アジアに投資するヘッジファンドの多くは今年の軸足を中国株から日本株に移したものの、日本市場の独自性が原因で思うように収益を確保できていない。
出遅れ日本株を買う動きは急増しているが、勉強不足で、日本に関する洞察力が備わっておらず、参考にすべき投資手法もなかなか見当たらないことなどが影響している。
日経平均(225種)(.N225)が今年これまでに28%上昇する中で、ヘッジファンドは中国株向けの資金配分を減らして日本株に転じるようになった。調査会社のデータを見ると、今年立ち上げられた日本株専門ファンドの本数(18本)は中国株ファンドの本数(13本)を17年ぶりに上回った。
ゴールドマン・サックスのデータからも、今年は世界全体で日本株に最も多くのヘッジファンド資金が流入し、その一因が日経平均の高騰だったことが分かる。
しかし発展している半面、効率性が低いとされる日本の資本市場は、高成長の下でパッシブ運用でさえ高いリターンを得られた中国株の投資を長らく経験した向きにとって、なかなか難しい環境のようだ。
複数の運用担当者は、日本では内部留保が潤沢な国際的企業とともに、あまり知られていない小規模企業や、企業改革と物言う株主の行動(アクティビズム)に関する深い理解が求められると口をそろえる。必要なのは、投資すべき銘柄を選別したり、適正水準からかい離している機会を発見したり、アクティビズムの標的を探り当てたりする能力だという。
ロジャーズ・インベストメント・アドバイザーズのマネジャー・戦略調査責任者レオナルド・ウマンツ氏は、中国のロング方向のファンドと同じように「ベータ値」を追求する哲学を日本に当てはめようとすれば、手痛い目にあうと警告する。
ユーリカヘッジのデータによると、日本株専門のロング・ショート型ファンドは今年1-10月の平均リターンがわずか5%にとどまった。
その半面、日本専門のイベントドリブン型ヘッジファンドの同期間のリターンは10%に跳ね上がっている。イベントドリブン型は、企業の合併・買収(M&A)やアクティビズムに関する個別状況に対応して投資する。