みなさま、いよいよこの日を迎えました。
本日、決勝でございます。
エコパスタジアムには何人くらいの同窓生が集結しているのでしょうか。
おっと、その前に忘れちゃならない、す○きひ○きくんの準決勝観戦記。
準決勝のようなゴールラッシュが見られるか?いやいや、学園だし、やっぱ接戦だろうな。
逸る気持ちを抑えて、お読みくださいませませ。
12時キックオフですよ~。
11/12(日)県大会 準決勝:vs浜名高校
先週行われた準々決勝4試合の結果、ベスト4が出揃った今年の選手権県大会。
今日の2試合は午前と午後に、いずれも藤枝総合運動公園サッカー場で行われます。
その顔ぶれは、他県のサッカーファンでも知らぬ者はない強豪ばかりです。
昨年(第84回)の選手権県大会を制覇した常葉橘、プリンスリーグ東海2006の1部リーグ優勝の静岡学園、今年のインターハイ県大会優勝の浜名、そして一昨年およびその前年の選手権県大会を連覇した、われらが藤枝東高校です。
今日の対戦相手は何という因果のめぐり合わせか、去年と同じ準決勝、同じ場所で惜敗を喫した宿敵:浜名高校です。昨日は雨が降り続き、天候が心配されましたが、目を覚ましてみれば快晴そのもの。
風はやや強いものの、グラウンドコンディションは問題ないようです。
スタジアムの外には、見慣れた校名入りの標識を泥除けに貼った自転車(今は銀メタが流行色みたいですね)がズラッと並び、そして広場には制服姿の藤高男子&女子と先生方が大集合しています。
先日の準決勝では、1,2年生のほぼ全員校生徒がバックスタンドで応援した清商に対し、サッカー部員と数名の有志生徒(応援団員でしょうか?)のみの応援(もちろんメインスタンドでは沢山のOBやファンが声援を送っていましたが)と、まさに「千万人といえども我行かん」状態で勝利を収めた藤高イレブンにもシビレましたが、やはりこれだけ大勢の学友達に応援されれば、選手達も燃えないわけにはいかないでしょう。しかも、準々決勝に続いてのホームゲームです。
一方の浜名高校も、何台ものバスで駆けつけた生徒とサッカー部員がバックスタンドに勢揃いし、豪華な編成のブラスバンドも早くからチューニングにいそしんでいます。
さて、両校の応援の準備が進む中、ピッチ上では両チームの練習が行われ、それも終わると選手達はいったん控え室に引き上げます。ほんの短い間だけピッチは無人になりましたが、間もなく試合用のユニフォームに着替えた両校の選手達が、大会旗に続いて入場してきました。
藤枝東にとっては、いよいよ一年越しのリベンジが始まります。
vs浜名 前半
午前10時4分、藤枝東の先攻で試合はキックオフ。
先発メンバーとフォーメーションは、清商戦では先発だった右SB村松大輔選手(2年)がケガのためベンチスタートとなり、代わって菅藤選手(3年)が1試合ぶりに先発出場となった他は、今大会ではおなじみの布陣です。
___松田__井上___
______河井______
原田________山田
___石神__鳥羽___
_小関_三上_菅藤_
_____村松太_____
対する浜名高校も、同じく3-5-2システムを採用しており、積極的なプレスによる堅守と、速いカウンター攻撃を身上としています(布陣は以下の通り)。
___掘切__佐藤___
______松浦______
岩船________廣野
___岸本__水川___
_鈴木_市野_高須_
