防災ブログ Let's Design with Nature

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建築技術 - 釜井先生の記事 ‐

2009年04月26日 | 盛土が安定すれば安心
昨日の勉強会で、宅地盛土や耐震化の話をしていたら、建築技術という雑誌の2007年4月号「住宅の地盤の診断と補強・補修」に、釜井先生のコメントで興味深いものがあったのを思い出したました。

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大都市では東京直下型地震(略)などの災害の発生が危惧されている。これらの地震の発生を防ぐことはできない。しかし、宅地(敷地)の地盤災害リスクを知ることによって、被害を大幅に軽減することは可能である。このリスクを規定する宅地の条件は、一見すると様〃であるが、じつは時間軸上でみると容易に整理できることが分かってきた。
すなわち、重要なヒントは広い意味での土地の歴史の中にある。時間軸を自由に行き戻りしながら、過去から十分に学び、命を守る想像力を養うことが重要である。
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時間の概念がないと、地盤は変化するものという概念がないと、一次的な調査で得られた定数を信じ込み、誤った方向に走りだし止まらなくなります。なんでその現象は、その場所に、その規模であるのかということを常にイメージしておかないと、イニシャルコストにだけ目を奪われて、ライフサイクルコストの壮大な無駄を生みだしかねません。

例えば、盛土にしても、時間がたつほど圧密して強くなと言われているのですが、古い街並みを歩いていると擁壁の石の間から水や土が大量に湧出していることも少なくありません。これは、盛土内部で微妙に地下水の流動が変化し、内部が落ち着かない状態にあると考えざるを得ません。

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辞書で、「建設」と「建築」をひいてみました。

建設:施設・道路などを、新たに造ること。「ダムを―する」
    新しい機構や組織を作り上げること。「平和な社会を―する」
建築:家屋などの建物を、土台からつくり上げること。また、その建物やその技術・技法

時間軸の概念、それに応じた空間軸の概念、それに基づく事象の想像力などは、建設の方でしょうね。「建築」的な議論とは言いませんからね。多くの地質技術者が目指しているのは建設ですが、”売れるものを作る”という意味では、建築的センスがいるでしょうね。

今回の記事はちょっと抽象的でした。