曲がりなりにも十数年ベースを弾いているので、それなりにベースという楽器に関して哲学めいた所懐の一つや二つはある。
先日、ロックをやる知人に「どうも音に自信がないんですが、ピッキングのやり方はこんな感じでいいんですか?」と尋ねられた。
見るとちゃんと弾いていたのだが、僕は「それじゃ駄目だ」と答えた。
そもそもベースの弾き方に正解なんてない。(おそらく、それはベースに限った事ではない。)
そういうピッキングをすれば、そういう音が出るだけなのである。
(良い楽器ほどその辺は素直だ。これは持論だが、未熟なプレイヤーは出来るだけ良い楽器を持たないほうがよい。下手が目立つ。その楽器では自分を表現しきれなくなったときに初めてワンランク上の楽器を手にすればいい。)
では、正解がないなら間違いもないんじゃないかと思う人もいるかもしれないが、これがまたそういうわけでもない。
音楽、特にロックという音楽は自己主張だ。
自信のない自己主張など何の意味もない上に、何よりカッコ悪い。
ことロックに関しては、「カッコよさ」だけが唯一それを計るパラメーターになる。(上手い!より、カッコイイ!のほうがロック的には素晴らしいってこと。ちなみに「上手い」には上手いけどカッコよくないというニュアンスを含む場合もあるから注意が必要)
だから、いくら正解がないとは言え、やはり迷いながらオドオド弾くことは間違いなのである。
自信がないなら、自身が身に付くまで、「コレでいいのだ!」と思えるまで練習すればいい。
真剣に音楽をやってる人は皆それをやってるし、そのためにリハーサルスタジオがある。
その意味でも、スタジオはステージに立つための予行演習の場なのだ。
(念のために言っておくけど、自信を持って弾けば正解ってことではないので、根拠のよく分からない自信だけで「ロックだぜ~」って音楽をやってる人は勘違いしないように。)
自己探求に終わりがないのと等しく、正しい音などない(そして、真摯にそれを追い求めることには何か意味があるのではないか)ってこと。