______田村______
浜名のスタメンは、2年生のFW佐藤選手を除き、3年生で固められており(藤枝東は3年生6名+2年生5名)、ほぼ同じメンバーで今年のインターハイ県大会を制しています。
攻撃のキーマンは3人。今大会で同校の最多得点(4点)を上げているFW佐藤選手と、俊足のFW掘切選手による2トップ。そしてもう一人は浜名のエース:トップ下のMF松浦選手です。
松浦選手は来季(2007年)にジュビロ磐田への入団が決まっている事からも、その実力の高さが伺えますが、大会前の9月に左ひざ内側じん帯を痛め、2次リーグの3試合は、いずれも途中出場で、あまり状態が良くないようです。今日も左腿にサポーターを巻いての出場です。
しかし、何人もの敵守備陣に囲まれようとドリブルで突破してしまう、高いキープ力と突破力は、県内はもちろん全国でもトップレベルにあり、藤枝東DF陣にとっては最も警戒すべきプレイヤーです。
さて、試合は開始直後から藤枝東が、得意の両サイドを大きく使った攻撃でゲームの主導権を握ります。
前半7分、前回の試合で2得点を上げたMF山田選手が、浜名PA左端でパスを受け、浜名ディフェンス2人の間を抜いて、ゴール左前で待っていたFW井上選手にグラウンダー(ゴロ)のパスを通します。
井上選手はこれを振り向きざまに、ダイレクトにシュートを打ちますが、惜しくも僅かにゴール右へ切れます。
思わずスタンドのあちこちから「巧いな~」という声が漏れ、この2人は今日も絶好調なようです。
前半10分、ボールを持った浜名の選手に、果敢にタックルを仕掛けた山田選手に、イエローカードが出されます。
前半13分には、浜名PA左角の外でボールをキープした2年生のMF河井選手が浜名DFと1対1の状況で、後ろから走り込んで来たMF山田選手との間で、河井>山田>河井>山田という、いわゆるワンツーリターンから更にもう一度ボールを戻す、高度なポストプレーで、山田選手が最終ディフェンスラインを突破。ゴールエリアに迫ると、ゴール前に鋭いクロスを出しますが、惜しくも敵DFにクリアされます。練習でも難しいこれだけの技を、浜名ほどのレベルの高いチームを相手に、さりげなくやってみせてしまうのですから、服部監督の標榜する「やって&観て楽しいサッカー」は、伊達ではありません。
同じ13分、この流れから藤枝東は右CK(コーナーキック)を得ます。MF鳥羽選手の蹴ったボールに、MF三上選手がヘディングでうまく合わせますが、惜しくもキーパーにはじかれます。
19分には、藤枝東に再び素晴らしいプレーが生まれます。キャプテンのMF原田選手が浜名陣内右タッチラインをドリブルで突破してゴールラインまで持ち込み、そこからファーサイド(浜名ゴール左側)に長いマイナスのクロスを上げ、MF山田選手がこれをボレーで逆(右)サイドに戻し、ワンバウンドしたボールをゴール右前にいた河井選手がボレーシュート!しかし惜しくもクロスバーを越えます。この間、3人は互いに離れていながらも、トラップ無しでボールを繋いでシュートまで持って行っており、個人技と相互の連携がきわめて高いレベルで両立されている事が解ります。
今日の藤枝東の守備は、CB三上選手と石神・鳥羽の両DHを中心に、ボールを持った浜名の選手に対して1,2名で即座にプレスをかけ、ボールを奪い返します。球際やヘディングの競り合いでも、ほとんどの局面で勝っているのではないかと思うほどの強さを見せます。このディフェンスのスピードとキレは、これまでの4戦と比べても一番ではないでしょうか?
