化学系エンジニアの独り言

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US一般教書演説

2007-01-25 | エネルギー
US大統領の一般教書演説の中でエネルギーに関する部分をまとめてみます。

(1) 20イン10
2017年までの10年間でガソリンの消費量を20%削減する、名付けて20 in 10 goalだそうです。
(A) その方策として再生可能エネルギーや代替燃料で35ビリオンガロンを作る。これは2017年の消費予想量の15%に相当する。
(B) 自動車の燃費改善で8.5ビリオンガロンを削減する。これは5%に相当する。

AとBをあわせて20%削減を達成ということのようです。8.5ビリオンガロンが5%相当ですから、2017年の全米でのガソリン消費予想値は170ビリオンガロンになります。現状が130ビリオンガロン(500ミリオンkL)なので、今後10年で30%消費が増加すると見込んでいます。

Aの代替燃料としては現在2012年を目標年に7.5ビリオンガロンという計画がありますが、それを後5年延長して5倍にするというもので、ここに最も力点が置かれています。愚弟的にはコールエタノール、セルロースエタノール、バイオディーゼル、メタノール、ブタノール、水素などが上げられています。水素は一番最後です。
170ビリオンガロンの15%は25.5ビリオンガロンで、35ビリオンガロンという数値と会いませんが、これは代替燃料の体積あたりの発熱量がガソリンよりも小さいので、容量的には多く作る必要があるわけです。

(2) 交通渋滞緩和
いわゆるアイドリングロスをなくすという方策です。全米の渋滞地域85箇所の合計で2.3ビリオンガロンのガソリンが浪費されていると試算されています。これを削減しようというもので、CO2排出量に換算すると20ミリオントン/年になります。

1と2の合計で石油消費量を2017年で10%削減するという大きな目標になります。全米の石油消費量はおよそ20ミリオンBDですから、これは2ミリオンBDに相当します。

さらにエネルギーセキュリティー強化として次のようさ策を上げています。

(3) 国産原油の生産拡大
環境への影響を充分に配慮しながら、国産原油の増産を目指す。これについては数値的目標があげられていませんが、アラスカの原油や天然ガスパイプラインという言葉が出ています。

(4) 原油の国家備蓄を倍増
現在691ミリオンバレルある国家備蓄を1.5ビリオンバレルに倍増させる。これは輸入原油の97日分に相当するそうです。ということは15ミリオンBDが輸入原油ということになります。全米での石油消費量はざっと20ミリオンBDですから、輸入依存度は75%です。

ちなみに日本の備蓄は90ミリオンkLですから570ミリオンバレルです。日本の石油消費量な全米の4分の1ですが、これは民間用79日分、国家備蓄91日分となっていて合計で170日分に相当します。国家備蓄は封印方式と呼ばれ、備蓄タンクに一旦入れたらそのまま保有する当方法です。これに対して民間備蓄は生産・流通過程で保有しているものです。つまりは製油所、輸送所での保有分で毎日置き換わっているといえます。国家備蓄はすべて原油ですが、民間備蓄は原油45%で石油製品55%の割合です。

(5)USはエネルギー技術で世界をリードしてきたが、今後も技術開発には注力うするとしています。キーワードしてプラグインハイブリッド(US国内でやってますが、日本のメーカーです)、クリーンディーゼル車、クリーンコールテクノロジー、太陽・風力利用、クリーンで安全な原子力発電があげられています。