少数派シリーズ 特設|桜を見る会(桜疑惑)VOL.24
サントリーの桜前夜祭へ酒無償提供は安倍首相が酒税改定先送りをした見返り<赤旗スクープ②>
■大打撃になる第三のビール増税にサントリー新浪社長が安倍首相と阻止会合重ねる
今号も、安部首相(当時)の「桜を見る会・前夜祭」に、サントリーが大量の酒を4年連続で無償提供していた<赤旗スクープ②>をお伝えする。投稿者が赤旗を始め、他紙などを含めてまとめた文章だ。分かっているだけでも2016~19年の4年間(データは17年から)、高級ホテルで開催された桜前夜祭の宴席にサントリーが大量の酒を無償提供していた(上記の表)。前号のおさらいをすると、ホテル費用にかねてから安倍氏側の違法な補填があったことが分かっている。さらに加えて、酒の無償提供は違法な企業献金にあたる。ところで酒の種類・本数まで詳しく判明されたのは、しんぶん赤旗編集部が東京地検に事件記録の閲覧を請求したからだ。開示された安倍氏秘書やホテル従業員らの供述調書を閲覧した。そこで重要な役割を示したのが、ホテル職員が作成した「宴会ファイル」だ。サントリーが持ち込んだ酒の内容が明記されていた。表の各左側が安倍事務所が補てんした額、右側が今回判明したサントリーの無償提供分だ。なお開催ホテルは16年ANNホテル、17-19年はホテルニューオータニ。
安倍氏側の秘書は、「酒の提供を受けることは違反と認識していた」と発言した。しかし毎年15万円程度の提供額だが、「少しでも事務所の補てん額を減らすため」とも言っている。問題は金額の多寡ではなく、これも当然ながら「利益供与」にあたる。笑ってしまうのは19年の記録には、「〇〇様(※個人名)より前日持ち込み」のメモと電話番号が付記されていた。赤旗編集部が電話すると、サントリー秘書部が出たそうだ。赤旗のスクープは素晴らしく、大反響を呼んでいる。安倍氏とサントリーHD(ホールディングス)新浪剛志(にいなみ・たけし)社長は懇意な間柄で、度々会合を重ねていたことも報じている。一方で、だらしないのが大手新聞社やNHK・民放局だ。「赤旗砲」にスッパ抜かれ、新聞各社やTV局が赤旗の“後追い掲載”したのは情けない。しかし投稿者が調べてみると、どうやら新聞社や放送局も東京地検の「宴会ファイル」資料を入手していたとみられる。それを握りつぶし報道しなかったのは、政権への忖度以外に何物もない。これほどまでにメディアが劣化しているとは。猛省すべきだ。
■自民党税調・野田毅会長をクビにしてまでサントリーに加担した安倍首相
さてここからが、第2の本題だ。なぜサントリーが桜前夜祭へ酒の差し入れをした理由が分かる。酒の提供を始める2年前、2014年から自民党・公明党間でビール・発泡酒・第三のビールの税率を一本化する酒税見直しが検討されていた。現時点から先に結論を言うと、ビール類の税率一本化先送り決定 → その後、サントリーによる桜前夜祭への酒の無償提供が始まったのだ。時を前に戻し税率一本化が実現すれば、第三のビールの販売比率が高いサントリーが経営的に打撃になる。そこでサントリー新浪社長が安倍氏と密接な関係にあることから、先送りの画策をしていた。結果、サントリーの酒提供は、そのごく一部の御礼でもあったとみられる。次項にて、その経緯と詳細をお伝えする。
