「ミュージカル李香蘭」

東京行きの目的は
自由劇場での「ミュージカル李香蘭」を観る事でした。

２年前に劇団四季での「李香蘭」を初めて観ましたが
素晴らしいミュージカルで、大変感動しました。
浅利慶太氏が四季を離れ、もう「李香蘭」は
観ることができないのかな…と思っていたので
今回上演を知り、絶対に行く！と決めていました。
四季の時との違いは、海軍の場面くらいしか
私にはわからないのですが…
李香蘭は野村玲子さん。
前回も野村李香蘭でした。
声が…と言われますが、存在感はさすがです。
日劇のショーの李香蘭の場面は、華やかで、
“何日君再来”“蘇州夜曲”“夜来香”聞き入りました
川島芳子は坂本里咲さん。
前回の樋口麻美さんの川島芳子が印象的で
最初少し違和感が…坂本さんの芳子は優しいというか…
ベルでしか拝見していないので、そう思ったのかも…
李愛蓮は秋夢乃さん。
前回も秋さんだったと思います。芳子役も似合いそう。

李香蘭こと山口淑子と川島芳子の“ふたりのよしこ”
時代の流れに飲み込まれ数奇な運命を辿り
日中戦争後、漢奸罪（中国人として祖国を裏切った罪）
に問われるふたり…
李香蘭こと淑子は日本人と証明され、ふたりの運命は
明暗を分けます。
このストーリー展開に、歴史の事実が織り込まれ…
自由劇場は舞台との距離が近いせいか、
俳優さんの熱演が伝わり、ぐいぐいと引き込まれます。

“海ゆかば”の場面では実際の出征兵士の方の
書き遺した言葉学校から語られ、映像も流れます。
今年は戦後70周年であることや、
先日の広島での原爆ドーム見学を思いだし、
涙が止まりませんでした…

実は最初から涙は…
上海の裁判所で漢奸罪に問われた李香蘭が
「私は中国を愛し、日本を愛し、
二つの国が親しく結ばれることを願いました」
とのいう台詞がありますが…
１年前、山口淑子さんが亡くなられた時に
テレビで特集があり、日中の国交が回復した時の様子が
伝えられていました…
彼女はワイドショーの司会者として、番組に出演中の事
だったそうです。調印式の中継中、それを見つめながら
溢れる涙を拭う山口淑子さんの姿が印象的でした。
その姿を思いだし、またその生涯を思い…

歴史を知ることは大事なことだと思います。
過去を引きずるのではなく、そこから学び
どうしたらより良い道が開けるのかを考えるために…
「ミュージカル李香蘭」はこれからもずっと
上演し続けてほしい作品です。
私は昭和三部作の他の作品は観ていないので
機会があれば、再演を期待しています。