海外で日本人について「NATO」と呼ぶ声があるようです。
これは「No Action, Talk Only」のこと。つまり「話してばかりで実際のアクションはない」という落ち目の日本人ビジネスマンを嘲笑した意味です。日本人ビジネスマン間には好評だった『ホウ・レン・ソウ』は一般的に報告・連絡・相談のことで、今から30年以上も前に野菜のホウレンソウに例えた表現を使い、風通しのよい組織づくりのために確かミサワホームの三沢千代治氏が著書で広めた言葉だと思います。 今から思えば、日本式非効率の代表、結果的に失われた30年の象徴言葉です。時代は変わる、今後のビジネススタイル「話してばかりで実際のアクションはない」と嘲笑されないためや、言った言わないがないメールが一番でしょう。
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職場やビジネスで外国人と接する機会が年々増えてきましたが、知らずのうちに相手をいらつかせてはいないでしょうか?
海外では、日本人について「NATO」と呼ぶ声があるのをご存じですか。
これは「No Action, Talk Only」のこと。つまり「話してばかりで実際のアクションはない」という意味です。「日系企業からの視察の人に会うのは無駄だ」という人もいるほどです。
日本企業にありがちな傾向として、兎にも角にも視察し、それを持ち帰って上司と熟考に熟考を重ねるという文化があります。さらには、会う人会う人が裁量権を持っていないので、「ビジネスはスピードが命」と考える外国人からすると、まどろっこしい限りです。
このように、日本人と外国人のビジネスの感性には、大きなズレが存在します。にもかかわらず日本企業は海外に進出しても、ご当地のお家事情にまったく関せず、日本式ビジネスを貫くケースがよくあります。グローバル社会の常識や事情をわざと無視しているとしか思えない人も少なくなく、現地の社員などはよく「日本企業あるある」に悩まされています。
日系企業志望者は、少ないという現実
海外の現地採用でなかなか優秀な人が集まらず、採用しても1年ほどで次々に辞めてしまうのも、「日系企業あるある」の1つです。
日系企業は、海外では就職先として人気があります。とくにキャリアの浅い若手からは、ビジネスマナーや品質の高い仕事をきちんと学べることが評価されているようです。
しかし、現地採用した若手はよく、一人前になった頃に辞めてしまいます。日系企業を1年ほどで辞めたあと、彼らは海外グローバル企業に転職していきます。言葉を選ばずに言えば、日系企業は「踏み台」になっている現状があると言えるでしょう。
もちろん、辞めていく人たちには悪気はまったくありません。彼らは、自分のキャリア構築のために必要な転職をしているだけです。
筆者が現在働いているシンガポールの就職・転職市場の状況はというと、
1)最優秀層は、政府系に就職
2)次の層は、自ら起業
3)その次の層は、海外大手グローバル企業で働く
4)さらに次の層は、海外中堅グローバル企業で働く
5)大手日系企業を志望するのは、その次の層
つまり、すでにある程度のキャリアを積んだ優秀な人材は、なかなか大手日系企業を選ぼうとはしないのです。そして、キャリアの浅い若手を採用して育成しても、スキルを身につければ、よその会社に転職してしまいます。
日本企業のやり方では、海外で優秀な人材は雇えないのです。私は、日本企業は海外企業と比べるといまだに年功序列の色合いが強く、「若手には若手なりの業務や待遇を」と考えがちではないかと感じています。しかし働くほうからすれば、自分のキャリア構築を考えたとき、「まだ若い」というだけの理由で権限を与えられない会社に長くいたいとは思わないでしょう。
いい人材を雇いたいなら、会社はそれなりのベネフィットを提供する必要があります。金銭面の条件はもちろんですが、重要なのは働きがいを感じられる職場かどうか、権限を持ってキャリア構築に寄与するような仕事をさせてもらえるかどうかです。
日本人がやりがちな「相手の気分を害する言動」
外国人と仕事をすることになったものの、英語が苦手で困っているという方は少なくないでしょう。しかし「英語がうまく話せない」ことを気にするあまり、うっかり外国人の気分を害する行動をしてしまうことは避けなくてはなりません。
よくあるのは、英語が苦手だということを相手に伝えようとして「I can’t speak English well.」と言ってしまうことです。日本人の「謙遜」は、外国人には通用しません。自信がなさそうな態度や恥ずかしそうな態度は、時に相手を不快にし、信頼感を損なう結果を招きかねません。
また、日本人文化として、メール文章を「丁寧に長く書く」傾向があります。用件だけを書くと、ぞんざいで失礼な文章に見えてしまうからなのですが、外国人からすると、「ダラダラ書かれていて、何が言いたいかわからん!」となってしまっているのです。
かくいう私も、海外に転職したとき外国人上司から「お前の弱点は話が長い」と指摘された経験があります。
ダラダラ話す人は、経営トップ層など多忙な人から見れば「自分の時間を無駄に奪う人」であり、「話を整理できない頭が悪いやつ」とみなされます。
海外グローバル企業では、英文は「シンプルイズベスト」が基本。ただし、やみくもに文を短くすればよいわけではありません。限られた文法と語彙だけで英文を構成する、いわゆる「グロービッシュ」は短いフレーズが多いのですが、TPOによっては短い文章はぞんざいで失礼な表現になってしまいます。
日本式「報告・連絡・相談」はクドい
話し方といえば、日本人が重視する「報告・連絡・相談」。もしこれをグローバル社会でそのままやるとほぼ間違いなく不評を買います。
海外グローバル企業では、誰もが非常に忙しいということを前提に、「上司が5分で読める内容を15分で作成する」ことがスタンダードとなっています。
日に600件を超えるメールをさばいているような上司も多い中、こまめに報告するのは上司の仕事の邪魔になりかねませんから、あまりにこまごまとレポートすると鬱陶しがられるのも当然なのです。
そもそも海外グローバル企業では、管理職でなくても担当領域に関する決裁権を持たされている場合がほとんどです。ですから、よほどのことでなければ上司に相談することなく仕事は回せます。やたらとホウレンソウしなくても、自分で意思決定しながら仕事を進めていくことが可能なのです。
日本でいう「報・連・相」が海外企業で必要になるのは、実は上司のほうです。
それがまさに該当するのがジュニアマネージャーです。部下が困っていることがないかどうか、定期的に部下に歩み寄って様子を見ることが義務になっています。つまり上司から働きかけて「報・連・相」の内容を引き出すのが海外グローバル企業のマネジメント法なのです。
海外では、リーダーは仕事を洗い出し(Clarify)、周りに指示を出し(Command)、進捗をチェックする(Check)という「マネジメント3C」で部下の状況を把握するのが一般的だと言っていいでしょう。
もっとも、部長職などを束ねる上位のマネジメントの場合は状況が異なります。ある程度の役職にある人はそれなりの権限を持っていますから、少し上司の関与度が下がります。
もし「外国人上司とやり方が合わない」といった問題に直面した場合は、まず外国人上司が求める仕事の進め方や報告の方法を確認することが必要でしょう。上司が望むやり方に合わせるのも1つの方法ですが、上司に自分が求める仕事の進め方を伝え、お互い歩み寄り、妥協点を探ってもいいのです。
グローバル社会では「異なる意見を持つこと」「異なる意見を出し合うこと」はまったく問題ありません。早い段階で、仕事の進め方などについて上司に確認し、話し合いの中で問題を解決していきましょう。
マイクロソフト シンガポール アジア太平洋地区本部長岡田兵吾氏