自民党と公明党の2015年度の「税制改正大綱」(14年)には、酒税について「税率格差を縮小・解消する方向で見直しを行うこととし、速やかに結論を得る」と明記されている。ビールを減税する一方で、発泡酒と第三のビールを増税し、将来的なビール類の酒税の一本化を検討していた。これらのビール類の酒税見直しは、自民党税制調査会の野田毅会長(当時)が主導してきた。酒税法は、原料や製造方法などで酒を4種類に区分、品目ごとに異なる税率を定めている。麦芽が原料の3分の2以上あるものをビール、それ未満なら発泡酒に分類。麦芽以外の原料や、発泡酒に別のアルコールを混ぜたものは第三のビールと呼ばれる。当時のビール類の税額は、350ml換算でビール77円、発泡酒47円、第三のビール28円(20年9月まで)。当時、アサヒビールやサッポロビールは出荷量の約6割がビール。キリンビールやサントリーは発泡酒や第三のビールの比率が高く、発泡酒や第三のビールが増税になれば、販売が落ちるとメディアも指摘していた。当然、サントリーは大打撃を予想、一本化の見送りの背景にサントリーの画策があった。
野田会長の実現化への取りまとめも虚しく、15年度、16年度の2度に渡り一本化は見送られた。ビールメーカーにとって、酒税の見直しは経営の根幹に関わる大問題。当のビール類業界でも、一本化見送りの背景にサントリーの画策があったと見ていた。現に日経新聞は、16年に「ビール比率が他社より高いサントリーにとって、先送りは有利。政府の経済財政諮問会議の民間議員を務める新浪社長が動いたとの噂が、まことしやかに広がった」と報じた。新浪社長は安倍政権下14年9月に同議員に就任。15年10月13日、一本化を進めてきた野田会長は気の毒にも、安倍氏に、事実上、更迭された。こともあろうに安倍氏は、その夜に都内の高級ホテルでサントリーHD鳥井信吾副会長・新浪社長、酒税を担当していた麻生財務相と会合。その後の12月、自民党・公明党の16年税制改正大綱を決定し、ビール類の一本化はまたまた先送りされた(経緯の表は次号掲載)。癒着を深める安倍=新浪態勢は、桜前夜祭疑惑が起こる数年前から自民党方針とは180度異なる「発泡酒・第三のビールの増税阻止」の動きを水面下で行っていたのだ。<次号に続く>
桜を見る会特集
次号/25・第三のビール増税先送りと桜疑惑から見えてくる安倍首相・サントリーの癒着<赤旗スクープ③>
前号/23・安倍首相の「桜前夜祭」にサントリーが大量の酒を4年連続で無償提供<赤旗スクープ①>
サントリーの桜前夜祭へ酒無償提供は安倍首相が酒税改定先送りをした見返り<赤旗スクープ②>
■大打撃になる第三のビール増税にサントリー新浪社長が安倍首相と阻止会合重ねる
今号も、安部首相(当時)の「桜を見る会・前夜祭」に、サントリーが大量の酒を4年連続で無償提供していた<赤旗スクープ②>をお伝えする。投稿者が赤旗を始め、他紙などを含めてまとめた文章だ。分かっているだけでも2016~19年の4年間(データは17年から)、高級ホテルで開催された桜前夜祭の宴席にサントリーが大量の酒を無償提供していた(上記の表)。前号のおさらいをすると、ホテル費用にかねてから安倍氏側の違法な補填があったことが分かっている。さらに加えて、酒の無償提供は違法な企業献金にあたる。ところで酒の種類・本数まで詳しく判明されたのは、しんぶん赤旗編集部が東京地検に事件記録の閲覧を請求したからだ。開示された安倍氏秘書やホテル従業員らの供述調書を閲覧した。そこで重要な役割を示したのが、ホテル職員が作成した「宴会ファイル」だ。サントリーが持ち込んだ酒の内容が明記されていた。表の各左側が安倍事務所が補てんした額、右側が今回判明したサントリーの無償提供分だ。なお開催ホテルは16年ANNホテル、17-19年はホテルニューオータニ。
安倍氏側の秘書は、「酒の提供を受けることは違反と認識していた」と発言した。しかし毎年15万円程度の提供額だが、「少しでも事務所の補てん額を減らすため」とも言っている。問題は金額の多寡ではなく、これも当然ながら「利益供与」にあたる。笑ってしまうのは19年の記録には、「〇〇様(※個人名)より前日持ち込み」のメモと電話番号が付記されていた。赤旗編集部が電話すると、サントリー秘書部が出たそうだ。赤旗のスクープは素晴らしく、大反響を呼んでいる。安倍氏とサントリーHD(ホールディングス)新浪剛志(にいなみ・たけし)社長は懇意な間柄で、度々会合を重ねていたことも報じている。一方で、だらしないのが大手新聞社やNHK・民放局だ。「赤旗砲」にスッパ抜かれ、新聞各社やTV局が赤旗の“後追い掲載”したのは情けない。しかし投稿者が調べてみると、どうやら新聞社や放送局も東京地検の「宴会ファイル」資料を入手していたとみられる。それを握りつぶし報道しなかったのは、政権への忖度以外に何物もない。これほどまでにメディアが劣化しているとは。猛省すべきだ。
