最初の米国大統領選挙テレビ討論会は感情に任せ、悪口、非難の応酬で、かみ合わない討論をさせた司会者の力量不足を露呈しました。ニューヨークダウ先物ではトランプ敗北を予想し急落しましたが、実際の9/30日ダウは329㌦高で終わりました。米国大統領選挙は米国株式市場で織り込みつつありますね。どちらが大統領になっても、世界の株式市場への影響は限定的でしょう。特に、日本株は強い。日経500に至っては今週31年ぶりに史上最高値を更新です。引き続き、日経平均は来年かなり上がると予想します。
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大統領選挙のテレビ討論会といえば、定番の図式は「挑戦者と受けて立つ現役大統領」である。しかし「トランプvsバイデン」の戦いはそうは見えない。バイデン氏は、オバマ政権で8年間、副大統領を務め、すでに77歳と高齢。フレッシュな挑戦者というイメージはない。それがあれば、もう少しトランプ大統領に鋭い攻撃を仕掛けられたかもしれない。
トランプ氏は、「あなたはワシントンで47年間政治家をやってきた。私は47カ月しかやっていない。あなたは47年間もあって何をやったのか?」と斬り込んだ。バイデン氏はそれには答えず、トランプ氏を「嘘つき」とか「この人は自分の言っていることがわかっていない」などと馬鹿にする。挙げ句の果てに「黙れ!」と語気を強める始末だった。
筆者が気になったのは、バイデン氏がトランプ氏を何度も「This Man」と呼んだことだ。いくら戦いの相手であっても、いやしくも一国の大統領を「この男」呼ばわりすることは、過去のテレビ討論会でも記憶がない。
いずれにせよ、最初のテレビ討論会は、悪口、非難の応酬であって、それ以外の何物でもなかった。中身も実りもない討論は、今のアメリカを象徴しているようだった。バイデン氏は他にも、トランプ氏を「アメリカ史上最悪の大統領」とか「プーチンの子犬」などと呼んだ。トランプ氏はバイデン氏の息子を「不名誉の除隊をさせられた」と中傷し、バイデン氏本人のことは「社会主義者の言いなり」などと攻撃した。
もちろんコロナ対策も議題になった。バイデン氏はトランプ氏に対し、「2月の時点で恐ろしい病気だと承知していながら、パニックに陥ったのか、それとも株価を見ていて何もしなかった」と批判し、「すぐにもっと賢くならなければ、もっと大勢が死ぬ」と詰め寄った。するとトランプ氏は怒りを隠さず、「そっちはクラスでもビリのほうで卒業したくせに、『賢い』なんて言葉を私に使うな。絶対に使うな」と、政策とは関係ない反論を繰り出す。
討論会直前にニューヨーク・タイムズが報じたトランプ氏の納税額の問題については、司会者がトランプ氏に「2016年と2017年に払った連邦所得税は750ドルだというのは本当ですか」と尋ねた。トランプ氏は「何百万ドルも払った」と答えた。そのうえで、自分は不動産開発業者だったのだから制度に則って節税するのは当然だ、そういう税制を作ったのはバイデン氏たちだと主張した。ジャーナリスト・佐藤則男氏
黒人への警察の暴力、さらに抗議デモの暴徒化などが繰り返されたことから、法と秩序の問題も注目された。トランプ氏は、バイデン氏が上院司法委員会委員長だった当時に、アフリカ系アメリカ人を「凶悪な常習犯罪者」と呼んだと主張、それに対してバイデン氏は、そんなことは言っていないと否定した。事実としては、当時バイデン氏は、「救いようのない常習犯が、街で常に被害者を探している」と述べていた。トランプ氏は、これがアフリカ系の人を指した発言だと言いたかったようだ。トランプ氏は繰り返しバイデン氏の発言をさえぎり、「法と秩序を重視するか言ってみろ。『法執行』とさえ言えないのは、極左支持者を失うからだろう」と食ってかかった。
中盤の見せ場は、トランプ氏がこの日、繰り返し攻撃材料にしたバイデン氏の息子、ハンター・バイデン氏の「ロシア資金疑惑」をサプライズで持ち出したシーンだった。共和党の上院議員団による調査の結果として、ハンター氏がロシアの財閥から350万ドルを受け取ったと指摘した。これが問題となるカネなのかどうか、今後に注目したいところだ。
あとは、最高裁判事指名の是非や、郵便投票の是非、選挙当日の監視や選挙結果の扱いなど、これまでも論争になってきたテーマについて、やはりかみ合わない言い合いが延々と続いたという印象だった。
はっきり言って、今回の討論会には勝者はいなかった。討論としてレベルが低く、互いに相手への敬意が感じられず、後味の悪い政治ショーとなってしまった。