高木京子の口から聞いています。いよいよ大詰めです。ワクワクしてきました。
しかし、なぜかいつの間にか牧とノムは吉野が殺人を犯す現場にいて、さらに吉野の逮捕に向かう町田とノムは、スケさんと高木京子がいっしょにいるところを通りがかります‥‥。突然の展開に驚いてしまいますが、私はあまり気にならずに見ていました。
穏やかに吉野に話しかける牧。「『原爆をつくった』のも『白血病を治してやれない』のも、どちらも科学者」だという、吉野の悲痛な叫び。科学者である我が身を振り返りながら、妹の白血病を治してやるために道を踏み外していることも知っている吉野。草野大悟さんの熱演が光ります。
兄の逮捕のあと、自分に向けてスペクトルG線を発射し、柵の支柱に刺さってしまう高木京子。「♪蜂に刺されて」の歌の通りになってしまうのが怖いです~。
こちらの記事を拝見し、今回久しぶりに再見しましたが、今見ると、やはり牧の無力感が心に残ります。
科学者として吉野に対峙する牧ですが、その口から出る一般論は、とても吉野の心に響くものではありませんでした。一個人の主張としては、むしろ吉野の方が牧を圧倒しているようにも見えます。
胎内被爆者の親族が放つ心の叫びが、正論を凌駕するのです。
ここでも怪奇特有の「主張と間違った手段の狭間で立ち尽くす主人公」という図式が浮き彫りにされているような気がします。
この話数あたりを契機に牧が犯罪者の心理に傾倒していく流れも、非常に興味深いです。
自分の命を救うため他人の命を奪い続ける兄の姿は、京子にはどう映っていたのでしょうか。
犠牲となった被害者の体のように、スペクトルG線は京子の心をも凍りつかせていたのでしょうか。
京子がスケさんに漏らした「生きたい」という悲痛な叫び。彼女は生きて幸せを掴みたいと願っていましたが、その彼女のために兄がとっていた行動は、彼女には許せないものだったでしょう。
「生きたい」と願った京子は、しかし自らの命を絶ちました。自分のために被害に遭った女性たちへの償い? または兄の逮捕によって、スペクトルG線が完成されないことへの絶望? 京子の死を吉野は知らない結末は、視聴者の心に深い闇を落とします‥‥。
牧が‘オレが吉野を追い詰める’とか言いながらタバコを吸いつつ話し合うのも最初に見たときに違和感がありました。
そういえばこの2人、ゴジラ対メカゴジラではインターポールの南原とブラックホール第3惑星人の関係でしたね。
とにもかくにも、岸田森と草野大悟という2大名優の共演が嬉しいです。
草野氏は後にミラーマンでもインベーダー役で登場してますし。
ラストで高木京子が外人墓地の柵に串刺しになってしまうシーンは驚きました。
今では無理ですね・・・・・
なお欠番になったセブンの12話よりコチラの方が、
ヤバそうな気がしますけどね。
以前CD化されたものも、最近リリースされたサントラCDに収録されたものも、歌は入っていないインストです。歌入りのver.は音源が行方不明で、これまでCD化されたことはないと思います。
あ、元々10番までの歌詞が無いのですか。劇中での歌も、事件も5人目で終わってしまっているので、その続きが気になっていました(笑)。
>こーじさん
岸田森さんと草野大悟さんの共演は、子ども向けの番組の雰囲気ではありませんネ。重厚な、深い心の機微を感じさせてくれる演技は、見る人の感性によってさまざまな味を見せてくれます。
『セブン』12話の欠番の経緯は、例の雑誌のカードでしたから。表現自体には大きな問題はないと思いますヨ。スペル星人のデザインが問題なら、お岩さんの映像化だってできないでしょうし。
第6話から第10話までも出ていました。第5話までが以前 up されていたのか気になるところです。
途中に「店の客のざわめき」のようなノイズが入っている(イコライズされて低減されていますが)ので、あれはSEテープを編集でつなげたものなのでしょうネ。これって、CDに収録されているのでしょうか。