日々是好日日記

心にうつりゆくよしなしごとを<思う存分>書きつくればあやしうこそものぐるほしけれ

これを「紺屋の白袴」と言うべきか?、それとも??

2020年02月05日 08時01分48秒 | 政治
 「大手総合電機メーカーのNECが2018年までの数年間にわたり大規模なサイバー攻撃を受け、本社などのパソコンやサーバーに保存されていたファイル約2万8千点が外部流出した可能性があることが分かった。同社が手がける潜水艦用センサーの情報など自衛隊装備に関する資料も含まれていた」(2020/01/31 共同通信)。
 このだらしない事件を起こしたのが我が国で最も大規模な通信機器メーカーであり、日本の主として真空管・トランジスタ・電話交換機・搬送通信機器など有線電気通信、大型汎用・スーパーコンピュータからパーソナルコンピュータ・顔認証・・等々までIT技術を常にリードしてきた大企業であった。それが、自らのコンピュータネットワークシステムの中を縦横に荒らしまわるハッカーの跋扈を、数年間に及んで許してきたという。ここまで、この国の技術レベルは弱化してしまったのかと驚かざるを得ない。
 先にも、この日本電気と並ぶ、宇宙通信や軍事用電波機器に特に強い三菱電機が同じく中国系と思われるハッカー集団の自社システムの隅々まで跳梁を許していたという。日本電気は顔認証などの形状認識技術で、三菱電機は同社資本系列の三菱重工など防衛機器と連結した防衛システムを担当しているだけに、その機密保持能力はこの分野への必須の参入条件であった筈である。それこそ、「紺屋の白袴」と言うべきか?、お客に紺色の袴を作って売っているはずの専門染物屋が無色の袴で表を歩いているような無節操を感ずるのだが・・・
 もっとも、こういう事態を「紺屋の白袴」と表現すべきか否か? 「紺屋の白袴」とは、人の白い袴を紺色に染めるのが商売の紺屋が、仕事に忙しくて、自身は染めていない白い袴をはいていること。転じて、他人のことにばかり煩っていて、自分自身のことに手をかける暇がないということを言う。しかし、ここで上げた両社はそうではない。お客にちゃんと染めたとして売っている袴が本当は色落ちしてぶざまな褪色や染みなどその品質に信頼がおけないことを表していやしないか?
 30年前には、両社とも世界ランキングで50位以内にランクされていたと筆者は記憶しているが、「むかしの光今いずこ?」、このハッカー侵入事件はこの国の技術レベルの著しい低迷を象徴しているのである。
 こうなった原因は何処にあるのだろうか? アベノミクスといって自国通貨安政策を誘導してきた結果、価格競争で優位な輸出が技術で勝負しなくてもよい状況を作ってくれた。結果、国際競争に労せず勝てる環境は技術で勝負するより金融で得られる利益に投資して、技術革新から遠のいてしまった結果ではないか?
 ことは日本電気と三菱電機にとどまらない、この国の製造業の殆んどでこういう事態に陥っている。その結果が世界ランキング100社にトヨタ自動車一社しか入れない連戦連敗を現出したのではないだろうか? 政府の、石炭や原子力に拘泥している姿をみれば官民挙げての無策がよく見えてくる。