―ニーチェは世の中の、とりわけそれをよくするための、役に立たない―
それってニーチェに限らず、俗に哲学的と称されるもの全般に言えることではないのか?
不毛だからこそ好いのではないか?
まだ学生だったある年の年末、帰省で愛媛に降り立った僕は空港から3時間かけて歩いて家まで帰った。
「Uクンは暇人だね、羨ましいわ~」
と年上の従兄弟が嘲笑まじりに言った。
つれづれに歩くといろんなことを考える。
一歩一歩頭が整理され、ルービックキューブのブロックが回転するように組み合わせが変わり、新しい思索と喜びが生まれる。
そういう思索は、ほとんど全て“とりわけ世の中をよくするための、役に立たない”。
そもそも別に僕は自分の思索を何かの役立てようと思うわけでも、ましてや世の中をよくするといった使命を帯びているわけでもない。
だから、そのことを嘲笑われる筋合いもなければ、逆にそれを責めたてる道理もない。
僕も彼もお互い好きなように生きているのだ。
その一件以来、僕と彼は真っ向から魂をぶつけ合うようなコミュニケーションを取らなくなった。
彼の胸の内は知らないが、僕は彼が言い放ったたったの一言で彼に対しての興味の大半をなくしてしまったのだった。
とかく、僕は不毛と不要を同一視する人とはウマが合わない性質のようだ。
僕はただ滑らかな曲線を描きたいのだ。
それってニーチェに限らず、俗に哲学的と称されるもの全般に言えることではないのか?
不毛だからこそ好いのではないか?
まだ学生だったある年の年末、帰省で愛媛に降り立った僕は空港から3時間かけて歩いて家まで帰った。
「Uクンは暇人だね、羨ましいわ~」
と年上の従兄弟が嘲笑まじりに言った。
つれづれに歩くといろんなことを考える。
一歩一歩頭が整理され、ルービックキューブのブロックが回転するように組み合わせが変わり、新しい思索と喜びが生まれる。
そういう思索は、ほとんど全て“とりわけ世の中をよくするための、役に立たない”。
そもそも別に僕は自分の思索を何かの役立てようと思うわけでも、ましてや世の中をよくするといった使命を帯びているわけでもない。
だから、そのことを嘲笑われる筋合いもなければ、逆にそれを責めたてる道理もない。
僕も彼もお互い好きなように生きているのだ。
その一件以来、僕と彼は真っ向から魂をぶつけ合うようなコミュニケーションを取らなくなった。
彼の胸の内は知らないが、僕は彼が言い放ったたったの一言で彼に対しての興味の大半をなくしてしまったのだった。
とかく、僕は不毛と不要を同一視する人とはウマが合わない性質のようだ。
僕はただ滑らかな曲線を描きたいのだ。