歴史の中である時間幅を取ってその評価をくだすというにはどうしても、その時代の後に一定の時間を置かないと即断ずるのは難しいor出来ないということがある。それは、その対象とする時代に生起した事象が後世においてどう変質していったかを見ないとならないからだ。
岸田政権が終わることになった。この3年の時代をどう評価するか? それは、この間になされた政治的営みが今後どう発展・定着・変質・消失していくかを見なければ軽々には語れない。しかし、その政権が在任中からして誤った判断をしている場合には歴史という時間のフィルターを通さずとも評価は自明であるということはあるはずだ。政治的権力の誤った発露がある場合には、同時代的に評価ができるという主題は必ずある。岸田政権の3年においてはそういう例が、対米外交とそれによる「軍事予算2%」政策や「原発復活」という政策として際立って存在する。ここでは後者について・・・
「原子力発電のコストが上昇している。米国の最新の試算では、既に陸上風力や太陽光より高く、海外では採算を理由にした廃炉も出ている。日本政府の試算でもコストは上昇傾向だ。年度内にも予定されるエネルギー基本計画(エネ基)の改定で、原発を活用する方針が盛り込まれれば、国民負担が増えると指摘する専門家もいる」(2024/08/20東京新聞)
ある日本晴れの日、岸田首相は傘をさして東京永田町を歩いていた。通りがかりの人がその理由を尋ねると「いまワシントンで雨が急に降り出したと外電が伝えていたから」と答えた、さほどに対米追随の岸田さん。そういう中で超独自路線を選んでいるのが原子力行政だ。これがとっくに破綻しているのは、3.11を例に挙げるまでもない、使用済み燃料の再利用という核燃料サイクル政策ですらでもなく、・・・つまり、何と言いつくろうとも、原発政策は未来の展望が全くない政策であった。
フィリピンプレートが沈み込む東・南海トラフで起こるとされる大地震や、東日本大震災の原因になった太平洋プレートの沈み込み境界で発生する東日本巨大地震、さらに北米プレートに攻められる北海道東部地震等々、その規模の大きさから、この国の何処にも十億年不動の大地と地盤などいうものは断じて存在しない。にも拘らず政府は北海道や佐賀県で穴を掘って地盤を調べるというご念の入れよう。馬鹿げているとしか言いようが無い。つまりこの国には使用済み核燃料の10億年の安全保管場所などいう地盤は断じてない。にも拘らず、国も、受け入れ自治体も「虚々実々」に調査を挙行している。こういう行き止まりの絶対条件にも拘らず、岸田氏は原発政策に舵を切ったのである。
今月8日、日向灘を震源とする最大震度6弱を観測した地震では、初めて「南海トラフ地震臨時情報」を発表し10日間にわたって警報を出し続けた。ことほど左様、世界屈指の地震大国・温泉大国であるニッポンには何処を掘っても10万年動かない地盤は存在しない(はずだ)。つまり、諸外国はいざ知らずプレートテクトニクスの教えるところこの国には原理として10万円動かない地殻は存在しない。ゆえに、原発は他国に廃棄物を捨てに行くこと以外のやり方では原子力発電は窮極において破綻する。
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