日々是好日日記

心にうつりゆくよしなしごとを<思う存分>書きつくればあやしうこそものぐるほしけれ

果てしない物語 フクイチのデブリ

2024年08月27日 07時21分17秒 | 政治
 東京電力福島原子力発電所の崩壊した三つの原子炉には、合わせて880トンというとんでもない量のグチャグチャに溶けた核燃料が、底の抜けた原子炉の下にとぐろを巻いているというイメージでよいだろう。これの除去をどう進めるのか?、何時から始められるのか、どういう手順で、どう扱えばよいのか、実のところ誰にも分かってはいない。
分かってはいないからといって手をこまねいていては世界が承知しない。あまつさえこのデブリを冷やすために投入している冷却水と、それとは無縁に湧き出して人に制御できない天然地下水も混じって、これを集めてその中に含まれる放射性の数十の核種を除去装置(アルプス)によってフィルタリングしたうえで巨大なドラム缶に入れて寿命の短いが強い放射能をもつ核種の減衰を待って海洋投棄をしている。現在は、ここまでで12年を営々として過ごしてきた。実にただそれだけである。
さりながら、ただ手をこまねいていては外聞が悪い。そこでちょっとした小道具を使って溶融デブリを「つまんでみる」という「努力」をしてみたのが過日22日の取り出し実験であった。そのつまむ量は3グラムというから、対象の880トンデブリとは天文学的違いではあるが、まずは努力しているという姿を世界に見せることが、冷却タンク水の「海洋投棄」によって失われた国際的信用の回復のために必要だったのであろう。
しかし、残念ながら過去のいくつかの試みと同様、ここでも作業の手順を間違えたとかで、失敗に終わったという。すでに十数兆円を投入し、これからも天文学的支出を伴うであろうこの原発廃棄事業。日本国民に取りついた吸血鬼は子々孫々にまで取りついて離れない「貧乏神」となって生き続けていくことであろう。ああ、なんという運命!
岸田文雄現首相はこれからも原発政策を堅持し、増強すらしていくと言い、彼の次期後継に手を挙げている者たちにもこれに異議を申し立てている者もいないようであるから、フクイチの悲劇は何の教訓も残さないまま継続していくのであろう! 国富の莫大な出血をそのままに、貧困な政治の犠牲が続く。
 


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2 コメント

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Unknown (ewkefc)
2024-08-27 08:59:21
『果てしない物語 フクイチのデブリ』に対する意見
https://blog.goo.ne.jp/genyoanki/e/8819e1ce721b0b3ec12f1a3a756349b3


>何時から始められるのか、どういう手順で、どう扱えばよいのか、実のところ誰にも分かってはいない。
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第204回国会 衆議院 原子力問題調査特別委員会 第4号 令和3年4月27日

○鈴木参考人 長崎大学の鈴木でございます。・・・一つの選択肢として、チェルノブイリのような石棺にする、あるいは、TMIがそうですけれども、しばらく放置して、TMIは、スリーマイル島はもう使用済燃料を取り出していますけれども、廃炉をするのをしばらくおいておいて、安全に保管してからやるという、この選択肢によって廃棄物の量が大きく変わってきます。
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現時点でのデブリ取り出しは不可能なのですね。
ですからチェルノブイリのような石棺にして放置し、放射性物質の半減期が過ぎてから作業に取り掛かるようにすれば新しい技術も開発されるだろから、いま無理をして廃炉作業を進めるのは賢明な判断ではないという意見も出てくるわけです。
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Unknown (integrale)
2024-08-27 13:16:12
この政治の貧困とは、短慮な政治家が多すぎるということではないでしょうか。
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