忘れえぬ体験-原体験を教育に生かす

原体験を道徳教育にどのように生かしていくかを探求する。

実践コミュニケーションをめぐって(4)「偏愛マップ」を用いて質問する

2011年12月29日 | 実践コミュニケーションの講義をめぐって
実践コミュニケーションの講義第二回目は、ペアを組んでの「偏愛マップ」による対話が中心であった。相手が何を愛し、何に関心をもっているかを意識し、そこから話を始めると対話が盛り上がり、深まる。実際の「偏愛マップ」が手元になくとも、相手の脳内「偏愛マップ」を推察しつつ話しをすれば、コミュニケーションは盛り上がる。

三回目の講義(実習)は、前回全員が書いた「偏愛マップ」を用いつつ、同時に「質問力」を高めるというテーマを加えた。以下は、学生に配布したプリントより抜粋したものである。

1)コミュニケーションを深める「質問力」(参考:斎藤孝『質問力 ちくま文庫(さ-28-1)』)
①「コミュニケーション」の秘訣は「質問力」にあり。
 (質問は網だ。しっかり作っておけば、いい魚がとれる。)
 ※聞き方がうまければ、自分に話題が乏しくても、相手の深い話を聞けたり、聴くことで相手をサポートできたり、有益な情報をもらえたりなど、コミュニケーションを深めることができる。

②相手の苦労や積み重ねてきたものを掘り起こすような質問は、対話が深まる。

③相手の奥底にあるような経験を引き出すような質問は、対話が深まる。

2)「偏愛マップ」によるワーク(斎藤孝『質問力』を参考にして改変)
《やり方》
①「偏愛マップ」を示しながら、「自分が愛するもの」について3分以内でスピーチできるようにメモを取る。(プリント中のシートを使用)
②3グループ(1グループ6~7人ほど)に分かれる。
③グループ内で順番に、自分の「偏愛マップ」を示しながら「自分が愛するもの」について3分以内でスピーチする。
④一人のスピーチが終わったら、他のメンバーがスピーチの内容に関して一つずつ質問していく。
⑤スピーチをした人は、それらの質問から、自分が答えたい、答えやすいと思った質問二つを選んで答える。そのあとなぜその二つを選んだかを説明する。
⑤ ③④⑤を全員が終わったあと、どんな質問が一番答えやすかったかを話し合う。また誰のスピーチがいちばんうまかったかを全員で話し合って決める。
 
《ねらい》
①「偏愛マップ」を用いることで、自己紹介のスピーチを、これまでと違った角度から工夫して行う。
②どんな質問が、会話をより深めたり、相手のより深い話を引き出したり、相手が本当に話したいことに沿うのかを確認する。(グループで確認しあうことが大切)
③どんなスピーチがよいスピーチかをみんなで確認する。


《「偏愛マップ」を用いたグループ・ワークの感想》
※感想は、記入されたものをすべて掲載した。
★今回グループをやってみて、みんなそれぞれ楽しいことや面白いことをアピールしていてとても楽しく出来ました。また、こういう機会を作ってしゃべってみるのも面白くていいかなぁと思います。自分の事も目いっぱいアピールできて良かったです。
★人に関心をもってもらえるのはうれしいことだと思った。だから質問の中から2つではなく全部に答えたかったです。偏愛マップについて話している人の顔の表情がいつもよりも明るくていいと思いました。相手の人を知ることは楽しい。
★偏愛マップの内容を聞いて質問とかすると、自分の好きな物(事)だから色々話をしてくれたし、表面的な好きな物だったのが、相手が答えてくれることで内面的な部分まで知る事が出来てよかったです。質問とかされて答えたりすると、みんなの反応がすごく楽しくて全部の事を話したくなりました。自分も相手もすごく笑顔で話してくれたのでやってよかったです。何回もやっていくうちにあまりしゃべらなかった人とも色々としゃべれたのでよかったです。最初は緊張したけど話していくうちに緊張がとけていってなんか色々と話したくなりました。またやりたいと思った。
★今回は前回と比べ、人数が多く楽しかったし、質問も色々な事を聞かれたりして、こたえるこちらも楽しかったです。
★今回は前回話を聞けなかった人の話も聞けてよかったです。質問する内容もみんな面白くて楽しかったです。3分ぐらいのスピーチだけでもたくさんの質問が出ておどろいた。みんなで話をひろげていくのが難しかったけど楽しかったです。
★みんな一人ひとりに好きなものがあって普段一緒にいるだけではわからないことが分かったので良かったです。また、このような機会があったらまたみんなで語りあいたいです。とても楽しかったです。
★たくさんの人に自分の好きなことを話すのはたのしいことなんだと気づいた。質問されることによってさらにそのことについてもっと話せることが嬉しかった。人を知るってことはいいことだなぁと思った。会話も盛り上がった。すごく楽しかったです。
★質問することによってなぜ好きかなど知れた。ほとんど話さないので、こういう機会で話すのは良いと思った。(意外とまじめに質問したり、答えたりしていた)少しお互いに気をつかっているところもあったけど、会話ができていたのでよかった。
★みんなそれぞれ好きなもの・ことがバラバラで楽しかった。自分の偏愛マップについて色々と質問してくれて嬉しかった。私はアイドルが好きですが、同じように芸人さんや歌手を溺愛している人とは、共感し合えるところがたくさんあって楽しかった。自分は他人の好きなものの話を聞くのが好きだということが分かった。
★せかされたりしてあまり良いコミュニケーションがとれなかったので少しつらかったです。
★自分の好きな物について話すと、質問されることも好きな物についてなので応えやすい。人は、自分の好きな物について他人に聞いてもらうことは喜びで、それらをさらに追求されることはあまり嫌ではないと思う。誰かと初めて会った時とか(バイトや学校で)私はまず何が好きですか?と聞いています。好きな事について話したり共感してもらうことは誰でもうれしいと思うので、これからのコミュニケーションに役立つのではないかと思います。あとはもっと自分の好きな物、事を充実させたいと思いました。
★意外とみんなこうして話し合っていると、たくさん共感できたり、その人の知りたいことに突っ込んで答えてくれるからさらに深くその人のことが知れるようになっているし、その仕組みがすごいと思った。
★自分の好きなことについて聞かれると嬉しくなるし、どんどん教えたくなりました。改めて質問されると、考えたことのなかった発想も浮かんで楽しかったです。
★1人1回の質問ができるので、必ず気になっていることや理由が聞けて良かった。好きなことを理解してもらえること聞けてよかった。話を広げるのが難しかった。
★まず、せっかく質問してくれたのに全てに答えられなくて申しわけなかった。正直、全てに答えたかった。グループで話し合って、お互いに好きなものが詳しくわかったので良かった。共感できるものがある人もいたし、たとえ共感できなくても、その人が自分の好きな事を話しているのを聞くのは楽しかったし、話に入り込めた気がした。自分の好きな物とか事だからお互いに楽しかったように思った。このグループでもっと好きな事について話をしたかった。