20分には浜名陣内左サイドをMF山田選手がドリブルで駆け上がり、ゴール正面に絶妙の低いクロスを上げます。
飛び出してきたFW松田選手が地面に身体を投げ出すようにして、地表スレスレからヘディングシュートを放ちますが、これも残念ながらキーパー正面でキャッチされます。
ここまで藤枝東ディフェンスにほぼ完全に押さえ込まれていた浜名は、前半22分にPA外ゴール正面やや右から初のシュートを放ちますが、クロスバーを越えます。
32分に浜名は初めてCK(コーナーキック)のチャンスを得て、ここからしばらく藤枝東PA付近での攻防が続きます。その中で、浜名MF松浦選手がゴールライン付近でボールをキープし、藤枝東の選手が2人がかりで囲んで奪おうとする場面も見られましたが、噂通りの巧みな足技で絶対にボールを渡さないのには驚かされました。やはり危険な存在です。
36分には藤枝東PA左前5mほど外の地点で原田選手がハンドを取られFK。浜名キッカーが直接ゴール左隅へミドルシュートを放ちますが、これはGK村松がダイレクトにキャッチして難を逃れます。
しかし37分、一転して藤枝東が絶好のチャンスを得ます。浜名右サイドを原田選手がドリブルで抜け、PA内のMF山田選手にパスを通します。山田選手がドリブルでゴールエリアに攻め込まんとしたその時、浜名DF市野選手の足が掛かり、山田選手が転倒、市野選手にイエローカードが出され、藤枝東はPKを得ます。
奇しくも昨年の同じ準決勝浜名戦では、藤枝東はPKで手痛い1点を失っており、何かの因縁めいたものを感じてしまいます。スタジアム全体が緊張に包まれる中、DF三上選手の蹴ったボールは浜名GK田村選手の左側に飛び、田村選手は素早い反応でこれを前にはじきます!高く跳ね返されたボールを、FW松田選手が胸でトラップしてシュートの態勢に入ろうとしますが、浜名DF数名が体を入れて懸命にクリアします。
惜しくも得点は成りませんでしたが、下がり切ったディフェンスラインの合間を縫って容赦なくゴールを突いてくる藤枝東の攻撃が、浜名の守備陣に強いプレッシャーを与え続けている事がよく判りました。
試合は、藤枝東が優勢のままロスタイム(1分)に入り、間もなく前半終了のホイッスルが鳴ります。
vs浜名 後半
前半のほとんどの時間でボールを支配し、何度も決定機を迎えながらもゴールを奪うことのできなかった藤枝東は、後半もその攻守のスピードは衰えることがなく、ボールを支配し続けます。
後半6分、浜名PA右前でMF原田選手がゴール前にクロスを上げ、他の選手が飛び出すも間に合わず、惜しくもボールはゴール左に切れます。
しかし直後の7分、河井選手が浜名PA左端ゴールライン際から低いクロスをゴール前に入れ、ワンバウンドしたボールを、飛び出したFW井上選手がダイビングヘッドで押し込みます。そして、これがキーパーの頭上を越えて浜名ゴール左上隅に吸い込まれゴール!遂に試合の均衡が破れます。
この1点から、藤枝東の攻撃はさらに勢いを増します。14分には、浜名ゴール前の松田選手に、PA外から絶妙なクロスが入りますが、一旦これはクリアされます。しかし、これをPA左前外で拾ったキャプテン原田がDFを1人かわしてシュート!
ボールは左ポスト側に寄っていたGKの逆側に飛び、GKがジャンプするものの届かず、ゴール枠内右上に突き刺さり2点目!
そろそろ1点のほしい浜名ですが、エースの松浦選手は、藤枝東PA付近で得意のドリブルで何とかゴールに持ち込もうと試みるも、藤枝東DF陣の徹底したマークを受け、ボールを奪われてしまいます。
後半16分にはハーフウェイライン付近で浜名の選手と交錯して倒してしまったMF鳥羽選手がイエローカードを貰います。
24分には、FW松田選手がPA左前外から、弾道の低い強烈なミドルシュートを放ち、GKがこれをはじきます。このリバウンドを、FW井上選手がゴール左横の角度の無いところから思い切り蹴り込みますが、これは惜しくもゴール右脇へ逸れます。
27分には、浜名右サイドをMF原田選手が得意のドリブルで突破し、PA外から直接シュートを放ちます。これはゴール左外へ切れますが、この時間帯になると浜名は防戦一方です。
後半29分には、FW松田選手に代わって、長身の山本選手が投入されます。今大会おなじみの、守りを固める藤枝東の必勝リレーですが、今日の攻撃の勢いは止まりません。32分、後方のDFからのフィードを向き直ってトラップした山本選手のボールを、正面から走ってきたMF河井選手がすれ違いざまに貰い、そのままガラ空きの浜名陣内を独走します。
