化学系エンジニアの独り言

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中国海洋石油 VS Chevron

2005-06-24 | 石油
中国第3位の石油会社である中国海洋石油(CNOOC)がアメリカ第9位の石油会社であるUnocalを$18.5ビリオンで買収しようとしている。成立すれば中国企業としては一番大きなDealになる。中国企業のアメリカ企業買収といえば、先の連想によるIBMパソコン部門の買収があった。この場合は、収益率の下がったパソコン部門から撤退したいIBMとパソコン部門をのばしたい連想との利害は一致して、スムーズな買収となったが、中国海洋石油のケースはハードルが高いだろう。

Unocalといえば石油会社であるが、電極用コークスも生産しておりユニークな会社である。売上げは$8.3ビリオン、CNOOCの売上げは$6.7ビリオンなので、この買収が成功するとCNOOCとしては石油・ガス生産量、資源量とも2倍になることになる。また、Unocalの天然ガス資源の73%はアジア地区にあるので、CNOOCとしてはその点も魅力になっている。

中国とアメリカの石油会社の売上げを比較すると以下のようになる。
Exxon Mobil 280B
Chevron   150B
Unocal     8.3B
Sinopec    80.4B
PetroChina   47.0B
CNOOC      6.7B
新日石     40B
スーパーメジャーから見れば小さいが、日本の石油会社の規模と比較すると小さいわけではない。

このBidに対して、アメリカは安全保障上の理由から待ったをかけるようBushに進言している。
また、Chevronが$16.6ビリオンで買収の提案をしており、Chevronと中国海洋石油の一騎打ちとなっている。買収価格はCNOOCのほうが大きいが、アメリカの石油会社を中国に渡すな、というのがChevron側の主張です。
Chevronが買収すればその石油・ガスはマーケットに出てくるが、CNOOCが買収すれば石油・ガスはすべて中国に行くよ、とも警告している。
確かに、CNOOCは株式会社だが中国政府が所有しているので、そうだそう。
昨今の中国のエネルギー不足から考えれば、資源確保のためにアメリカの石油会社を買収しているのは間違いない。

この買収合戦の行方がどうなるかは、いまだ予想がつかない。
それにしても原油(WTI)がついに60ドル/BBLを超えました。こちらはユーロから抜いたお金のやりどころになっているようですが、石油需要が引き続き強いことを考えると原油高は収まりそうもありません。
石油需要を根本的に抑えることが出来ない以上、効率的利用技術、いわゆる省エネ技術を進めないといけません。