化学系エンジニアの独り言

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燃料電池自動車の普及

2018-04-21 | 環境
電気自動車に押され気味ですが、燃料電池自動車は果たして普及するのでしょうか!

思い起こせば小泉首相が2002年末に首相官邸に納車されたトヨタの燃料電池自動車に乗ったて、2007年までに4万台普及させる政府方針を打ち出しました。あの時は正に、水素社会を日本がリードするといったムードでした。
(今でも小泉さんは原発を否定的に見ているのはその流れかと思います)

残念ながら燃料電池の量産化、低コスト化はそれほど容易なものではなく計画は実現しませんでした。
プリウスでさえ発売から4万台を達成したのは7年後。燃料電池自動車がそれよりも短期間で数万台も普及するわけがないと当時は思っていました。
いや普及させなければいけないんだ、というスローガンで政府の補助金事業に多くの怪しい研究やら開発が応募したものでした。

あれから12年後の2014年末、トヨタはMIRAIを市販しました。この三年間でのMIRAIの登録台数はおよそ5,000台だそうです。政府の目標は2020年に4万台の燃料電池自動車を普及させることといいます。
12年前とは大分状況も変わっています。 

MIRAIは700万だそうです。庶民には手が出ませんが、レクサスのハイグレードを買う人から見れば高くは有りません。また、色んな補助金が出るそうで500万くらいで買えそうです。(私はそれでも買えませんが)
トヨタの量産体制も整ったようで年間1万台くらいは作れるといいます。そうであればあと三年で4万台は手の届く目標ですね。

問題は水素ステーションでしょう。2018年3月末で計画中の9箇所を含めて水素ステーションは103箇所です。但し移動式と称する水素ボンベを積んだトレーラーを設置しただけのものが39箇所もあるので、実際に定置式のステーションは64箇所しか有りません。都内でではありませんよ、日本全国でです。北海道には1箇所もまだ有りません。

というわけで自動車会社、石油会社、ガス会社等11社が参画して日本水素ステーションネットワーク合同会社を作って、今後4年で80箇所の水素ステーションを作るといいます。
それで4万台の燃料電池自動車の給油ならぬ給水素を賄うといいます。面で考えると少ないのですが、線で配置を考えればよいのでしょうね。

これまではFCVも水素SSも補助金頼みです。問題は補助金が無くなっても、あるいは段階的に減額になっても、経済原理に従って水素燃料がガソリンとほぼ同じ価格で供給されるかどうかと思います。現状では水素SS一箇所建設するのに4億円かかるといいます。それでもガソリンと同じ価格(エネルギー等価)で水素を提供出来るようしていく必要があります。

どんなにCO2低減に寄与しても、地球環境に良いと言っても、FCVも水素燃料も安くなって今のガソリン車、ディーゼル車と同じ土俵に載らなければ我々庶民は買えません。