防災ブログ Let's Design with Nature

北風より太陽 ソフトなブログを目指します。

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2008年07月04日 | 盛土が安定すれば安心

○比叡平3丁目自治会自主防災部 http://blog.livedoor.jp/shagal/
  私は日々地盤の防災に関わっており、最近は人工地盤の危険性について調査することも多くなりました。そして、地形の成り立ちを考えながら、ハザードマップ(土地条件図や地形分類図)として描写することを仕事にしてきました。
 この観点が日本の防災、ひいては一般社会に不足していると感じたため、このようなブログで微力を尽くしているのですが、このたび、私の目指すところにぴったりな自主防災組織があることを知りました。

 それが、滋賀県は比叡山にある自治会の自主防災組織です。部長の方が、ブログを開設しておられます。

 その内容の一部を紹介しますと、宅地の耐震化工事
 
http://blog.livedoor.jp/shagal/archives/cat_50035114.html
  
 2006年9月の
宅地造成等規制法の改正に伴い、自治体が谷埋め盛土造成地を中心とする危険宅地の抽出と調査を行い、危険と判断される場合には「造成宅地防災区域」に指定できるようになりました。防災区域には費用の一部を国と自治体が負担して耐震化工事を行い、災害が起る前に減災対策を行うことが可能になりました。(宅地防災パンフレット)

 宅地造成等規制法では、災害が起る前に自治体が危険度を調査をすることから減災対策を始めるとしているのですが、記事によれば危険宅地マップの作成を始めたのは大阪府や川崎市、横浜市など全国でまだ十数自治体しかないそうです。大津市もまだ一次スクリーニングを始めていません。10年間で危険宅地を半減するという目標はこれで達成できるのでしょうか。まず自治体が調査を行い、危険性を把握し、住民に説明することから始めなければなりません。

 私たち技術者からみても大変高度な内容で、勉強になります。扇情的なマスコミ報道やイメージ先行に踊らされず、専門的知識を高め「知域」をひろげる、、そういった意味で、このブログのブックマークの紹介文は、以下のようにしました。

地盤の成立から「知域」の防災にも貢献する正統派自主防災組織


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2 コメント

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ありがとうございます (下河)
2008-07-10 08:14:43
久保田 様
 おはようございます。大変丁寧なコメントを頂きまして有難うございました。
 谷埋め盛土の問題は、区画整理・ほ場整備された農地も含めると全国的な問題です。日本はさながら『谷埋め盛土大国』なのです。

 阪神・淡路大震災では、高速道路の倒壊や火災がクローズアップされ、谷埋め盛土の崩壊はどちぃらかというと"地味”に扱われました。しかし、実は谷埋め盛土の危険性については丁度30年前の宮城県沖地震の時に、東北大学の研究グループが明らかにしていました。

このページも有用です(応用地質学会東北支部)
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jseg/tohoku/download_file/H15/H15-s-check.pdf

 確かに、住民には知らせない方がよいというネガティブな意見が出てくるもの実情かと思いますが、21世紀は維持管理の時代です。自分の資産は自分で管理する。あんしん宅地.神奈川のキャッチコピーでは

・土地(資産)に安全という価値が加わります。
http://www.あんしん宅地.jp/kanagawa/top.html

という一文を加えました。
 自分の土地の成り立ちを知ったうえで、防災対策を進めておくこと、専門家にセカンドオピニオン(第三者の意見・診断)を求めておくことが価値であるという認識を広めていくほうがよいと考えています。

 このためには、我々技術者が公共事業ばかりでなく、久保田様のような方々と協力しあうことが不可欠と考えています。

 今後とも、有意義な情報交換を続けられましたら幸いです。
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ご紹介ありがとうございます。 (久保田)
2008-07-10 00:39:37
下河様

 ブログにご紹介いただきありがとうございました。自主防災活動を始めた当初は私自身も地盤に関する意識は低かったのですが、町内の方から明治時代の比叡平の地図をいただき、初めて比叡平が谷埋め盛土の住宅地であることに気付かされました。釜井先生や太田さんの論文や報告書に一通り目を通し、ことの重大さにようやく気づいた次第です。

 実は防災活動を進める上で、谷埋め盛土問題をどう扱うかは自主防災部内でも意見が分かれていました。住民には知らせない方がよいという意見が役員の大勢でした。その理由は、当面の解決策がない問題を取り上げてもいたずらに不安を煽ることになるだけである、地価が下がるなどの実害も生じる恐れがあるなど、知らせることによるリスクの方が大きいと考えていたからでした。それでも比叡平の防災問題は谷埋め盛土の問題を避けて通ることはできませんので、あえてこの問題を取り上げることにしました。谷埋め盛土問題は解決策のない問題ではなく、災害の予防が可能であるということを太田ジオなどから教えていただきました。

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