日々是好日日記

心にうつりゆくよしなしごとを<思う存分>書きつくればあやしうこそものぐるほしけれ

斜陽国家は、その国民までが斜陽化するのか?

2020年02月07日 07時39分00秒 | 政治
  「英東部のマンションで、英国の欧州連合(EU)離脱に伴い、英語以外の言語を使用しないよう求める張り紙が見つかり、住人の男性が警察に届け出た。英メディアが1日伝えた。英国では、EUの拡大に伴い移民が大量に流入したことなどに不満が高まり、EU離脱へと発展した」(2020/02/03共同通信)。
 イギリスの没落が始まったのは早くも第二次世界大戦中、ドイツからロンドンにさかんに無差別爆弾が寄せられる中、その軍備に国家の命運を掛けざるを得ずに疲弊し、その戦争が終わって見れば歴史は戦勝国に巨額の賠償金や領土が割譲される時代ではなくなっていて、パックスブリタニカがそのままパックスアメリカーナに取って替わられる時代に。多少の凸凹はあったかもしれないが、総じてこの80年ゆっくり地面に向かって落下していった英国史、それがついにEU離脱という自民族純化主義に至ったのだが、この先はなお一層の純化を求めて連合王国の解体に至るのではないかと危惧される。
 筆者らの少年時代、紳士と言えばお天気の日でもこうもり傘を片手に、縦じまのズボンに黒い鞄、ピカピカの靴にシルクハットの男の像であった。その紳士の国の紳士が経営する「マンション(集合住宅?)」の「英語以外の言語を使用しないよう求める張り紙」とは、そこまで紳士の国の紳士が堕ちましたか?と、このニュースには心から悲しくなる。
 しかし、足許を見ればこれは大英帝国の政府と「紳士たち」ばかりではない。トランプ氏を戴くアメリカもメキシコ国境に高い塀を建設中だ。「人種の坩堝(るつぼ)」と表現されてきたアメリカ合衆国は、その強さの源がまさにその坩堝の熱気だったのだがもはやその温度もすっかり下がってしまった。パックスアメリカーナはいまや中華の強風に煽られて文字通りに風前の灯と化している。それとあらぬか?、アメリカが採っている中国のコロナウィルスからの防衛政策はもうほとんど鎖国政策に近い完成度のものになっている。
 こうしていまや世界は、単一言語のみが通用するレベルの純化?された「国民」国家へとどんどん降下しているように見える。モンロー主義の跋扈する時代に入ってきたようだが、この先にあるものを歴史年表の中に探してみるとそこで見つかるのは「戦乱」のみである。
 他人事ではない、我ら日本人こそ、ここらでじっくりと明治以来の近現代史を学び直す時期に来たのではないだろうか。