防災ブログ Let's Design with Nature

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地形認知と津波リスク認知の関係について

2009年04月28日 | 災害の記憶と想像力
牛山先生のブログに、以下の論文が掲載されていました。

地形認知と津波リスク認知の関係について
http://disaster-i.net/notes/2009JDIS_ohta.pdf
要旨:過去に津波災害を経験している地域を対象に調査票調査を行い,津波災害と関係が深い空間情の一つである地形(自宅の標高)に対する認知と,避難行動意向など津波災害リスクに対する認知の関係について検討した.調査は岩手県陸前高田市今泉地区を対象に行われ,521 件の回答を得た.自宅標高を全く認知していない人(無回答)は46.3%にのぼり,実際の標高の範囲内を回答した人は16.5%にとどまった.また,13.2%は実際より高い標高を回答し,24.0%は低い標高を回答した.標高の低いところでは実際より低く認知され,標高の高いところでは無回答が多い傾向がある.自宅標高を正しく認知している人や,実際よりも低く認知している人は,実際よりも高く認知あるいは自宅標高を認知していない人に比べ,津波災害に対する危険度認知が高い傾向があった.また,これらの回答者は津波の際の避難意向も積極的であった.自宅標高の理解と,津波災害に対する防災行動などの間には何らかの関係があると考えられる.標高の理解を支援するような情報整備が重要である.

地形分類や地質以前に、現在地を確かめることすら悩んでしまう日本人。楽しく地理に向き合うムードづくりも大切です。