日々是好日日記

心にうつりゆくよしなしごとを<思う存分>書きつくればあやしうこそものぐるほしけれ

愚かな政府に愚かな民でコロナウィルスが完全勝利?

2021年08月02日 07時26分08秒 | 政治
 福沢諭吉の「通俗民権論」。そこにはこんなことが書いてある。;――
「抑も(そもそも)民権の伸びざる原因は、畢竟、人民の無智、無徳に由るものにして、元を要するに、政府は智にして人民は愚なるが為に、自ら智者の圧制を受るの訳なれども、今、誠に官民の別なく、全国の人を一様に見渡して、一体に愚なる国人なれば、其国に於て政府に在る人のみ別段に智力ある可きの理無し。人民愚なれば、政府も亦愚ならん。人民智なれば政府も亦智ならん」(「デジタルで読む福澤諭吉」慶応大学メディアセンターデジタルコレクション)
 あえて現代語に訳すほどのものでもないが、あえて書けば以下のようになる;――
「『一国の人民の政治的権利が拡大されない原因は、人民が愚かで不道徳のためであり、要するに政府は利口だが人民が馬鹿だから、知恵のある政府に好いように圧倒されてしまうのだ』というように考えがちだが、実はそうではない。というのは、人民が愚かだというのであれば、政府もまた愚かであるはずだし、その逆、政府に知恵が有るのなら、人民にもまた知恵が有るはずなのだ」
 まあ、言わずもがなである。いま、この国は敗戦後70年で最も危険な状況に置かれている。1億の民がCOVID-19パンデミックに襲われているためである。「智なるはずの政府」は、「身動きしてはいけない!」「街に出てお酒を呑んではいけない」「Stay Home 家に居ろ!」とさかんに叫ぶのだが、「愚なる人民」は政府の言うことを一向にきかない。それゆえ、COVID-19ウィルスだけがますます増長し発展してしまって、もはや連日1万人を超える発症者を出している。病院は病人であふれ、火葬場は順番を待つ死者であふれている。しかし、多くの人民は街に出てウィルスの繁茂に手を貸し自ら虎穴に首を差し入れている。
 これが何故かと言えば、「智なるはずの政府」が「愚」にも世界中からアスリートを集めてオリンピック競技会を主宰しているからである。賢い筈の政府がこんな祭典を開催すれば、「愚かな民」は外に出てこれを観たくなるし、観てはならないと言われても、しからば夏休みの休暇を利用して海に山に出かけようと考える。
 そのような簡単な論理で民が行動することが分からぬ政府もまた、つまるところ「愚」というにしくはない。政府が「愚」なれば、人民もまた「愚」である、と福沢諭吉は言うのである。
 愚なる政府と愚なる人民が調和して、コロナウィルスが今、我が世の夏を謳歌している。敗戦から71年目の夏。「コロナ敗戦」の夏!
 


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1 コメント

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Unknown (早川 勲)
2021-08-03 14:13:16
もう、真当すぎて付言することなし。
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