忘れえぬ体験-原体験を教育に生かす

原体験を道徳教育にどのように生かしていくかを探求する。

実践コミュニケーションをめぐって(1)

2011年12月03日 | 実践コミュニケーションの講義をめぐって
私、Noboruは、東京都内のある短大で今年の9月より半期15回にわたって、実践コミュニケーションという講義を持つことになった。講義といってもコミュニケーションをめぐる実習が中心であり、参加学生は20名弱である。

この講義(実習)は、このブログの中心テーマである、いわゆる「原体験」とは直接つながるものではないが、15回のうち後半の3回ほどで、ある程度つながりのある実習を行っている。それで、その前の実習と関連させながらこのブログで報告することにも意味があると思われる。

学生に向けたシラバスに書いた学習目標および内容は次の通りである。

『人は、人や社会とのかかわりの中で成長し、大人となっていきます。
かかわりの手段は、聴き、話し、書き、読むというコミュニケーションです。
自分自身の日常のコミュニケーションのあり方を、教室で演習によって振り返り、
参加者同士で反省し合うと、ふだんは見えなかった問題点が見えてきます。
問題点に気づくとこれまで以上に豊かで深いコミュニケーションが可能になります。
クラスへの参加者が相互に学び、教え合って成長していくのを援助・促進する、
それが「実践コミュニケーション」の目標です。』

現時点ですでに15回中、11回の講義を終えている。これまでの講義(実習)内容をかんたんに示すと、以下の通りである。

第1回:導入‥‥「なりきり」自己紹介→相手の立場にたって聴く、話す。聴きながらメモする。

第2回:聴く技術(1)‥‥「偏愛マップ」での対話→相手が愛し関心をもつことで話すと対話が深まる。日常でも相手の脳内「偏愛マップ」を探り想像しつつ話す。

第3回:聴く技術(2)‥‥「偏愛マップ」でグループ→相手の背景にある経験を引き出す質問で対話が深まる。

第4回:聴く技術(3)‥‥内容のない雑談が、人との距離を縮めて人間関係の幅を広げる。「元気マップ」を用いて深い「傾聴」の仕方を学ぶ。受容と支持。

第5回:自己理解と話す・聴く(1)‥‥「元気マップ」に小さな悩みを付け加えて話す。深い「傾聴」→相手の気持ちに沿って、気持ちや思いを引き出す質問をする。

第6回:自己理解と話す・聴く(2)‥‥ペアで「喜怒哀楽+気」を用いて交代で自分を語る。聞き手はメモを取りつつ「確認」、グループで確認した内容を語り、それについて本人が「質問」を受ける。

第7回:自己理解と話す・聴く(3)‥‥三人で組んで深い「傾聴」の練習を行い、一人が観察者としてチェックをする。

第8回:伝える技術(1)‥‥相手の長所を理解し、それを的確に伝えるグループワーク

第9回:伝える技術(2)‥‥感動した作品についてグループの中で伝えあうワーク。

第10回:伝える技術(3)‥‥感動した作品について全体の前で一人ひとりがスピーチする。

第11回:伝える技術(4)‥‥「人生に何があったかを振り返るシート」を作成し、これまでで自分にとってもっとも重要だった体験を探る。ペアを組んで話す人、聴く人を役割交代しつつ、自己探求と傾聴を行う。

(現時点での実施はここまで)

第12回:伝える技術(5)‥‥作成した「人生に何があったかを振り返るシート」に基づいて、自分にとってもっとも重要だった体験を文章にまとめる。ペアを組んで、その体験について再度、話し、聴く。

第13回:伝える技術(6)‥‥もっとも重要だった体験について書いた原稿をスピーチ用に練り直し、一人ひとりがスピーチを行う。

第14回:グループにおける話す・聴く

第15回:まとめ

ということで最近行った第11回と、次の二回(第12回と13回)が、自分にとってもっとも重要だった体験について探求し、発表するということで「原体験」の問題につながりがある。

この講義(実習)全体は、実社会やビジネス面でのコミュニケーション力を養成するというより、人間的な意味でのより深いコミュニケーションをし合い、それを相互の成長につなげてくということを狙いとしている。それゆえ、お互いの原体験に触れ、そのような深い体験を共感的に理解しあえるということは、この「実践コミュニケーション」という講座の中でもかなり重要な意味をもってくるのだ。

私としては、初回から段階を踏んでそのような深いコミュニケーションにまで進んでもらいたいという願いをもってこの講義(実習)に取り組んできた。これは私にとっても初めての試みだったので必ずしも私の狙い通りに学生たちが実践し、理解を深めているとは言えない。そのあたりを、私自身の反省も含めて、実際に行ったことや学生の反応を正直に語りながら、初回から紹介していきたい。