2008年6月14日8時43分頃,岩手県内陸南部を震源としたM7.2の地震が発生し、多くの被害が発生しました。特に斜面の落石防護ネットを設置する作業をしていた方が、斜面崩落に巻き込まれるという、同業者の私にとっては痛切・残念の極みのニュースも耳にしました。
火山が噴火し、山が崩れる。この自然の摂理は災害という不幸をもたらし、また、『ひとめぼれ』という美味しいブランド米の生産基盤をもたらす土壌を供給し、温泉で疲れを癒すといった恵みと表裏一体であることを忘れてはなりません。
マスコミ報道は、防災に関して稚拙な報道を繰り返しています。「今後余震が起こるんでしょうか」程度の質問を学者先生に聞いても「はい」としか答えようがありません。なお捜索が続く温泉宿の周辺には美しいブナの原生林に覆われ、豊かな生態系を育んでいる複雑な地形は、実は今回のような地震に伴う地すべりが元であることを認識しなければなりません。
こんなに山が大きく崩れるような地震は、ちょっとなかったんじゃないですかと知った風なことをいうアナウンサーや評論家、2004年新潟県中越地震のことをもう忘れたのでしょうか。台湾やパキスタンでの地震でも同様なことが起こっています。
エンドユーザーやマスコミ報道になにも言わない地盤技術者も問題ですが、必要以上にあおる報道も疑問に思います。
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