富田元治のブログ

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『犯人はそこにいる』清水 潔・著 新潮文庫。

2020年11月22日 | #あ~人生

清水潔・著 『殺人犯はそこにいる』新潮文庫。

 ―隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件― 新潮社

冤罪事件の【足利事件】です。ノンフィクションです。

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教団X  (集英社文庫) 中村文則・著 を買おうと本屋さんに立寄りました。

目に付いたのは、教団Xではなく、文庫Xでした。

教団Xのことは、脳裏から消え去りました。(笑い)

画像は、サイトから無断借用です。

 

 

文庫X。(画像はサイトから無断借用です)

文庫Xは、話題になったそうです。知りませんでした。

遅ればせながら、読んでみました。

 

 

 どうしても読んで欲しい810円(税込)がここにある。

これまでのあなたの人生には存在しなかった”衝撃” と ”感動”をお届けします。

これが文庫Xです。(画像はサイトから無断拝借です)。

 

 

この本はタイトルも著者名も隠して販売しています。

文庫X。(画像はサイトから無断借用です)

 

文庫Xのカバー表紙。(画像はサイトから無断借用です)。

文庫Xは、【殺人犯はそこにいる】 清水 潔・著 (新潮文庫)でした。

 

 

栃木県警・管内の幼児殺害事件。

1979年8月3日     栃木県足利市 福島万弥ちゃん(5才) 殺害事件

1984年11月17日   栃木県足利市(パチンコ店から誘拐)  長谷部有美ちゃん(5才) 殺害事件

1990年5月12日    栃木県足利市(パチンコ店から誘拐)  松田朋美ちゃん(4才) 殺害事件

 

1991年12月1日 栃木県警が、菅家利和(すがや としかず)さんを松田朋美ちゃん殺害容疑で逮捕しました。 

(菅家さんの自供と科警研のDNA型鑑定が証拠でした)

1991年12月22日 菅家さんが、福島万弥ちゃん、長谷部有ちゃん殺害も自供しました。

 

足利市の3件の幼児殺害事件を、菅家さんが自供したのです。

3件の幼児殺害事件は解決した、と栃木県民も被害者家族も思いました。

全国民も、足利幼児殺害事件は3件とも解決したと思い込みました。

 

ところが、真相は、

松田朋美ちゃん事件は起訴されましたが、他の2事件は証拠不十分で不起訴でした。

そして、松田朋美ちゃん事件も17年半後に冤罪と分かりました。

強要された自供と、あやふやな初期のDNA型鑑定で無期懲役が言い渡されたのです。

 

殺人犯はそこにいる。

冤罪事件の【足利事件】です。ノンフィクションです。

強要された自供と、1990年当時の初期のDNA型鑑定で、

無期懲役刑になった菅家利和さんの冤罪事件のノンフィクションです。

 

菅家さんは、DNA型鑑定で有罪となり、DNA再鑑定で無実となりました。

事件当時、DNA鑑定は正しい、絶対である。これが日本人の神話でした。

 

日本人のDNA鑑定神話で、菅谷さんは無期懲役刑を受けました。

菅家さんが、DNAの再鑑定を申請しても、裁判所は認めませんでした。

菅家さんはDNAの再鑑定が認められず、17年半も獄中生活でした。

 

同じ頃、アメリカではDNA鑑定で無罪があきらかになり、釈放されているのです。

アメリカでは、受刑者が望めばDNA鑑定の再鑑定をしなければならないとの法律もあります。

 

そんな中、申請したDNA再鑑定がやっと認められました。

事件当時(1990年)の初期のDNA鑑定に疑問を感じていた裁判官の判断でした。

 

勇気ある裁判官の判断で、2009年1月に、DNA型再鑑定が開始されました。

2009年5月8日、DNA型再鑑定の結果が、裁判所から発表されました。

【殺害犯と菅家さんのDNAは一致せず】 の発表でした。

 

菅家さんは、1991年12月1日に逮捕され、2009年5月8日にDNA再鑑定で無実となりました。

2009年6月4日に、菅家さんは釈放されました。

17年半後の釈放でした。 見に覚えの無い罪で17年半も自由が奪われたのです。

 

※ 同事件における初期のDNA型鑑定は、現段階において証拠能力を認めることができない。

(菅家さん釈放の理由です)

 

当時の科学警察研究所(科警研)の初期のDNA鑑定がいかにお粗末だったかです。

菅家さんは、2009年6月4日に釈放されました。17年半の獄中生活でした。

この本は、DNA再鑑定までのドキュメントです。

そして、真犯人にまでたどり着きます。超おすすめです。

 

【殺人犯は そこにいる】 清水 潔・著 (新潮文庫)です。

 

 

単行本についているカバーをスキャン。(下の画像2枚)

 

 

 

【殺人犯はそこにいる】 清水 潔・著 (新潮社) 単行本のカバーをスキャン。

 

 

足利事件の真犯人は・・・・・・。

徹底した取材によって、ついに【足利事件の真犯人】を炙(あぶ)り出したのです。

真犯人のDNAが、ルパンと一致したのです。

 

ルパンとは、松田真美ちゃん(4才)をパチンコ店から誘拐した真犯人です。

誘拐犯を目撃した人が、【誘拐犯は漫画のルパンに似ていた】と、証言したそうです。

しかし、真犯人・ルパンの逮捕には 繋がりません。

DNAが一致した真犯人・ルパンを、なぜ逮捕できないのでしょうか~?

