日本交通公社が発行している「観光文化」という雑誌の2009年7月号に、ジオパーク・ジャパンという特集号が組まれていたのを知りました。PDFをダウンロードできます。
観光文化:特集「ジオパーク・ジャパン」
http://www.jtb.or.jp/themes/content/img/publish/bunka/bunka196.pdf
あえて言えば、日本列島の大地全体に、私はジオパークを名乗る資格があると思っています。その大地の仕組みを科学的に語る組織を整備することによって、その地域のジオパークが成立するという日本列島であると思っています。
冒頭には「日本列島の誕生」で有名な平 朝彦先生のが詳細かつ迫力のある論説を繰り広げておられます。このような専門高度な知識を専門外の雑誌に掲載することも、大切なアウトリーチであると思います。
一方で、観光地域プロデューサーの前田雅裕さんの文章に、地形・地質の専門分野の偽らざる現状が述べられています。
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地質や地形などを中心とした地質遺産は、動物や植物に比べると地味な上に動きがないため、専門家から説明がないと分かりにくいところがあります。しかし、きちんとしたガイドによる説明があれば、知的な満足度は非常に高く、興味深いツアーになります。
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動きがない というのは、それに付加するものが付けにくい、つまり一般産業化しにくいということでもあるので、地学がいまひとつメジャーになりきれない一面だと思います。動物や植物に比べ、スケールが大きすぎてドーンと構えているため感情移入もしにくい面もあるでしょう。
また、知的な満足度が高いということは、知った時の快感も大きいことも意味します。でも、どうやってビジネスにするか、ちょっと発想が及びません。いい考えはないでしょうか。
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ところが、今や口蹄疫が勃発して、それどころではなくなっています。
自然災害の防災と違って人間と家畜伝染病の防疫に対する政府の取り組みのひどさに暗然。安全・安心の日本社会は遠い先の話でしょう。