忘れえぬ体験-原体験を教育に生かす

原体験を道徳教育にどのように生かしていくかを探求する。

乳幼児の原体験

2012年10月24日 | 原体験をめぐって
―母性の没頭と自我形成―
自我がまだ未形成な乳幼児の世界。メラニー・クラインのインスピレーションは母親と子のカオスの世界の共有と母親によるカオスの秩序化と理解される。
生後3~6ヶ月のこの期間では母の不在は存在の喪失の恐怖に見舞われることになる。たとえ一時的な家事等で乳幼児の目前から消えた程度のこととしても。
諸々の感覚現象は未完な自我がカオスの海に呑み込まれる恐怖となる。
こうして私達の乳幼児期に自我が生まれる。
古事記にクラゲなす漂える中に葦かびの如く萌え出る神、アシカビヒコジの大神とあるのがそれと思われる。
―対象喪失の原体験―
しかし、乳幼児期に母がそのそばを離れずにすむことはあり得ない。
この対象喪失が私達の対象喪失による悲哀や苦悩の原形となり、対象喪失への恐怖などからの逃避を原因とする心の苦痛となるのである。
この対象喪失は乳幼児における原体験として誰にでもあり得、私達の基底に横たわっているものである。