■自民党税調・野田毅会長をクビにしてまでサントリーに加担した安倍首相
さてここからが、第2の本題だ。なぜサントリーが桜前夜祭へ酒の差し入れをした理由が分かる。酒の提供を始める2年前、2014年から自民党・公明党間でビール・発泡酒・第三のビールの税率を一本化する酒税見直しが検討されていた。現時点から先に結論を言うと、ビール類の税率一本化先送り決定 → その後、サントリーによる桜前夜祭への酒の無償提供が始まったのだ。時を前に戻し税率一本化が実現すれば、第三のビールの販売比率が高いサントリーが経営的に打撃になる。そこでサントリー新浪社長が安倍氏と密接な関係にあることから、先送りの画策をしていた。結果、サントリーの酒提供は、そのごく一部の御礼でもあったとみられる。次項にて、その経緯と詳細をお伝えする。
自民党と公明党の2015年度の「税制改正大綱」(14年)には、酒税について「税率格差を縮小・解消する方向で見直しを行うこととし、速やかに結論を得る」と明記されている。ビールを減税する一方で、発泡酒と第三のビールを増税し、将来的なビール類の酒税の一本化を検討していた。これらのビール類の酒税見直しは、自民党税制調査会の野田毅会長(当時)が主導してきた。酒税法は、原料や製造方法などで酒を4種類に区分、品目ごとに異なる税率を定めている。麦芽が原料の3分の2以上あるものをビール、それ未満なら発泡酒に分類。麦芽以外の原料や、発泡酒に別のアルコールを混ぜたものは第三のビールと呼ばれる。当時のビール類の税額は、350ml換算でビール77円、発泡酒47円、第三のビール28円(20年9月まで)。当時、アサヒビールやサッポロビールは出荷量の約6割がビール。キリンビールやサントリーは発泡酒や第三のビールの比率が高く、発泡酒や第三のビールが増税になれば、販売が落ちるとメディアも指摘していた。当然、サントリーは大打撃を予想、一本化の見送りの背景にサントリーの画策があった。
野田会長の実現化への取りまとめも虚しく、15年度、16年度の2度に渡り一本化は見送られた。ビールメーカーにとって、酒税の見直しは経営の根幹に関わる大問題。当のビール類業界でも、一本化見送りの背景にサントリーの画策があったと見ていた。現に日経新聞は、16年に「ビール比率が他社より高いサントリーにとって、先送りは有利。政府の経済財政諮問会議の民間議員を務める新浪社長が動いたとの噂が、まことしやかに広がった」と報じた。新浪社長は安倍政権下14年9月に同議員に就任。15年10月13日、一本化を進めてきた野田会長は気の毒にも、安倍氏に、事実上、更迭された。こともあろうに安倍氏は、その夜に都内の高級ホテルでサントリーHD鳥井信吾副会長・新浪社長、酒税を担当していた麻生財務相と会合。その後の12月、自民党・公明党の16年税制改正大綱を決定し、ビール類の一本化はまたまた先送りされた(経緯の表は次号掲載)。癒着を深める安倍=新浪態勢は、桜前夜祭疑惑が起こる数年前から自民党方針とは180度異なる「発泡酒・第三のビールの増税阻止」の動きを水面下で行っていたのだ。<次号に続く>
桜を見る会特集
次号/25・第三のビール増税先送りと桜疑惑から見えてくる安倍首相・サントリーの癒着<赤旗スクープ③>
前号/23・安倍首相の「桜前夜祭」にサントリーが大量の酒を4年連続で無償提供<赤旗スクープ①>