蜘蛛網飛行日誌

夢中説夢。夢の中で夢を説く。夢が空で空が現実ならばただ現実の中で現実を語っているだけ。

残月影徘徊

2005年03月21日 07時14分16秒 | 彷徉
福岡で地震があった。震度6弱というから、これは大きい。佐賀県唐津にはむかしむかし仕事でいったことがある。仕事でいったので名所旧跡を見物して回るひまは無かった。まあ。落ち着いた静かな町といった印象しかない。博多にも何度かいった。こちらは仕事もあったけれど、純粋に娯楽でいったこともある。夜の中洲などよい思い出だ。
一概に感じるのは、地方都市の夜の繁華街はなんとなくノスタルジックだということ。路地から路地へと永久に迷いつづけたくなるようなあの雰囲気には引かれるものがある。つまりどういうことかというと、一歩先、十メートル先、いや百メートル先を越えてその向こうには自分のまったく知らないロケーションが広がっていることに対する、不安そして期待。これは普段行動している圏内ではまず体験できない心的状況といえる。あの交差点の先にあるコンビニが何の謎もなくわたしの意識に広がるような、四方八方からのあらゆる視界が倦怠感とともに目の前に立ち現れるような、そんなところではあの昂揚感を味わうことはむずかしい。
飲み屋街の路地を抜け、国道を横断すると、そこには荒涼としたロンバルディアの平野が開けている。そんな世界を探しにわたしは夜の街に出かけて行く