PA内でGKと1対1になったところでシュート!これがゴール左ポストに当たって跳ね返りますが、走り込んで来たFW井上選手が再びシュートして3点目!この山本・河井両選手の絶妙なクロスプレーは、浜名DF陣だけでなく、我々観客も一瞬何が起きたか解らないほど鮮やかなものでした。
もはや流れは完全に藤枝東ペースですが、33分に服部監督は河井選手に替えてMF水野選手を投入します。
そして、この交代もまた、直後にドンピシャリと的中します。
34分、浜名GKがゴールキックの瞬間、PAの僅かに外側に足を踏み出していたという事で、ハンドの反則を取られ、藤枝東はペナルティアーク右端からのFKを得ます。浜名はゴールエリア前に5人の壁を作り、藤枝東は原田・山田・水野の3人が蹴る態勢に入りました。そして蹴ったのは水野選手。ドライブのかかったボールは壁の左側(浜名ゴールから見て)を抜け、左ポストに跳ね返ってゴールの奥へ吸い込まれました!水野選手は交代後1分も経たないうちに、鮮やかなFKで4点目を決めました。
さらに35分には、藤枝東は2人の選手を同時に交代させます(FW井上→佐原/GK村松太→山口)。FWの交代は珍しくありませんが、GKの交代はアクシデント発生時以外は珍しいことです。
その直後の36分、浜名は藤枝東ペナルティアーク付近でボールをキープしたFW松浦選手がゴール左前にパスを出し、走り込んで来たDF廣野選手がシュートを放ちますが、ゴールのわずか左に切れます。
残り時間は5分を切り、浜名は必死の反攻を仕掛けますが、藤枝東のディフェンスの集中力は切れることなく、ボールを奪っては、カウンター攻撃で何度もゴールを襲います。時計は40分を廻り、ロスタイムの目安は3分。
交代したFW佐原選手はその後もシュートを2発放ちますが、惜しくも枠を捉える事はできません。
そして試合終了のホイッスル。バックスタンドの在校生とメインスタンドからも大きな歓声が沸きあがり、4-0で藤枝東が昨年の雪辱を見事に果たしました!
いよいよ決勝へ
これまでの5試合を全勝し、遂に決勝へと駒を進めました。午後に行われた準決勝第二試合では静岡学園が常葉橘を熾烈な戦いの末2-0で下し、こちらも昨年準決勝のリベンジを果たしました。
これで決勝の対戦相手は、静岡学園に決まりました。
さて、家に帰ってTVの録画を観返すと、前半終了の時点で服部監督が「まだまだ藤枝東の目指すサッカーができていない。あれでは応援に来てくれたお客さんたちが納得しない」とコメントしていたことを知り、少し考えさせられました。
前半からあれだけゲームをリードしていたのにしては、少々厳しいコメントのように聞こえましたが、その藤枝東の標榜するサッカーとは「観て、やって、楽しいサッカー」というものです。
そしてここに、勝ち負けの結果についての言葉がひとつも入っていない事に気付き、驚かされました。
このチーム、このメンバーでの試合は、特に来年3月の卒業を控えた3年生にとっては、今しかできないものです。
同じ年頃の時期を無為のまま過ごしてしまった僕にも、それがどれほど貴重な時間なのかが、歳を重ねるにつれ解ってきたような気がします。
「だからこそ、二度とない仲間達とのこの一試合を、一人一人が納得できるよう楽しんでプレーしよう」
「全員が充実感を味わいながら、精一杯のプレーができれば、それは観る側にとっても必ず楽しいものになるはず」
というメッセージが、服部監督の言葉から伝わってきました。
僕は最近、プロの試合をよく観に行くのですが、その中には大差で勝っても後味が悪く、拍手をする気が起きない内容の試合や、逆に敗れても「よくやった、ありがとう!」とスタンドから大声で叫びたくなる試合が数多くあります。
それは、選手達が自身で納得できるプレーが出来たか、出来なかったかによるもので、勝敗は直接関係ありません。
これまで、僕は藤枝東イレブンの奮闘を目にしていながら、結果に目を奪われすぎていたと反省しています。
選手の皆さんは、決勝の大舞台で緊張もあると思いますが、このメンバーでの県内最後の試合を思い切り楽しんで下さい!
県大会決勝はエコパスタジアムにて
11/19(日)12:00キックオフの予定です。
この試合の静岡第一テレビで生中継されますので、会場に足を運べない県内の方はTVの前で藤高健児達の活躍を応援しましょう!