 

栃木県の足利事件と同じ頃、群馬県警でも同じような幼児殺害事件が起こっています。

半径10キロ圏内で、同じような幼児殺害事件が起こっているのです。

1987年9月   群馬県尾島町 大沢朋子ちゃん(8才) 殺害事件、

1996年7月7日  群馬県太田市 横山ゆかりちゃん(4才) 行方不明事件、

の2件です。

 

菅家さんが逮捕(1991年逮捕)された後の1996年7月7日に、

同じような幼児誘拐事件が群馬県のパチンコ店で起こっています。

栃木県、群馬県の両県警が協力していれば、

1996年7月の横山ゆかりちゃん誘拐事件は起こらなかったかも知れません。

 

栃木県警と群馬県警。

県警同士の縄張り問題で、協力体制が組めないのです。

警察小説を読むとよく分かります。各県警の縄張り問題が。

 

足利事件は、菅家さん釈放(2009年6月4日)後の2011年に国会でも取り上げられました。

そして、

足利市の幼児殺害事件(3件)と、群馬県の幼児事件(2件)は、同一犯による犯行と否定できない。

と、国家公安委員長と菅総理が、2011年3月10日に国会で答弁しています。

5件の幼児殺害事件の再捜査が、菅総理の指示で、やっと始まると思われました。

ところが・・・・・・。

 

2011年3月11日の東北大地震の発生でした。

その後、政権も代わり、2県にまたがる5件の幼児殺害事件は、蚊帳の外になったようです。

 

著者(清水 潔氏)は、取材を続け、足利事件の真犯人に迫っていきます。

容疑者を取材します。そして、容疑者のDNAが一致したのです。

真犯人・ルパンがいたのです。

が、・・・真犯人・ルパンを逮捕できません。

 

著者・清水潔氏が依頼したDNA鑑定はルパンと一致したのです。

しかし、警察から被害者家族への報告は、

「鑑定の結果、DNAが一致しません。ルパンは犯人ではありません」 との電話連絡でした。

 

DNA鑑定を科警研が行っています。科警研のDNA鑑定です。

なぜだろう~??  なぜ、ルパンを逮捕できないのだろう~?

答えは・・・・・・・・・。

著書によれば、【飯塚事件】が絡んでいるからだそうです。

 

菅家さんを逮捕した初期のDNA鑑定は間違っていました。

科警研は、いろいろと言い訳をしているようですが・・・・・。

事件当時の科警研の初期DNA鑑定は、間違っていたのです。

当時の科学の限界を潔く認めるべきです。しかし、科警研は認めません。

認めたら、大変な事になるのです。 

 

初期のDNA鑑定を証拠にした事件が他にもあるのですから。

 福岡県の【飯塚事件】です。 ←クリック。

飯塚事件の犯人逮捕も科警研の初期のDNA鑑定でした。

菅家さん逮捕の初期DNA鑑定と全く同じ方法で、同じ人が行っています。

事件当時、DNA鑑定は正しい、絶対である。日本人のDNA神話でした。

 

菅家さんが逮捕された初期のDNA鑑定は間違いでした。

【飯塚事件】の初期のDNA鑑定も再鑑定をするべきです。

 

しかし、【飯塚事件】の犯人とされた久間(くま)死刑囚は、処刑(死刑)されています。

足利事件のDNA再鑑定が動き出す数ヶ月前に処刑されました。

足利事件は2009年1月にDNA型再鑑定が開始されました。

飯塚事件の久間(くま)死刑囚は、2008年10月に処刑されました。

 

 

著書の中では、DNA鑑定以外の目撃情報なども再審査の必要があると書いてあります。

飯塚事件は、DNAの他にも証拠が数点あります。

DNA鑑定はあやふやだったかも知れませんが、他の証拠は犯人を特定しているようです。

それより、被害者の膣内に残っていた真犯人の血液が微量すぎて残っていないようです。??

これでは、DNAの再鑑定が出来ないのかも~??

 

 

【下は新聞記事から】

久間元死刑囚は1994年の逮捕時から一貫して否認していたが、2006年9月に死刑判決が確定。

再審請求を準備していた2008年10月に死刑執行された。

2009年10月に妻が再審請求したが、福岡地裁は2014年3月に請求を棄却し、

弁護団が即時抗告した。

 

飯塚事件再審抗告審 (毎日新聞・2017年5月18日 21時34分)。

福岡県飯塚市で1992年、女児2人が殺害された「飯塚事件」で死刑を執行された

久間三千年(くまみちとし)・元死刑囚(当時70歳)の再審請求即時抗告審の3者協議が18日、

福岡高裁(岡田信裁判長)であり、実質的な審理を終えた。

 

協議後に記者会見した弁護団によると、

高裁は再審の可否を決定する時期については示さなかった。 

即時抗告審で、弁護側は被害女児の体内などから見つかった血液のDNA型鑑定で

久間元死刑囚のDNA型は検出されておらず、

この血液の血液型鑑定の手法も誤っているなどと主張しました。

飯塚事件再審抗告審 (毎日新聞 2017年5月18日 21時34分)。

 

【殺人犯は そこにいる】 清水 潔・著 (新潮文庫)。

超お勧めの本です。

飯塚事件・判決文 ←クリック。

 福岡県の【飯塚事件】です。 ←クリック。

 

 

 

 

 


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